第78回 桜花賞
4月8日(日) 2回阪神6日 1600m 芝・右 外
1:33.1(12.3 – 10.7 – 11.5 – 12.1 – 12.1 – 11.5 – 11.3 – 11.6)
前半34.5 46.6─後半46.5 34.4の平均ペース。前半だけなら、あるいは後半だけなら今年よりも速い年はありましたが、中盤が少し緩んだ以外は速いペースで、先行した馬には厳しい展開。ラップが落ち着いたコーナーで追い上げることができた差し・追込馬が台頭する結果となりました。
アーモンドアイは休み明けでしたが、好仕上がり。スタートがひと息で後方からのレースになっても、慌てることなくジックリと運んで直線に向いた時には後方2番手。大外から追い出されると、一気に弾けて突き抜けました。上がり33秒2はレース最速。2番目に速いトーセンブレスが34秒2ですから、まさに次元の違う脚。ルメール騎手の「1600mだけが心配だった。スタート後のスピードの乗りがひと息で、一番後ろからになったけど、あまりライバルは意識せず、前にいる馬だけを見てジックリ運んだ」という談話からは、距離が延びるオークスでも期待を持てるといったところでしょうか。正直、シンザン記念のレベルはメンバー的に疑っていたのですが、やはり牡馬相手に重賞を勝つ馬は能力が高いです。父はロードカナロア。昨年の新種牡馬チャンピオン。母フサイチパンドラは2006年のオークス2着、エリザベス女王杯1着。曾祖母セックスアピールは不出走ですが、トライマイベスト、エルグランセニョール、曾孫にドームドライヴァーなど送り出した名繁殖。ロードカナロアは母系の良さを引き出す印象があります。
最近5年の桜花賞で4角4番手以内の馬は2頭しか馬券に絡んでいません。勝ち馬の決め手に屈したとはいえ、3番手で運んだラッキーライラックも非常に強い競馬でした。パドックの雰囲気も良かったです。最内枠を引いた時点で石橋 脩騎手がどう立ち回るのか注目していましたが、スタートを綺麗に決めましたし、うまく好位で捌いて直線もギリギリまで追い出しを我慢していました。G1で単勝1倍台でもあり、あれ以上後ろに下げる選択肢はなかったかと。実際に2着に来たわけですし、今回は相手が悪かったです。
4着~9着まではタイム差なしの1分33秒8でした。その中では、後方で脚をタメていたディープインパクト産駒のトーセンブレスが4着。これまで馬券に絡んだレースは2つあるのですが、共に後半4ハロンより前半4ハロンの方が1秒5以上遅いレースでした。現状では、ユッタリした流れからの決め手勝負がベターかもしれません。
第79回 優駿牝馬
5月20日(日) 2回東京10日 2400m 芝・左
2:23.8(12.6 – 11.1 – 12.0 – 11.9 – 12.0 – 12.2 – 12.4 – 12.3 – 12.4 – 12.2 – 11.1 – 11.6)
スタート後、サヤカチャンが押して押してハナを奪い、ランドネ、リリーノーブルが続く形。サヤカチャンは1、2コーナーを回ってもペースを落とさず、後続とのリードを広げていく。参考として挙げた2012年は1000m通過59秒1というタイトなペースながら約20馬身の間に逃げ馬から後方馬群までが収まっていた。これと比較すると今年は逃げ馬だけが速く、2番手以降はスローペース。結果的に先行した面々でも33秒台の上がり3ハロンでまとめており、差しタイプにとっては辛い展開だった。
アーモンドアイは、大きく出遅れた桜花賞と違い、今回は五分のスタート。桜花賞では鮮やかな直線一気を決めており、距離が延びる点と、前走の再現を狙い、後方でジックリ運ぶのかと思いきや、ルメール騎手は5,6番手へ誘導。大一番でこれまで戦果を挙げてきたスタイルとは違う戦法を選択できるのはパートナーに絶大な信頼を寄せているからこそ。更に圧巻だったのは直線に向いて12秒2→11秒1と急激にラップが上がった残り3→2ハロン標識地点。この急加速にも楽な手応えで対応し、あっという間に粘るリリーノーブルを交わして先頭。そして最後まで脚いろは鈍ることなく、自身の脚力で勝ち時計をレースレコードにコンマ2秒差まで押し上げて見せた。
「少しテンションが高かったですが、スタートが速くていい位置で運べました。直線で仕掛けてからの加速は凄かったですね。桜花賞はまだ余力がありましたが、今日は精一杯走りました。トリプルクラウン(牝馬3冠)いけると思います」とルメール騎手。楽勝ではあったが、今回は目一杯走り切った様子。勝ち時計も速く、今は激戦の疲れを癒してもらいたい。史上5頭目の牝馬三冠達成、そして更なる高みへ。秋以降は歴史に名を刻む戦いが続いていく。
ラッキーライラックは、リリーノーブルの後ろを追走。直線では馬場のいい外目を持ち出し、外のアーモンドアイに馬体を寄せていくが、上がり勝負となった分、追われて内へヨレて勢いが鈍ったのは誤算。それでも、石橋脩騎手が左ムチを入れて修正すると前2頭に食らいついて③着を確保。
第53回 関屋記念
8月12日(日曜) 2回新潟6日 1600m 芝・左 外
1:31.6(12.4 – 10.6 – 11.2 – 11.5 – 11.5 – 11.2 – 11.0 – 12.2)
レースは好スタートを決めたエイシンティンクルが同型を制し
プリモシーンは相変わらずパドックではテンションが高かったが、この程度は許容範囲内。プラス10キロの馬体増は成長分で、期待通りの成長曲線を
北村宏司騎手のコメント 「スタートをうまく出てくれました。道中のリズムも良かったですね。直線で抜け出す際にハミに頼り、手前が戻ったところでヨレてしまいました。結果的に追い出しをもう少し待てば良かったのですが、最後はプリモシーンがよく踏ん張ってくれました。体重が増えていたように、しっかり実になり、中身が入ってきました。このまま順調にいってほしいです」
第3回 紫苑ステークス
9月8日(土) 4回中山1日 2000m 芝・右
1:58.0(12.1 – 10.8 – 12.2 – 12.3 – 12.7 – 11.9 – 11.8 – 11.5 – 11.5 – 11.2)
先週末は不順な天候のところが多かったですが、関東南部で大きな崩れはなく、中山の芝コースも開幕週らしい良好なコンディション。昨年よりも少し時計が速いくらいでした。それを考えると1000m通過60秒1のラップは緩く映りますが、土曜日は向正面のバックストレートに強いアゲンスト(向かい風)の風が吹いており、数字ほど先行タイプに有利な展開、ペースとはいえないような状況でした。
③着ランドネ(7番人気)は中間から追い切りで好タイムが出ており、調教VTRをチェックした時にも、春から最も成長しているのはこの馬かも、と見て注目していましたが、気分良く先行できたこともあって秋華賞への出走権を獲得。ただ、ラップだけを見るとスローの逃げ粘りで恵まれた印象を受けますが、道中で強いアゲンストを受けた影響もあったはず。展開利だけで健闘したとは考えない方がいいでしょう。
④着パイオニアバイオ(6番人気)は②着馬の後ろで馬群の内目。直線で外に持ち出すロスがありましたが、ゴール前の伸び脚は目につきました。春は前で捌いて渋太い印象でしたから、新たな面が見られたのは収穫。血統的な魅力もありますし、賞金的に秋華賞出走も可能と思われますから、本番でも無視できない存在になりそうです。⑤着ハーレムライン(10番人気)は26キロ増という数字ほどではなくても、いくらか余裕のある体つき。それでも、早目の仕掛けで見せ場がありましたし、中山芝1600mの速い持ち時計が伊達ではないことを確認できました。叩いた次走で距離を詰めてきた場合は狙い目になりそうな気がしています。
第36回 ローズステークス
9月16日(日) 4回阪神4日 1800m 芝・右 外
1:45.7(12.7 – 11.0 – 11.5 – 12.3 – 12.4 – 12.2 – 11.0 – 10.8 – 11.8)
レースの入りこそ例年と変わりませんでしたが、中緩みの瞬発力勝負。当然、前・内にいる馬が有利だったと言えるでしょう。勝ったカンタービレは2ハロン標識あたりでスルスルッと前へ。そのまま逃げ馬の外で折り合って、4コーナーで早くも先頭。早めに抜け出すと、そのまま押し切って完勝です。これで1800mは3戦3勝。やはり距離短縮は良かったですね。仕上がりも良かったです。
さて、本番でどうかですが、今日は途中から動いていって、2番手でピタッと折り合いをつけました。この機動力と瞬発力があればコーナー4つの本番でも怖いでしょう。ただ、鞍上の手腕が大きかったとすれば乗り替わってどうでしょう。この馬の3勝すべてが外国人ジョッキーだという点を気掛かりに思うのは杞憂でしょうか。
サラキアはスタートで出遅れ。それでも、二の足で中団につけることができました。道中はうまく脚をタメて、持ち前の切れ味を発揮。1度使われたアドバンテージがあったとはいえ、展開を考えると強い競馬をしていると思います。負けはしましたが、重賞で2着にきて賞金を加算。本番でもスタートが鍵になりそう。
3着には13番人気のラテュロスがきて、3連単は222,880円の高配当。レースはスタートをポンと出て、いい位置で運ぶことができました。直線に向いても前がポッカリと開いてロスのない競馬ができましたし、速い上がりに対応して秋華賞の優先出走権を獲得。馬体はマイナス12㎏でも細いという感じはしなかったのですが、これ以上減るようだと心配です。
ゴージャスランチはスタートは普通でしたが、促して前へ。早めにかわされてからも手応えは悪くなく、渋太く粘っています。仕上がりも良かったと思います。ただ、まだまだ幼いですね。ラップ的には恵まれた感じですが、奥がありそう。
ウラヌスチャームは最後方から。この展開だけに、大外を回りながら掲示板を確保は立派。 データ室で◎に推したオールフォーラヴは3番人気。プラス22㎏の馬体重が示す通り、逞しく成長していました。ただ、レースでは行きたがって、ラスト1ハロンで止まってしまいました。こちらもひと叩きしての変わり身に期待です。
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。