11月6日(土曜)に東京競馬場で行われた第57回GⅡ京王杯2歳S(芝1400m・2歳・晴れ・良馬場)はキングエルメス(単勝8番人気)が2番手から抜け出すと後続を振り切って優勝。騎乗した坂井瑠星騎手は京王杯2歳Sは初勝利。管理する栗東・矢作芳人調教師は2010年グランプリボス以来となる当レース2勝目。キングエルメスは北海道新ひだか町木村秀則さんの生産馬。馬主は広尾レース㈱。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 好スタートを決めたトウシンマカオとキングエルメス。内からスズカコテキタイが並びかけてくると折り合いを優先してハナを譲り、3~4ハロン目は11秒7→12秒1とペースダウン。ただ、勝負どころから2ハロンが11秒0→11秒3と速くなり、ここで後続は追走に脚を使わされたようで、ラストの1ハロンが11秒8を要しても差しタイプはあまり伸びてこない形に。ペース的にはスローでもスピードの持続力が問われる展開になりました。
見事に立て直して重賞制覇
【レース分析】 勝ったキングエルメス(8番人気)は放牧明けで18キロの体重増でも太め感はなく、成長を促した効果が窺える気配。スタートで後手を踏んだ前走と違い、先行してスムーズなレース運びから、あまり他馬の仕掛けなどを意識しない感じで早めにスパート。そのまま後続を振り切りました。
「体重が増えて、返し馬の段階から前回とは明らかに違って良くなっていましたし、新馬戦と同様にスタートが良かったので、自信を持って正攻法の競馬をしました。道中も気分良く走っていたので、ペースは気にせず、この馬のリズムでレースを進めました。直線でも手応えは十分だったので、何とか振り切ってくれと追いました。前走は気持ちが噛み合わずに結果を出せませんでしたが、新馬の時から素質のある馬だと思っていましたし、こうして重賞を勝たせてもらって、いい形で暮れに向かうことができます」とレース後に坂井瑠星騎手はコメント。まだ若さは残しているようですが、個人的なイメージとしては、今年のニュージーランドTを快勝した同厩舎、同馬主のバスラットレオンと重なる部分が多い印象。同馬が④着だったGⅠ朝日杯FSでも注目の存在といえます。マイルを超える距離に対応できるかは気性面が成長し、脚質などに幅が出てくるかがポイントになりそうです。
伸びしろ十分ベルクレスタ
②着が当日版で◎にしていたトウシンマカオ(4番人気)で、スピード感のあるレースぶりは期待通り。最後まで前に並びかけることはできませんでしたが、自身も脚いろが鈍ることはなく、戸崎騎手も「競馬は凄く上手になっていました。内容的にはとても良かったです」とコメント。折り合いさえ無事なら新馬を勝った時と同じマイルに距離を戻しても問題はなさそうです。③着ラブリイユアアイズ(3番人気)はゴール前で最後まで脚を伸ばしていたレースぶりが印象的。前走で1500mのオープン特別を勝っていますし、こちらも少なくともマイルまでは守備範囲。ただ、放牧明けでも体重が減っていたので、関西に輸送した場合などは当日の馬体、気配に注意が必要でしょう。
一方、1番人気で④着に敗れたコラリンは、数字的には上がり3ハロンが先着3頭を上回っていますが、ラストは脚が鈍っていた感じに。ヨーイドンの瞬発力勝負なら1400mに対応可能でも、本質的には1200mがベストの印象。⑤着のレッツリブオン(6番人気)は前走の時計で走れておらず、馬込みの中でタイトな競馬になった分、弾けなかったのでは。単純に力負けとは考えない方がいいでしょう。以下で気になったのは10番人気で⑫着に終わったジャスパークローネで、直線で内にモタれるなど、若さの目立つレースぶり。最後は鞍上も無理をしていませんでしたが、4コーナーを回る時の手応えの良さを考えると、1200mに距離を詰めてきたら狙い目になりそうです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・①着馬は前走がOP特別⑤着。②着馬は前走新馬勝ち。OP特別敗退組と新馬組で決着したように近年とは一線を画す結果。データ室としては手も足も出なかった。大きく潮目が変わったのかも。来年は実績にこだわらず、ローテーションや血統など違う側面から好走馬を探した方が良さそう!?
《京王杯2歳S 2016-20》 |