1月13日に中山競馬場で行われた第36回GⅢフェアリーS(芝1600m・3歳牝馬・別定)はスマイルカナ(単勝3番人気)が鮮やかに逃げ切り、初挑戦で重賞制覇を決めた。ゴール後、デビュー戦から騎乗している柴田大知騎手の左手が高らかに上がった。管理する美浦・高橋祥泰調教師にとっては17年ぶりとなるJRA重賞勝ち。スマイルカナは北海道新ひだか町の木田牧場の生産馬。馬主は岡田繁幸さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 戦前はハイペースが予想されましたが、最内枠を引いたスマイルカナが好スタートを決めて、外枠だった他の先行型が折り合い重視のレースを選択したので単騎逃げの形に。但し、極端にペースを落とすことはせずに4ハロン通過が47秒0、後半も47秒0と文字通りの平均ペース。道中も最も遅いラップで12秒1ですから、鞍上が馬の身上であるスピードの持続力をフルに生かす好騎乗でした。
【レース分析】 スマイルカナ(3番人気)の勝因は好枠+好騎乗も大きかったですが、当日の体重も微増ながら過去最高で、体調面も充実していたようです。レース後に柴田大知騎手は「今日はテンションも高くて、不安の方が大きかったですが、馬の力を信じて乗って良かったです。身体能力の高い馬で、スタートから出て行ってくれました。道中もリズムを崩さずに走れましたし、前向きでギアがあるのがいいところ。テンションが上がりやすいので、そのあたりを抑えていけるかが今後の課題でしょう」とコメント。馬体も細身なので、桜花賞に向けては長距離輸送もポイントになりそうですが、展開なども含めて、3歳牝馬路線で注目の存在となったことは間違いありません。
②着のチェーンオブラブ(7番人気)は勝ち馬が作った緩みのない流れを味方にして、赤松賞では後塵を拝した④着馬を逆転する結果に。こちらは当日の馬体が少し細めに映ったので、今後は体重の推移などにも注意したいですが、末脚の鋭さは魅力十分ですね。自分が◎に推したポレンティア(5番人気)は休み明け、初めての当日輸送でも落ち着いた気配に好感が持てましたが、レースではスタートが今ひとつ。池添騎手が巧みにリカバリーしていましたが、脚をためて切れるタイプではないので、結果的に馬群の中で折り合う形になったのは誤算。直線でジリジリ脚は伸ばしていたので、勝ち馬を見る位置から早めに並びかけられれば、際どい勝負になっていた気がします。距離も延びた方がレースはしやすいでしょう。まだキャリア2戦ですし、今後の動向も注視していきたいと思っています。
人気を集めたアヌラーダプラは直線の伸びが案外で⑥着止まり。スローの瞬発力比べで能力を発揮してきたので、今回は勝手が違った印象ですし、今の中山の少し時計を要す馬場+緩みのない流れだと、マイルの距離も微妙に長かったのかもしれません。鋭さが生きる設定なら見直しが必要でしょう。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】〇前走クラス・・・勝ったスマイルカナは前走1勝クラス①着、②着チェーンオブラブは前走赤松賞(1勝クラス)④着。1勝クラスに関しては③→④着に取捨の基準を改めたい。ただし、1、2枠に入っていれば凡退後でもマークが必要。新馬組のポレンティアは③着。来年以降も同組が連対するのは難しそうだ。 〇前走馬体重・・・②着チェーンオブラブが前走468キロ、③着ポレンティアは488キロ。大柄な馬が有利という傾向は今年も継続。ただし、スマイルカナのような小兵でも1枠に入っていればしっかりと押さえたい。 〇ディープインパクト産駒・・・今年は唯一の同産駒スマイルカナが優勝。これで15年以降、条件を問わず、前走で勝っていれば[2・1・1・1]となった。 |