第34回 マイルチャンピオンシップ(G1)

 マイルCSの過去10年で、3歳馬は(0,0,1,30)と、このレースは鬼門になっていました。また、大外18番(2014年の17頭立て17番も含む)は、(0,0,0,10)と馬券に絡んだことがなく、さすがに優勝請負人のM.デムーロ騎手でも厳しいのではないかと話していた戦前。ペルシアンナイト(池江泰寿・栗東)の優勝で見事に裏切られました(笑) これでM.デムーロ騎手は今年6つめのG1勝ち。それもすべて違う馬で達成しているのですから脱帽です。来年に使えるデータは、「前走二桁着順からの巻き返しは厳しい」ぐらいですか。

 ハービンジャー産駒は秋華賞のディアドラを皮切りに、エリザベス女王杯、マイルCSと一気にG1を3勝。この日の4R終了後に国分優作騎手に芝の状態を聞くと、「内が伸びないことはないが、ボコボコしている」とのこと。今開催の京都は全体に時計のかかる馬場ですが、それも無関係ではないでしょう。それではレースラップです。

1:33.8(12.2 – 10.8 – 11.6 – 12.1 – 11.9 – 11.5 – 11.6 – 12.1)

 勝ち時計の1分33秒8は稍重馬場だった2011年に次いで、過去10年で2番目に遅い決着。ただ、12秒2-10秒8のテンの入りは例年と比較しても遜色ないですし、馬場状態を考えると速いです。戦前の予想通りハナは8番マルターズアポジー。これについていった3、6、15番、その後ろの2、9、16番は全滅。その一列後ろの中団につけた11番エアスピネルが2着に入りました。こう考えると差し馬向きの流れだったのでしょう。と同時に9番レーヌミノルの頑張りが光りますね。

 勝ったペルシアンナイトは休み明け2戦目でプラス12㎏でしたが、太くはありませんでした。これが3歳の成長力でしょうか。レースは出足がひと息で、ジックリと後方から。デムーロ騎手の動きを見ると最初から内に入れるつもりのようでした。この馬場ですから直線は馬群が横に広がると考えていたのでしょうか。直線では前を行くレッドファルクスが内に進路を取るやいなや、こちらは外へ外へ進路を取り、最後は馬の間から抜け出してきました。エアスピネルのムーア騎手は少し出していって中団につけました。反応良く抜け出して勝ちパターンだったと思います。今回は相手を褒めるしかないでしょう。

 3着にも3歳馬のサングレーザーが入りました。道中は内目の枠を生かしてロスなく立ち回れました。またエアスピネルをピッタリとマークして、直線もエアスピネルの外にうまく出して追い上げましたが、捕らえるまでには至らず。これが現時点での力の差でしょう。マイルの距離はまったく問題ありませんでした。レーヌミノルは前述通り、流れを考えると強い競馬をしています。勝ち馬に交わされてからも渋太い走り。考えてみればマイルG1を勝っているのはこの馬とサトノアラジンの2頭だけ。やはりマイル以下がベストなのでしょう。同じ稍重馬場でキツい流れを押し切った桜花賞から、これぐらいのパフォーマンスを発揮しても不思議はありませんでした。

 1番人気のイスラボニータは5着。道中はエアスピネルを見ながらレースを進めました。確かに直線に向いて内から寄られるシーンはありましたが、それにしても勝負どころの反応で見劣りました。最後はジワジワと脚を伸ばしてきましたが、掲示板まで。微妙な差ですが、4コーナーで他の上位より外を回った分だけ脚を使わされたということもあるでしょうし、こういった馬場も今ひとつでしょう。春の安田記念を制したサトノアラジンは12着。最初から外ありきの騎乗でしたが、ブラックムーンにも後れを取ったあたり、ジョッキーの乗り方云々ではないと思います。不良馬場の天皇賞秋の反動でしょうか。また良馬場で見直したいですね。

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。