人馬の夢、叶う
2018年2月18日(日)1回東京8日目11R第35回フェブラリーS(GⅠ)は単勝4番人気に支持されたノンコノユメ(父トワイニング×母ノンコ)が優勝。98年グルメフロンティア以来となる関東馬の優勝でした。激しい気性を考慮し、4歳時の帝王賞後に去勢。復帰後はなかなか結果が出ず、苦しい時期が続きました。しかし、昨秋の武蔵野Sでノンコノユメらしい末脚を見せて④着に食い込むと、年明け緒戦の根岸Sでは約2年ぶりの勝利。完全復調を果たし、待望のJRAのGⅠ競走制覇を成し遂げました。加藤征弘師にとってもこれがJRAのGⅠ初勝利。
それではレースを振り返りましょう。
勝ち時計 1分36秒0(晴れ・良)
前半3F → 後半3F 34秒1 → 37秒7
12.2 – 10.7 – 11.2 – 11.7 – 12.5 – 12.6 – 12.3 – 12.8
参考17年 1分35秒1(良) 勝ち馬ゴールドドリーム
前半3F → 後半3F 34秒0 → 36秒1
12.1 – 10.5 – 11.4 – 12.2 – 12.8 – 11.8 – 12.0 – 12.3
【展開・ペース】
東京7、8日目のダートは今開催中で最も時計がかかりました。その分、昨年に比べると地味な勝ちタイムでしたが、前半3ハロンは過去10年で最も速かった昨年より0秒1遅いだけでした。ニシケンモノノフが逃げてケイティブレイブ、テイエムジンソクがプレッシャーをかけながら追いかける形。レース中盤も極端にペースが緩むことはなく、逃げ・先行タイプにはかなり厳しい展開になりました。掲示板に載った5頭の4コーナー通過順を並べると13、8、6、8、11番手。中団から後方に陣取った差し・追い込み型が上位を占めました。
【レース分析】
ノンコノユメは連覇を狙うゴールドドリームをマークしながら後方を追走。3コーナー付近で進出を試みますが、反応が鈍く、先に動いたゴールドドリームに離されてしまいます。ただ、これは根岸Sでも見られたシーンで鞍上にとっても想定内だったはず。直線に向くと内田博騎手の右ムチにしっかり反応。残り1ハロンを過ぎて前2頭に追いつき、叩き合いに持ち込むと、ゴール寸前でゴールドドリームを競り落としました。
「末脚を生かす競馬をしようと考えていました。作戦通り、被せられずにいつでも外に出せるポジションにつけることができました。直線でゴールドドリームに少し離されたんですが、力を振り絞って走ってくれました。コツコツと頑張っていれば勝てる日が来ると証明できました」 と内田博幸騎手。内田騎手自身、3年半ぶりとなるJRAのGⅠ勝利。喜びひとしおのコメントでしたね。
連覇を狙ったゴールドドリームは②着。「周りに力差がある馬がいて、それを捌こうとして早目に動く形になりました。その分、最後は甘くなりました」とムーア騎手。チャンピオンズCは自分のタイミングで動けましたが、今回は圧倒的な1番人気。勝ち馬とクビ差という着差を考えると、もう少し仕掛けを待っていれば違った結果になった可能性はありますが、状況が違った分、仕方ない面も。むしろ、ノンコノユメに並ばれてから1度差し返すように伸びたあたりはさすがGⅠホース。休み明けでもキッチリ仕上げた陣営の手腕も光りました。チャンピオンズC、フェブラリーSと舞台は違えど、異なるペースで崩れず勝ち負けした点は成長の証。ムラな面が解消し、今年は交流重賞も含めたダート界平定へ乗り出します。
インカンテーションは戦前から内枠がどうか?という懸念がありました。しかし、レースは前5頭が集団を形成し、距離を置いて第2集団という隊列に。自身は第2集団の前につけていましたが、馬群が切れたことで極端に砂を被ったり、揉まれたりせずに運べました。直線はゴールドドリームと一緒に伸びて激しい追い比べ。結果は③着でも、着差はクビ+クビ差。長らくダート界を牽引したコパノリッキーらと同じ8歳世代の衰えぬ底力を示しました。
サンライズノヴァが③着から3馬身離されての④着。勝利したユニコーンS、グリーンチャンネルCが前走から距離を短縮していたのに対し、前走より距離が延びた昨年の武蔵野S(1番人気⑫着)、そして今回は結果が出ませんでした。折り合って運べているように映ったものの脚が溜まり切ってはいなかった様子。2番人気テイエムジンソクは芝スタート、コーナー2回のコース形態にも上手に対応できましたが、先行勢には厳しい急流に巻き込まれて失速。これは仕方ありません。息を入れて運ぶことができる1周競馬に替わればすぐに巻き返しがあっていいでしょう。
text by 藤原
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。