8月9日に新潟競馬場で行われた第12回GⅢレパードS(ダート1800m・3歳・馬齢重量・曇り・不良馬場)はケンシンコウ(単勝7番人気)が鮮やかに逃げ切って重賞初勝利。鞍上は丸山元気騎手。管理するのは美浦・小西一男調教師。ケンシンコウは北海道静内町・静内山田牧場の生産馬。馬主は天野克彦さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 逃げ候補とされたタイガーインディが強引にはハナを主張せず、先行集団がひと塊で1コーナーへ。最内枠だったケンシンコウは気性的に幼さを残すタイプ。馬群に包まれるよりは、と丸山騎手は敢えて逃げの手に出る決断を下す。タイガーインディが2番手で折り合った分、ペースは上がらず、前半1000m通過は60秒7。例年の当レースでは急流ですが、今年は走りやすく、レコードが飛び出した不良馬場。その点を考慮するとそれほど速いペースではありませんでした。
気持ちを優先し、勝利に導いた丸山J
【レース分析】 ケンシンコウはこれまで何度も「まだ気性が幼い」というフレーズが陣営から出ていた馬。それでいながらGⅢユニコーンSで③着だから高性能。ただ、今回はコーナー2回の東京マイルからコースを1周する新潟1800mに舞台が替わる。スタートはどうか?緩急のある1周競馬で折り合いはつくか?輸送してイレ込みは?など多くの不安要素を抱えており、私は印を回すことができなかった。先に丸山騎手のレース後の談話を紹介すると
「終わってみれば強かったです。本音を言えば逃げたくはありませんでしたが、抑え切れないくらいの手応えでした。4コーナーの反応は良かったですし、まだ余裕がありました。ここ最近は落ち着いてレースができるようになっていますし、気性が成長してきました。まだ手前を替えてくれなかったり、課題はあるのですが、もっと成長してくれると思いますし、秋が楽しみです」という内容。レース中に集中が途切れてしまうのが一番まずいケース。ケンシンコウの気持ちを優先し、最内枠ということもあってハナを奪い、ノビノビと走らせることに成功した丸山騎手の好判断が光った。それにしても、最後の直線では舌を出しながら2馬身半差をつけて完勝。今後は1周競馬で他に速い馬がいる際に、控えてもしっかり力を出せるかが課題に。ただ、それもクリアするようならタイトルをどんどん上積みできるポテンシャルを秘めている。
立ち回りのうまさ光ったミヤジコクオウ
②着はミヤジコクオウ。左回りの経験がない点を心配しましたが、中団のインに潜り込んでロスなく追走。4コーナーから直線に入り口にかけて左ムチを入れながらズバッと外へ。この日はレコード決着となったように時計の出やすい馬場。得てしてこんな馬場状態ですと少しの距離ロスが明暗を分けることに。道中、ラチ沿いをロスなく運んだことが好走に繋がりました。また左回りでも結果を出せたことは収穫。秋以降、東京や中京が舞台の重賞戦線でもしっかりと結果を出せるでしょう。
◎に推したブランクチェックは③着に終わりましたが、初めて経験する内枠から泥を被るレースでも、最後までしっかり伸びた点は見逃せません。また1800mをこなせたことで今後の展望も開けたはず。過去、レパードSで馬券に絡んだ牝馬といいますとタマノブリュネット、サルサディオーネがいますが、どちらもその後は牝馬交流重賞戦線で好走。ブランクチェックにも同じような活躍を期待してもいいでしょう。1番人気に推されたデュードヴァンは④着。好位に陣取りながら伸びあぐねてしまいました。現状、正攻法のレース運びだと1800mは少し長いのでしょう。ただ、前走のように追い込むレースもできる自在型。戦法を変更すれば1800mも克服して驚けず、大きく評価を下げるのは危険な気がします。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・①着馬は前走がGⅢユニコーンSで11番人気③着。人気薄での好走でも続けて馬券に絡んだ。ユニコーンS組を前走人気で取捨する方法は来年以降は不採用としたい。②着馬はジャパンダートダービー⑤着。③着馬は2勝クラス勝ちとその他のクラスにおける選別の条件は変えなくて良さそうだ。 〇左回り経験・・・芝を含めても左回りの経験がなかったミヤジコクオウが②着に好走。この条件も来年は使えない。 |