5月17日に東京競馬場で行われた第15回GⅠ ヴィクトリアマイル(芝1600m・4歳以上・牝馬・定量)はアーモンドアイ(単勝1番人気)が優勝。GⅠ有馬記念敗退後、ドバイへ遠征するもコロナウイルスの影響により、レースが中止となってしまう。帰国後は当レースに目標を切り替えて調整され、見事に7つ目のGⅠタイトルを獲得した。鞍上はC.ルメール騎手。管理するのは美浦・国枝栄調教師アーモンドアイは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

ディメンシオンセラピアは出走取消

 

【展開・ペース】 外からトロワゼトワルがハナを切り、少し離れた2番手にコントラチェックが続く形。前半の半マイル通過は45秒6。これはレースレコードの決着となった2019年よりも0秒8遅く、良馬場に回復したこの日の芝の状態を考慮すると平均ペースだったと考えていいでしょう。各馬の鞍上は、「なるべく外を回さず、内を通りたい」という思惑もあったのでしょう。馬群は段々と縦長に。結果的に位置取りによる差が出た形に。

 

【レース分析】 当日、姿を見せたアーモンドアイは、いつもほどの覇気がなく、個人的には85点くらいの仕上がりだと感じました。ただ、これはC.ルメール騎手の言葉を借りれば、大人になったということなのでしょう。2、3歳時ほどではないにしても若干、不安定さが残るスタートをしっかりと決めると、先行勢を射程圏内に入れたポジションを取ります。外から被せられることもなく、手応え良く3、4コーナーを通過。直線に向くと他馬の鞍上の手が激しく動く中、馬なりのまま、先頭に躍り出ます。C.ルメール騎手は本当に軽く仕掛けただけで最後は②着に4馬身差をつけて楽勝。

勝ち時計は昨年の当レースと0秒1差の1分30秒6。ただ、道中のペースは今年の方が遅く、アーモンドアイは自身の脚力によって1分30秒台まで決着タイムを引き上げてしまいました。ひとこと、アーモンドアイは別格でしたね。出走予定だったドバイターフが中止となり、輸送が空振りに。またこの状況ですからスムーズに帰国することもままならなかったことでしょう。そこから立て直しての仕上げは決して容易でなかったと推察できますが、しっかり能力を発揮できる状態に戻っていました。

 

 

「パドックからスタートまでいい感じで、大人になりました。リラックスしていてとても乗りやすく、最後はパワフルストライドを使いました。この馬のレースはいつもスタートによりますが、今日は凄く良かったので、サウンドキアラの後ろのいいポジションを取れましたし、プレッシャーもなくマイペースで走ることができました。これなら負けません。間違いなくレジェンドホースですし、特別な馬です。またGⅠを勝つことができるでしょう。追い切りに乗ってくれた三浦皇成騎手にも感謝したいと思います」C.ルメール騎手。移動制限により、美浦トレセンでの追い切りに騎乗できなかったC.ルメール騎手。最後は2週続けて追い切りに騎乗し、調整に携わった三浦皇成騎手へ感謝の言葉を述べています。チーム・アーモンドアイの結束力の強さも彼女の活躍を支える重要なピースであることを再認識させられました。日本競馬史上初となる芝GⅠ8勝目の偉業達成成るか、次走に注目が集まります。

 

アーモンドアイの4代血統表

 

 サウンドキアラはパドックから少しうるさかったものの、気力が充実して馬体にもボリュームもあり、いい状態に映りました。大外枠に入りましたが、積極的にポジションを取りに動いたのは松山騎手のファインプレー。最後はアーモンドアイに離されましたが、直線は渋太く脚を伸ばして②着に食い込みました。連覇を狙ったノームコアは体が絞れて活気溢れる周回。勝利した昨年の状態に戻っていましたね。この馬も外枠で、厳しいレースを強いられましたが、折り合いをつけつつ、コースロスを最小限にとどめた横山典弘騎手の手腕も光りました。

 本命に推したスカーレットカラーは、抜群のデキに映りましたが、スタートで後手を踏み、外枠の分、前に壁を作れず。また平均ペースとはいえ、淀みのない流れで脚を溜めることもできませんでした。いろいろなロスが重なってしまいましたから大敗も致し方ないところでしょう。

 

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬と③着馬の前走はともにGⅠだから着順不問。問題は②着馬。不振と記したGⅡ阪神牝馬Sの優勝馬だった。ジンクスはいつか覆されるもの・・・。来年以降は、GⅡ阪神牝馬Sの勝ち馬もしっかりと馬券に絡めたい。

〇リピーター・・・前年②着のプリモシーンこそ➇着に敗れたが、前年覇者ノームコアは③着確保。リピーターレースとしての傾向は継続しており、今年の好走馬には来年も注意が必要だ。

 


 
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