第80回 オークス 回顧

 

　5月24日に東京競馬場で行われた第80回ＧⅠオークス（芝2400ｍ・3歳牝馬・定量）はデアリングタクト（単勝1番人気）が優勝。デビューから土付かずでのＧⅠ桜花賞、オークス二冠制覇は1957年のミスオンワード以来、63年ぶりとなる快挙。この秋は史上初となる無敗の3冠牝馬が誕生するのかに注目が集まる。鞍上はデビューからコンビを組み続けている松山弘平騎手。管理するのは栗東・杉山晴紀調教師。デアリングタクトは北海道日高町・長谷川牧場の生産馬。馬主は㈱ノルマンディーサラブレッドレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】　大方の予想通りスマイルカナが主導権を握り、序盤は緩みのない流れでしたが、中盤でペースが落ちて7ハロン目が13秒0。このため、昨年（勝ち時計は2分22秒8）ほどの速いタイムでの決着にはなりませんでしたが、上がり3ハロンはすべて11秒台ですから、レースのレベル自体は低くないと考えたほうがいいでしょう。また、展開を考えると、レースの流れに乗れた２頭が②③着に健闘したことも頷けます。

 

【レース分析】　無敗の2冠馬となったデアリングタクト(1番人気)はパドックで一番後ろを周回していましたが、極端にイレ込むような様子はなく、当日の馬体重も桜花賞と同じ。無観客競馬のために、落ち着いた雰囲気でレースに臨めたことも勝因のひとつでしょう。

 

 

 

「期待に応えることができてホッとしています。スタートが良かったのである程度、中団につけようと思いましたが、内めの争いが激しく、１～２角あたりで狭くなったり、接触したりしてしたので、ひとつ下げて折り合いに専念しました。直線も少しは狭くなりましたが、切り替えて馬場の真ん中から伸びてくれて、強い競馬をしてくれました。厩舎の方々がしっかり仕上げてくれたので今日は馬落ち着いていましたし、がんばってくれた馬にもありがとうと言いたいですね」と松山弘平騎手はレース後にコメント。確かにスムーズな競馬ではありませんでしたが、それをクリアした操縦性の高さも今までに見られなかったもの。今後は無敗での3冠制覇を目指すのでしょうが、年長馬との対戦を見てみたいと思うのは、ちょっと気が早いですかね。

 

 

　②着のウインマリリン(７番人気)は外枠から先行し、勝負どころでは好位のインで脚をためる鞍上の見事な手綱捌きが光りましたが、トライアルのＧⅡフローラSを勝っていた割には人気がなかった感じも。レース運びの巧みさ、自在性が身上のタイプですから、今後も大崩れはしないでしょう。③着のウインマイティー(13番人気)も忘れな草賞の勝ち馬ですから、終わってみれば驚けない健闘ですが、正攻法に近い競馬から一旦は先頭に立って見せ場十分。ある程度、時計の速い競馬に対応した点も大きな収穫といえます。余談ですが、先日のＧⅠ ＮＨＫマイルＣは前走②着の馬が①～③着、そして今回は前走で①着の馬が馬券圏内を占めました。果たして日本ダービーはどうなるのでしょう？

　次走以降に向けて強調しておきたいのは⑤着のマジックキャッスル(14番人気)で、道中は後方で折り合いに専念。直線を向いた時も手応えは十分でしたが、開いていた進路に勝ち馬が先に入っていまったので、ブレーキを踏むようなシーンが。そこからの伸び脚は目立っていましたから、今後も距離云々を気にする必要はなく、桜花賞の敗因も道悪と明確になりました。一方、自分が◎にしたクラヴァシュドールは3番人気で⑮着と残念な結果。鞍上は硬い馬場を敗因に挙げていましたが、2キロ減の馬体はギリギリに映り、そんな状態だと2400mは長かった印象も受けました。立て直して臨むであろう次走のレースぶりに改めて注目したいと思っています。

 

 

 

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　text by 五十嵐 友二

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ち馬は前走、桜花賞で2番人気①着、②着馬は前走、フローラＳで①着、③着馬は前走、忘れな草賞①着といずれも上記の条件を満たしていた。 〇キャリア・・・キャリア2戦で挑んだデゼルが⑪着、アブレイズは⑰着。戦歴の浅い馬は厳しい結果に。ただ、ここまで6戦を消化していたウインマイティーが③着と健闘。来年以降、キャリア6戦以上の馬は連対は難しいが、③着候補として狙ってみたい。