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レパードS レース回顧

 熱砂の中で掴んだ金星

 

 2017年8月6日(日)2回新潟4日目11R第9回レパードS(GⅢ)は、単勝11番人気の伏兵ローズプリンスダム(父ロージズインメイ×母クリスチャンパール)が優勝。5月に京都でオープン特別を制し、勇躍挑んだジャパンダートダービーは粘りを欠いて8着と大敗。しかし、そこから立て直し、真夏の新潟で重賞タイトルを獲得しました。デビュー2年目の木幡巧也ジョッキーにとってもこれが重賞初制覇。ゴールの瞬間のガッツポーズ、そして勝利騎手インタビューでの「直線の感触が忘れられない。夢のようです」という言葉からも喜びの大きさが感じられました。

レースを振り返ってみましょう。

勝ち時計 1分52秒9

前・後半4F 49秒251秒2

12.3 – 11.1 – 12.7 – 13.1 – 12.5 – 12.8 – 12.9 – 12.7 – 12.8

 パドックでの注目は何といっても帰国緒戦となるエピカリス。2月のヒヤシンスSと比べるとマイナス10キロの馬体重でしたが、馬体は当時より逞しさを増した印象。チャカついたり、幼い仕草を見せる馬が多い中、堂々と周回。力を出せる仕上がりだったと思います。

 レースはスタート後にテイエムアンムートがゲートを勢い良く出られず、競走中止に。サルサディオーネがハナを主張し、タガノカトレアノーブルサターンがこれを追う形。前半1000m通過は61秒7。例年と比べても少し遅いかなというペース。差し・追い込みの利きづらい新潟のコース形態もあって、先行するか内をロスなく立ち回った馬が有利な展開になりました。

 勝ったローズプリンスダムは内枠を生かして中団のインを追走。残り300m付近でスムーズに外に持ち出し、エピカリスが馬群の中でもがいているのを尻目に、鮮やかに抜け出して快勝しました。エピカリスが存分に力を発揮できなかったのに加え、走破時計も地味で、恵まれたのは確か。ただ、もともとオープン特別勝ちの実力馬ですし、鞍上の好騎乗も光りましたね。

 2着のサルサディオーネは同型を捌いて平均ペースの逃げを打てました。自身にとっては絶好の展開に持ち込んで粘り込みました。こちらも勝ち馬と同様に、恵まれた面は否めませんが、地力を強化しており、クラスが上がる次走が試金石になるでしょう。

 エピカリスは直線でなかなか進路が開かず。追い出してからも加速するには十分な距離がなく、完全に脚を余してしまいました。おそらくスムーズに捌けていれば勝っていたはず。こればかりは仕方ありませんが、早目に外に持ち出していれば、と思える内容。残念な形で国内初黒星を喫してしまいましたが、この1戦で評価を下げる必要はないでしょう。次は世界に名を轟かせたその力を存分に発揮してほしいですね。4着はブライトンロック。先行勢に有利な流れでも後方から3着とは差のないところまで追い上げてきました。1周競馬の1800mでも、しっかり脚を使えたことで今後のレースの選択肢が広がりましたね。
 

        text by 京増真臣/構成・藤原

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。