第22回 秋華賞(G1)

2分00秒2(12.2 – 11.0 – 12.4 – 11.9 – 11.6 – 12.0 – 12.1 – 12.5 – 12.1 – 12.4)

 レースは予想通りカワキタエンカがハナを切る形。馬場状態を考えるとレースの入りからして速かったです。その後コーナーで12秒4と一旦落ち着きますが、すぐに11秒台が2つも並ぶラップ。例年ならペースが落ちる坂の登りでも12秒0。この区間の12秒0は過去10年で最速。そしてラスト3ハロン12秒5、12秒1、12秒4は、いずれも過去10年で最も遅かったように非常にタフなレースとなりました。

 ディアドラはスタートで出負け気味。道中は後方からのレースに。前半はずっと馬群の外めを走っていたのですが、コーナーで内へ。これが好判断で一気に前との差を縮めることができました。直線に向くまでもうまく脚が溜まり、向いてからも外にいたファンディーナが一杯になったことでスムーズに外へ。上がりがかかる流れも向いて、一歩一歩力強い足取りで差し切りました。勝因は色々考えられます。まず、一戦毎に馬体が増えていたようにオークス4着から更に成長していたこと。鞍上の好騎乗。馬場やペースが向いたこと。あと、個人的にはこれが大きかったと思いますが、モズカッチャンが早めに動いたことで、うまくスペースができたことでしょうか。

 2着リスグラシューは、牝馬G1レース皆勤賞で②②⑤②着。立派です。スタートは今ひとつで序盤は勝ち馬の内。コーナーワークで少し前に出て向正面へ。勝負どころで外からジワジワと動いて行った時も手応えは十分ありました。結果的に勝ち馬とは回った分の差もあると思いますが、これは仕方がありません。瞬時にギアを上げられるタイプではないので、内を突いていたら2着もあったかどうか。

 モズカッチャンは3着でした。レースは枠なりでいいポジションを取れたと思いますし、道中はラチ沿いでロスのない競馬をして、勝負どころでソツなく外へ。M.デムーロ騎手は巧く乗ったと思います。ただ、結果的に先頭に立つのが早かったです。このタフなレースで積極的な競馬をして、一旦は完全に抜け出したのですから内容は上位2頭にヒケを取りません。また、M.デムーロ騎手によると「1~2角で右前を落鉄していた」とのこと。

 

第65回 府中牝馬ステークス(G2)

1分48秒1(12.9 – 11.6 – 12.3 – 12.7 – 12.4 – 12.5 – 11.2 – 11.0- 11.5)

 本紙予想で◎を打ったクロコスミアが好スタートから同型もおらずスンナリとハナへ。前半1000m通過が61秒9というスローペースに持ち込んで展開の恩恵はありましたが、直線で仕掛けられると、スッと反応していましたし、上がり3F33秒7でまとめて鮮やかな逃げ切り勝ち。

 今日は春以来の実戦だったアドマイヤリード、ヴィブロスより斤量が2kg軽く、夏に使っていた分、仕上がりの差はありましたが、前走あたりから本格化してきた印象。「4コーナーから後続を離してどこまで粘れるかと思っていました。最後まで踏ん張れたし、段々と成長している」と岩田騎手。G1ホース3頭を負かしたわけですから地力強化目覚ましいですね。

 ②着ヴィブロスは勝ち馬に逃げ切りを許したものの、内枠を利して上手なレースはできましたし、休み明けでこれが帰国緒戦だった点を考えれば、上々の滑り出しと言っていいでしょう。馬体重は430kg台と、以前より成長。「いい瞬発力を見せてくれたし、次は大きなチャンスがあると思う」と今回、初めて手綱を取ったルメール騎手もその資質を絶賛。

 

第63回 オールカマー(G2)

2分13秒812.8 – 11.7 – 13.2 – 12.9 – 12.5 – 12.5 – 12.1 – 11.3- 11.2- 11.6- 12.0

 大方の予想通り、ハナを切ったのはマイネルミラノ。ゆったりとした流れを作り出し、前半1000m通過は63秒1。ショウナンパンドラが差し切った15年が同60秒8、ゴールドアクターが勝った16年が同59秒9ですから、これはかなり遅いペース。マイネルミラノは残り4F地点で11秒3と速いラップを刻んで後続を振り切り、大きなリードを取って直線へ。早目に仕掛けた分だけ残り1Fで脚いろは鈍りましたが、4着と健闘。大いにレースを盛り上げました。

 流れを考慮するとルージュバックは好スタートを決め、いつもより前で運んだことが勝因のひとつ。4コーナーでは外へ持ち出す際にマイネルディーンの進路を妨害してしまいましたが、これを除けば直線で冷静に逃げたマイネルミラノの内を突くなど北村宏司騎手の好騎乗が光りました。積極的に立ち回る形からしっかり脚を使えた点も収穫。改めて能力を示したルージュバック。この秋は悲願のGI制覇を期待したいですね。

 

第52回 京都大賞典(G2)

2分23秒0(12.9 – 11.0 – 11.7 – 12.2 – 12.1 – 12.1 – 12.4 – 12.5 – 11.7 – 11.5 – 11.4 – 11.5)

 時計は2013年(ヒットザターゲット)の2分22秒9に次いで過去10年で2番目に速い決着。よくあるケースとしては、ホームストレートでペースが上がり最初のコーナーで落ち着きます。そのままバックストレートを通り、3コーナーの坂の下りからラスト4ハロンのロングスパート戦といった様相。ただ、今年は例年ほど向正面のペースが緩まず、スパートも少し速くなっています。それでいて最後1ハロンのラップはあまり落ちておらず、全体的なレベルは高かったと言えるでしょう。

 スマートレイアーは先行すると思われていましたが、スタートでゴチャついて後方から。序盤は位置を上げて行くために外への進路も考えたようですが、結局は脚を溜める競馬に切り替えた感じ。坂の下りで他馬が動いた時も内でジッとしていました。京都外回りで4コーナーのインを突く走りは、これまで数々のタイトルを獲得してきた武豊騎手の真骨頂。十分に脚を残せていただけに直線の伸びは素晴らしいものでした。

 

第58回 宝塚記念(G1)

2分11秒4(12.5 – 11.1 – 11.6 – 13.1 – 12.3 – 11.7 – 11.6 – 11.8 – 11.7 – 11.8 – 12.2)

 ポイントは5ハロン目の12秒3。2コーナーで13秒1とガクッとペースが落ちましたが、向正面に入ったところでサトノクラウンが外からポジションを押し上げていきました。結果的に残り1200mの地点から11秒台のラップが続く超ロングスパート戦となり、前を行くシュヴァルグラン、シャケトラ、キタサンブラックには厳しい展開となりました。さて、1度前にプレッシャーをかけながら、その後は無理をすることなく脚を溜める競馬をさせたM.デムーロ騎手がにくい。そして、その指示に見事に応えたサトノクラウンが素晴らしい。4コーナーの手応えは抜群。そこからの伸びは見ての通り。ミッキークイーンは出たなりで後方から。結果的に展開が向くこととなり、直線は外から脚を伸ばしてきました。とはいえ、牡馬一線級相手にこれだけ走れるのはさすがです。

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。