12月4日(土曜)に中山競馬場で行われた第55回GⅡステイヤーズS(芝3600m・3歳以上・晴れ・良馬場)は単勝6番人気ディバインフォースが鮮やかに差し切って優勝。騎乗した田辺裕信騎手、管理する栗東・寺島良調教師ともに当レースは初勝利。ディバインフォースは北海道安平町追分ファームの生産馬。馬主は吉田晴哉さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 レースを1200m毎に3分割し、通過タイムを並べると78.1~78.4~71.1=227.6(3分47秒6)。途中から主導権を握ったアイアンバローズはゆったりとしたラップを刻んで先導。外を回って進出し、差し切ったディバインフォースは文句なしの勝ちっぷり。完勝と言っていいでしょう。
ステイヤーが適条件で本領発揮
【レース分析】 ディバインフォース(6番人気)はなかなか3勝クラスを勝ち切れず、今回は格上挑戦。しかし、3歳秋には菊花賞に出走。ワールドプレミアからコンマ3秒差の④着とステイヤーとしての高い適性を示していました。前走の古都Sは不向きな展開とトップハンデだったため敗れましたが、しっかりと脚を見せていました。田辺騎手は初騎乗でしたが、序盤から中団でじっくりと折り合いに専念。他馬が動いてもジッと我慢。このあたりの腹を括った騎乗はさすがは田辺騎手。存分に脚をためて、2周目の3コーナー付近からスパート。外を回るロスはありましたが、素晴らしい推進力。直線入り口で逃げるアイアンバローズを射程圏内に入れると、坂を上がってきっちりと差し切りました。3000m以上を走り切って尚、これだけの脚を使えるのは豊富なスタミナがあればこそ。
「成績にムラがあって距離に関してはやってみないと分からない部分がありましたので、直線に向くまでどれだけ脚を残しながら来られるかと考えていました。いい手応えで4コーナーを回ってきたときはいけると思いました。流れが遅い中であまり下げたくなかったのですが、最後はいい感じで進出できました」と田辺裕信騎手はコメント。やはり来年の目標は春の天皇賞ということになるでしょうか。対戦メンバーのレベルは一段階も二段階も上がりますが、しっかり折り合って運べれば確実に伸びてくるのが長所。展開ひとつではGⅠレースでも上位食い込みがあって驚けません。
積極策が奏功したアイアンバローズ
アイアンバローズ(4番人気)は上がり勝負よりもスタミナが生きる条件が向くタイプ。その点では中山芝3600mは合っていましたね。石橋脩騎手はリズムを優先して1周目の2コーナーでハナに立つ作戦を選択。その後は淡々とマイペースの逃げを打って、直線に向いたところでは一旦、後続を引き離しました。最後は勝ち馬の決め手に屈しましたが、中身の濃い②着。今後も長丁場で積極的なレースを続けていけば重賞制覇のチャンスは十分あります。③着シルヴァーソニック(5番人気)は3番手を進み、渋太く踏ん張りました。脚質は自在で、確実に力を発揮するタイプ。OPに上がってからはこれで⑤③着。崩れなく走れている点は評価していいでしょう。
トーセンカンビーナ(2番人気)は2周目の3コーナーあたりで手応えが怪しくなりましたが、直線では盛り返すように伸びて④着。スタートを決め、序盤からもう少し前で流れに乗れていれば更に上位に食い込めたはず。昨年の春の天皇賞では⑤着。この条件は合いますし、復調を示しました。1番人気カウディーリョは⑦着。落ち着いてレースに臨めたように映りましたが、最後の直線に向いてから脱落。輸送競馬だと勝手が違うのでしょうか。能力を考えると物足りない走りとなってしまいました。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ち馬は前走が3勝クラスで④着。②着馬は前走GⅡ⑥着。勝ち馬を拾うことが出来なかったのは痛恨。そのディバインフォースは3歳時にGⅠで④着という実績があった。そこで来年以降は過去にGⅠで掲示板に載った実績があれば、連対条件を満たしていなくても復活させて買い目に加えたい。 〇馬体重・・・前走時の馬体重が510キロ以上だった馬は2頭出走して⑪⑬着。巨漢馬は割り引いて考えるのが正解だろう。 〇オルフェーヴル産駒・・・今年は3頭出走して、勝利こそ挙げられなかったが、②③⑫着と2頭が馬券圏内に好走。2年続けて連対を果たしたのだからこれはもう本物。来年も同産駒が出走してくれば注目。
《ステイヤーズS 2016-20》 |