輝き増し、いざ決戦へ
2018年2月25日(日)2回中山2日目11R第92回中山記念(GⅡ)は単勝2番人気に支持されたウインブライト(父ステイゴールド×母サマーエタニティ)が優勝。管理するのは畠山吉宏調教師。鞍上はデビュー3戦目から手綱を取り続けている松岡正海騎手。過去10年の中山記念の優勝馬を振り返ってもヴィクトワールピサ、ジャスタウェイ、ドゥラメンテと錚々たる顔ぶれ。GⅠホース3頭を負かしての勝利に自信を深め、勇躍GⅠの舞台へと向かいます。
それではレースを振り返りましょう。
勝ち時計 1分47秒6(曇・良)
前半3F → 中盤3F → 後半3F 36秒2 → 34秒8 → 36秒6
12.8 – 11.7 – 11.7 – 11.5 – 11.5 – 11.8 – 12.2 – 11.9 – 12.5
参考16年 勝ち馬:ドゥラメンテ
前半3F → 中盤3F → 後半3F 36秒5 → 35秒6 → 34秒6
12.6 – 12.0 – 11.9 – 11.6 – 11.3 – 11.6 – 12.0 – 11.1 – 11.8
【展開・ペース】
マルターズアポジーが緩みのないペースで飛ばし、2番手をアエロリットが追う形。3番手以降は2頭から大きく離れていました。前半1000m通過は59秒2。参考として取り上げた16年も同59秒4と締まった流れになりましたが、上がり3Fは今年より2秒も速い34秒6。時計の比較だけですと凡戦に映りますが、中山の芝は生育が遅れているとのことで(上の写真を見ても生え揃っていない)、今開催は開幕週でも時計のかかるタフなコンディション。そのため瞬発力で勝負するタイプは厳しく、差し馬でも機動力、パワーを生かして3~4角である程度ポジションを上げておかないと勝ち負けに加わるのは厳しかった印象です。
【レース分析】
ウインブライトは使える上がりの脚に限界があるタイプ。完敗だった日本ダービー、毎日王冠の結果を見てもスローペース→33秒台の上がり3ハロンを要求される展開は苦手。その点でマルターズアポジーが引っ張って流れが緩まなかった点と、開幕週でも適度に力のいる馬場だったのがうまく噛み合い、存分に力を発揮することができました。ステイゴールド産駒で中山芝コースでは6戦3勝、②着2回。3歳時のGⅡスプリングSでも優勝しており、先行力と立ち回りのうまさも兼ね備えているこの馬にとって中山はまさに“庭”と言える舞台ですね。
「スタートが決まったので前で運ぶことができました。道中の折り合いは完璧。長くいい脚を使えるタイプなので持ち味を生かすように心がけました。このあとはGIを目指したいですね」と松岡騎手。このコメントを知り、鞍上がパートナーの良さを理解しているというのは強力な武器なんだなとレース後に改めて感じました。
アエロリットはプラス18キロでも馬体はキッチリ仕上がっていました。マルターズアポジーが引っ張る流れなら折り合いもつけやすかったですね。逃げ馬を射程圏内に入れて直線へ。秋華賞以来の実戦でしたから追って少し反応が鈍く、直線半ばでは反応良く伸びてきた勝ち馬に被せられるシーン。苦しい態勢に見えましたが、そこから急坂の部分で盛り返すように伸びて僅差②着。勿論、馬場状態などの違いはありますが、昨年の秋華賞ではモズカッチャンに前に出られると脚が上がって抵抗できなかった姿が印象に強く、レースぶりを見て古馬となって心身ともにグンとタフに成長したなと感じさせられました。
マルターズアポジーは柴田善臣騎手と初コンビ。前半から11秒台のラップを刻んでの逃げでしたが、残り3ハロン(3~4コーナー付近)で12秒2と減速し、ひと息入れられたのが最後のひと踏ん張りにつながったように思います。
ペルシアンナイトは出遅れて後方を追走。4コーナーを回って外に持ち出し、追い上げようとしますが、なかなか前との差は詰まらずに⑤着。ハービンジャー産駒ですが、瞬発力、末脚の鋭さが身上のタイプ。今日はパワーを必要とする馬場で良さを削がれた感じがします。この敗戦だけで1800mは長いと決め付けるのは早計でしょう。ヴィブロスも折り合いがついた割に弾けず、⑧着。ドバイ遠征が控えており、先を見据えた仕上げだったはずですし、過去の戦歴を見てもゆったりした流れからの瞬発力比べが得意なタイプ。今回のような流れは合わなかったのではないでしょうか。
text by 藤原
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。