2月は別れの月。70歳定年制を敷くJRAでは、2月25日が勇退・引退される調教師にとって中央競馬ラストデイ。そんな中で行われた第62回 阪急杯(G3)を勝ったのがダイアナヘイロー(牝5)。管理される福島信晴師の引退に花を添えました。武豊騎手は「馬の雰囲気は凄く良かった。途中から先手を取れていい形に。ラストはさすがに一杯一杯だったけど、何とか勝たせてくれと競馬の神様に祈った。去年もこの馬でいい競馬をさせていただいた福島調教師の引退週に重賞を勝つことができて良かった」とコメント。まさにドラマのような結末。

 「あなたは私より年上と 周りの人は言うけれど なんてたって構わない 私はあなたに首ったけ♪ by Paul Anka」ダイアナヘイローの福島先生に対する熱い思いが爆発して……。なんて冗談はさておいて、レースラップへ。

1:20.1(12.3 – 10.7 – 11.2 – 11.3 – 11.4 – 11.2 – 12.0)

 この日の9R すみれステークス(芝2200m)が2分11秒7のレースレコードで決着。開幕週で速い時計が出る状態だったと言えますし、不良馬場の15年を除くと、14.16.17年は前半3ハロン33秒8で入っており、それらと比べるとテンはやや緩め。それでも、中盤以降のラップは優秀で、レースレベルは決して低くありませんでした。ダイアナヘイローはもともと緩みのない消耗戦に強く、こういったレースラップは得意。1ハロン延びたこともあってテンに無理をする感じはありませんでした。一旦は枠なりでニシノラッシュがハナを切りましたが、これを1ハロン過ぎに外から交わして前へ。控えても競馬ができるタイプですが、前走の失速を考えると、ハナを取り切ったのは正解だったと思います。終い2ハロン目に11秒2とペースアップしてから目一杯に粘り込みました。この中間は中3週で前回以上の乗り込み。渾身の仕上げだったかと。

ダイアナヘイローの血統表

 一旦はハナを切ったニシノラッシュが4着に粘り込んだレース。外を回って追い込んだ2着、3着は、人気通りの地力を示す格好となりました。モズアスコットは折り合い重視で後方から。終始、馬群の外を回り、ラストはさすがの伸び。昨年の最優秀短距離馬レッドファルクスは本番を見据えた仕上げ。レースでは後方をついて回って、直線に向いてから大外へ。「末脚を生かしてほしいとの指示」とは川田騎手。上がり33秒8はレース最速。展開と別定58㎏を考えると十分な内容。8着までが0秒2差以内の大混戦でも人気2頭は強さをアピールするレースでした。

 他で気になった馬はシュウジ。内枠で脚をタメる競馬をして6着。勝負どころで動けず、直線も前にスペースがなかっただけに、スムーズならと思わせる内容。これまで教え込んだきたことが、ニューイヤーSあたりから実になってきましたね。3番人気のカラクレナイはスタートでモズアスコットが内にヨレた影響で他馬と接触。道中は我慢できていたと思いますが、ラスト1ハロンで失速してしまいました。上がり34秒4は同じ阪神1400mで行われたフィリーズレビューを勝った時と同じ。古馬重賞だと前も簡単には止まりませんし、相変わらずセンシティブな面を残してるようです。

text by 小林 

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