第78回 皐月賞

4月15日(日) 3回中山8日 2000m 芝・右

2:00.8(12.6 – 11.0 – 11.9 – 11.5 – 12.2 – 11.9 – 12.4 – 12.4 – 12.7 – 12.2)

 レースは、逃げ宣言していたアイトーンジェネラーレウーノジュンヴァルロが並びかけて前半1000m通過が59秒2。更に、6ハロン目に11秒9のラップが刻まれており、この日の馬場状態を考慮すると相当厳しい流れ。③着のジェネラーレウーノが見せた粘りは驚異的と言える。

 エポカドーロは、パドックでは二人引きでも落ち着いて堂々と周回。気配の良さが目を引いた。レースは離れた4番手を追走。1000m通過は前の3頭より約2秒近く遅かったことからも絶好のポジション。スムーズに馬場の外目を走り、抜群の手応えで直線に向くと、後続の追い上げを楽に振り切って快勝。有力馬の瞬発力が削がれる馬場がエポカドーロにとっては味方したのは間違いないが、追っての伸びは良かったし、フロックではないだろう。

 「とても嬉しいです。先手を主張する馬が多く、その後ろから行こうと先生と話していました。凄く、状態も良かったです。距離の心配を払拭する強い競馬を見せてくれました。次も問題ないんじゃないかと思います。一戦毎に充実してきているので、これからが本当に楽しみ」とレース後の戸崎騎手。

 ジェネラーレウーノは展開の項でも触れたように厳しい流れを先行して驚異的な粘りを発揮。パドックでは二人引きでホライゾネットを着用。次走以降もテンションの高さは気にしなくていいタイプだろう。馬体には無駄がなく、仕上がりは非常に良かった。

 

 

第85回 東京優駿

5月27日(日) 2回東京12日 2400m 芝・左

2:23.6(12.7 – 11.0 – 12.3 – 12.4 – 12.4 – 12.3 – 12.2 – 12.0 – 11.7 – 11.2 – 11.2 – 12.2)

 皐月賞馬エポカドーロが先導役を務めて、前半1000m通過が60秒8のスローペース。道中で動いてくる馬もおらず、先行タイプに有利な流れに。

 エポカドーロは、誘導馬(シュガーヒル)に連れられ、他馬より遅れてパドックへ登場。中間のかなりソフトな攻め過程を含め、気難しい面を残すのだろうが、状態を落とさずにダービーを迎えられたのは厩舎力だろう。果敢に逃げを打ち、スローペースに落として理想的なレース展開に持ち込めたが、最後は勝ち馬の瞬発力に屈して惜しい②着。ただ、2馬身差をつけて皐月賞を勝利した力は伊達ではなかった。

 コズミックフォースは、すみれS⑤着から状態を戻してプリンシパルSを勝ち、今回は更に気配が上向いている印象を受けた。石橋脩騎手が積極的に運んで見せ場たっぷりの③着。もともとポテンシャルの高い馬で展開が味方すれば、これぐらいは走って不思議ないのだろう。④着のエタリオウは不向きな展開の中、後方待機組では唯一、掲示板に載る上々の内容。今後の活躍にも期待したい。

 ブラストワンピースはプラス10㎏という数字が示す通り、いくらか体は立派でも、パーツはガッチリとして迫力があったし、仕上がりは悪くなかった。直線入り口でジェネラーレウーノが後退してきたのは誤算だった。この影響で少し追い出しが遅れ、外へ進路を切り替えるロスもあったが、初めて一線級と対戦して0秒2差⑤着。今後につながるレースはできた。先々まで目が離せない存在。

 

 

第67回 ラジオNIKKEI賞

7月1日(日) 2回福島2日 1800m 芝・右

1:46.1(12.2 – 10.4 – 11.6 – 12.1 – 12.4 – 12.3 – 11.9 – 11.6 – 11.6)

 好スタートを決めたキボウノダイチがハナを主張。外からシセイヒテンが2番手に。主導権を握ると考えていたメイショウテッコンは2頭の出方を見て、無理に競ることは避けて内の3番手を進む形に。キボウノダイチが刻んだペースは前半3ハロン通過34秒2→5ハロン通過58秒7と速かったものの、ラスト2ハロンは11秒6→11秒6。開幕週の時計が出やすい馬場を考慮すれば、決してオーバーペースではなかった。

 メイショウテッコンは中盤、少し緩んだとはいえ、タイトな流れを3番手で追走。逃げ馬を競り落とし、最後はフィエールマンの強襲も凌ぎ切った。②着フィエールマンよりも2キロ重いハンデ頭となる56㎏を背負っており完勝と言っていい内容。ハナにこだわることなく、結果を出した点も収穫だった。

 「内枠だったので揉まれたくありませんでした。それにスムーズに運びたいと考えていました。道中は我慢できたし、外に出してからの反応も良かったです。抜け出してジリッぽくなりましたが、最後まで凌いでくれましたね。強い競馬でした」と松山騎手。

 フィエールマンは後手を踏み、後方を進んだが、余裕を持って追走。しかし、中盤、ペースが緩んだことで馬群が凝縮。そのため3コーナーからは外を回る形に。迎えた4コーナー。ロス覚悟で大外を駆け上がって進出するのか、それとも、脚をタメて直線に賭けるのか、石橋脩騎手は難しい判断を迫られたが、後者を選択。直線入り口まで待ってから思い切って外へ持ち出して脚を伸ばす。差しに徹した分だけ弾けて最後はメイショウテッコンに半馬身差まで迫った。今回は馬場や展開、コース取りの分、敗れたが、キャリア2戦でこれだけやれた点は高く評価できる。秋が楽しみな存在。

 

 

第54回 新潟記念

9月2日(日) 2回新潟12日 2000m 芝・左 外

1:57.5(12.9 – 11.1 – 11.6 – 11.7 – 11.9 – 11.9 – 11.8 – 11.7 – 10.7 – 12.2)

 マイネルミラノが先手を奪って前半1000m通過は59秒2。2014~17年までの4回よりは遅かったものの、道中は11秒台のラップが続く、緩みのない流れ。地力勝負となり、4コーナーを11~13番手で通過した3頭が追い込んで①〜③着。前に行った組にとっては厳しい展開だった。

 ブラストワンピースは日本ダービー出走時からマイナス2キロの馬体重。パドックに登場した姿を見ると、もうひと絞りできる造り。目標である菊花賞を見据えての仕上げではあったが、日本ダービーの時と比較して体のラインが締まって見えた。

レースはスタートで若干遅れたが、池添騎手は慌てずに最初の1ハロンを過ぎたあたりで馬場の外目へと誘導。道中は前に馬を置いて折り合いに専念。直線に向くと、楽な手応えのまま外を通って前へ接近し、仕掛けると豪快に抜け出して完勝。菊花賞が一段と楽しみになる内容だった。ただ、個人的には古馬の一線級が顔を揃える天皇賞(秋)からジャパンCというローテーションでその走りを見てみたい、そんな気にさせられた圧巻のパフォーマンスだった。

 池添謙一騎手のコメント 「外差しの利く馬場でしたし、内枠だったのでそのあたりを考えて乗りました。久々の影響か道中はフワフワしていましたが、直線に向いての手応えは十分。ゆっくり追い出しましたが、最後まで余裕のある走り。ノーステッキでいい内容でしたね。落ち着きが出てきたのが一番で体もひと夏を越して成長。このあとは菊花賞なので無事にいってほしいです」

 

 

第72回 セントライト記念

9月17日(月) 4回中山5日 2200m 芝・右 外

2:12.1(12.4 – 10.9 – 12.3 – 12.4 – 12.9 – 12.0 – 11.5 – 11.2 – 11.6 – 12.3 – 12.6)

 スタート直後、ジェネラーレウーノも先手を取る構えを見せましたが、タニノフランケルが何が何でもといった姿勢で先制。タニノフランケルが少し後続を離していたので1000m通過は60秒9でも、2番手以降はスローペースの範疇。ただ、そこから前が大逃げの形になり、7~9ハロン目は11秒台。ラスト2ハロンを要したので全体時計は水準レベルですが、後半のペースアップに対応できる地力が必要な展開に思えました。

 勝ったジェネラーレウーノは8キロ増の馬体が逞しく映り、同じ2番手からレースを運ぶ形でもスローで折り合いを欠いた日本ダービーとは違い、マイペースを守れたことで走りはスムーズでした。もともと3頭雁行で先行する厳しい流れの皐月賞③着が本来の能力ですが、自ら早目にスパートして前を捉え、後続に差されそうな場面もなかった今回の内容には精神面の成長も窺えました。

 「主張する馬がいなければ逃げるつもりでしたが、2番手で落ち着きました。3角過ぎに逃げ馬がペースを上げて、こっちは渋くなりそうだったので早目に追い出しましたが、脚は残っていましたし、割と楽に差してくれました。ダービーは2番手でも掛かって、この馬らしくなかったので、秋はどうしようかと思っていましたが、気分を損ねずに乗れたことが、いい方に出ましたね」と田辺裕信騎手はコメント。陣営は次走を明言しておらず、菊花賞に向かった場合は長距離輸送など課題はありますが、気分良く先行できた際にはスタミナも保ちそうですから、軽くは扱えないでしょう。

 ③着グレイル(6番人気)はゲートの出が今ひとつで後方に待機。それでも終始、馬群の内を通ったことでスタートのロスはリカバリーできたように見えましたが、直線を向くと、そのまま内を突くと前が詰まる危険性があると鞍上が判断したようで、斜めに持ち出して最後は②着馬の外へ。結果的には皐月賞⑥着時と似たような競馬になりましたが、ゴール前は目立つ末脚で馬券圏内へ浮上。右回りで直線の長い京都外回り、少し上がりを要す流れなら、次の菊花賞でも躍進があって驚けない内容でした。

 ⑤着オウケンムーン(10番人気)は外枠で出遅れて流れに乗れず、機動力を生かせない形でも馬群の大外を回って③着馬と並ぶ上がり最速タイ。春のGⅠでは大敗が続きましたが、夏季休養の効果は大きく、共同通信杯Vが伊達でないことを示しました。ダービー③着のコズミックフォース(5番人気)は好仕上がりが目につきましたが、ロスのない立ち回りでも伸びが今ひとつ。中山でもGⅢ②着の実績がありますが、東京コースがベストなのでしょうか。

 

 

第66回 神戸新聞杯

9月23日(日) 4回阪神7日 2400m 芝・右 外

2:25.6(13.0 – 11.2 – 12.5 – 12.5 – 12.7 – 12.5 – 12.5 – 12.3 – 11.8 – 11.2 – 11.3 – 12.1)

 時計は過去10年平均と同じ。ただ、この日は良馬場でしたが、時計のかかる馬場でした。それを考えると道中のラップも(例年と比べて)遅いということはなく、残り4ハロンからしっかりと脚を使われています。逃げたメイショウテッコンがこのラップですから、後続はかなりのスローで、切れも問われる早めのロングスパート戦いった様相。その分、ラスト1ハロンはかかりましたが、全体的なレベルは水準以上と言っていいのでは。

 エタリオウはスタートで少し狭くなりましたが、行く気もなく最後方から。鞍上は結構早くから促しているのですが、瞬時に反応するといったタイプではないですね。ただ、この流れで半馬身差の2着にきた脚は上々。最後は内にササりながらでしたが、距離延長は楽しみといった走りでした。

 逃げたメイショウテッコンは外のビッグスモーキーに先制されますが、内の馬と接触して行きたがったこともあり、1角入口でハナを奪います。その後はマイペースに持ち込んで、ラスト4ハロンから徐々にペースアップ。エポカドーロといった鈴をつける役がいなくなった点は僥倖でしたが、速い上がりに対応してコンマ1秒差まで粘った点は収穫。菊花賞を逃げ切るのはハードルが高いですが、同じ京都外回りで行われた京都新聞杯でも渋太かったですし、スタミナを生かせる展開に持ち込めれば面白い一頭でしょう。

 エポカドーロは本紙予想でメイショウの後ろの2番手が想定されていましたが、スタートで大きく躓く不利。後方からになってしまいました。道中はできるだけ内でロスを少なくし、勝負どころは勝ち馬についていって、直線はその外へ。復帰緒戦、上がりの速いレースを大外から追い上げるといった展開を考えると悲観する内容ではありませんでした。

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。