8月30日に札幌競馬場で行われた第15回GⅢキーンランドカップ(芝1200m・3歳以上・別定・小雨・重馬場)はエイティーンガール(単勝5番人気)が鮮やかに差し切って優勝。サマースプリントシリーズ第5戦目は夏の短距離重賞らしく、充実期を迎えた4歳牝馬が初重賞制覇を決めた。鞍上は5月の鞍馬Sからコンビを組んでいる坂井瑠星騎手。管理する栗東・飯田祐史調教師にとってはこれが嬉しいJRAの平地重賞初勝利。エイティーンガールは北海道日高町・庄野牧場の生産馬。馬主は中山泰志さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 逃げを宣言していたイベリスですが、スタートが決まらず、控える形に。ハナを主張する馬がいないとみて外からクールティアラが主導権を握りました。前半3ハロン通過は34秒8。重賞にしては決して速いペースではありませんでしたが、先行勢は最後に止まり、馬場状態のいい外を通れた差しタイプが台頭しました。
馬場も味方に鮮やかな直線一気
【レース分析】 完歩が小さく、回転の速いピッチ走法。エイティーンガールが重馬場を苦にせず、力強く差し切りました。好走要因として7枠から馬場のいい外目を通れたことが挙げられますが、いつもより仕掛けての反応が良く、3~4コーナーではスーッとポジションを上げることができました。前走のUHB賞は普段の後方待機策ではなく、積極的に好位追走。これが刺激となったようで「行きっぷりが良かった」と坂井瑠星騎手はレース後の談話で触れていますね。芝1200mで4勝目となりましたが、その勝ちタイムを並べてみると最も速いもので1分08秒7。今後は時計の速い決着でも同じように差し込めるかが課題になるでしょうが、今回のようなタイムのかかる舞台設定ならば重賞、GⅠレースでも勝ち負けして不思議ありません。
上昇辿ってGⅠへ進むライトオンキュー
②着に食い込んだのはライトオンキュー(2番人気)。ドバイ遠征(レースは中止)からの帰国緒戦となったGⅢ函館スプリントSこそ⑥着に敗れましたが、その後は①②着。今回は馬群の外めを進出し、直線では一旦、抜け出すシーン。57キロを背負っていた点を考えれば中身は濃く、馬体も引き締まっていよいよ完全復調成った印象。いい形でGⅠスプリンターズSに向かえそうです。③着には過去、重馬場で2勝しているディメンシオン(単勝9番人気)が入りました。本来は先行して粘り込むのが好走スタイルですが、この日はライトオンキューをマークするように中団を進み、末脚を伸ばして好走。短距離なら差す戦法が合うようですね。
1番人気ダイアトニックは⑮着。悪路もこなせると踏んでいましたが、道悪でも洋芝だと勝手が違うのか行きっぷりがひと息。また最内枠から馬場の悪いインを通らされた影響も大きかったように思います。武豊騎手は懸命に外へ持ち出そうとしましたが・・・。このレースに関しては参考外と考えていいでしょう。私の本命メイショウショウブも内枠がアダになった点は否めず。ただ、6ハロンは合っていますから、タメてひと脚使えれば重賞でも好レースになるはず。今後も注目したいところ。気になったのはビリーバー。終始、内を通りながらも直線は内ラチ沿いから上々の伸びを見せました。前走のGⅢアイビスSD③着からも力をつけていますね。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ったエイティーンガールは前走がOP特別で1番人気。②着ライトオンキューは前走OP特別①着。連対馬の満たすべき条件に合致していた。 〇馬齢・・・①、③着馬は牝馬。②着ライトオンキューは5歳牡馬。少し割り引いたのが痛恨。来年以降、牡馬に関してもそれほど馬齢にこだわらない方がいいだろう。 〇枠順・・・降雨の影響もあったが、7枠→6枠と外枠同士で決着。これは来年以降も覚えておきたい傾向だ。 |