第18回 チャンピオンズカップ(G1)
強かったですねぇ、ゴールドドリーム。今年のフェブラリーS覇者でしたが、戦前は8番人気の低評価。それを覆す勝利でした。同一年にJRAのダートG1完全制覇は、2000年のウイングアロー、2011年のトランセンドに続く史上3頭目の快挙です。この日は奇しくも現地にウイングアローがイベントで来場していました。そして、レーシングプログラムの裏表紙にはトランセンドの姿が! いや、嘘のような本当の話でございます。R.ムーア騎手はJRAで7つ目のG1勝ち。これも凄いですね。管理する平田修調教師はカレンブラックヒルのNHKマイルCと合わせて3つ目。それではレースラップです。
1:50.1(12.8 – 10.9 – 12.5 – 12.7 – 12.7 – 12.3 – 12.0 – 11.8 – 12.4)
レースは予想通り最内枠のコパノリッキーがハナへ。外枠からテイエムジンソクが並びかけていきましたが、古川騎手が2番手でガッチリと抑えたことでレースの質が決まりました。先行有利となった2014年と比べるとテンの入りは速いですが、中盤の3ハロン37秒7は、中京で行われるようになった過去4年で最も遅いです。所謂、中緩みのラップ。上がりもサウンドトゥルーが好走した過去2年は、ラスト3ハロン37秒9、37秒7とかかりましたが、今年は過去4年で最も速い36秒2。ラップ的に見ても先行有利でした。
勝ったゴールドドリームはプラス14㎏でしたが、特に太くは見えませんでしたし、紙面上の調教注目馬では1番手でした。スタートはアオッてひと息。テンは促して徐々に内へ進路を取り、中団の後ろへ。勝負どころの捌きは秀逸。ギリギリまで脚を溜めて、ここというところで馬群の外へと出し、そこから脚を伸ばすと、直線半ばでもう一段ギアが上がって一気に差し切りました。力強さや粘り強さが問われやすい中距離ダート戦ですが、マイラーらしい切れを生かせる流れになったことが最大の勝因かと。しかし、R.ムーア騎手は追えますね~。人馬ともにお見事でした。
1番人気のテイエムジンソクの2着。普通なら勝っておかしくない展開でした。慎重に乗り過ぎたという意見もあるようですが、残り800mからジワジワと馬体を併せていって、4コーナー付近のラップが12秒0でしたからね。自分のリズムで逃げているコパノリッキーをマクり切ろうと思ったら11秒台は確実で、そのダメージはいかほどだったか。また中緩みの向正面で仕掛ければゴールドドリーム向きの流れにはなっていなかったかも知れませんが、そうなると他の追い込み馬の台頭を許したかも知れません。古川騎手はうまく乗ったと思います。実際、他の後方待機組は来ていないわけですからね。相手が悪かったとしか。
3着は逃げたコパノリッキー。2番手のテイエムジンソクが抑えたことで、道中はマイペースで運べました。こうなると実績は最右翼ですから簡単には止まりません。ゴール寸前まで粘って勝ち馬からクビ、クビ差。ケイティブレイブは道中は3番手のイン。直線で前2頭の外に出して脚を伸ばそうとしますが、テイエムジンソクが外にモタれ気味にだったので、こちらも外へ外へ。ただ、着差を考えると前3頭には完敗でしたかね。昨年2着のアウォーディーは5着。そう切れるタイプではないので、正直もっとペースが流れて欲しかったと思います。決して展開が向いたとは言えない中で、終始、外々を回ってジワジワと脚を伸ばしたように力があります。ただ、7歳以上は不利のデータは証明する結果に。
昨年の覇者で今年は2番人気だったサウンドトゥルーは11着でした。後方のインからレースを進めたのは昨年と同じ。ただ、違った点が2つ。1つは序盤で述べたようにペース。2つ目は4コーナーから直線にかけて。昨年は周りに馬がおらず、勢いをつけて直線に向いて、そこからうまく外に出して一気に差し切りました。今年は昨年ほどスムーズには捌けず。それでも昨年に使った上がりが35秒8。スムーズでも厳しかったですかね。
text by 小林
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。