東京11R 第37回 ジャパンカップ(G1)

 こうして見ると、キタサンブラックが逃げ切った昨年は、やはり前半のペースが遅かったことがわかる。全体時計や上がりにバラつきはあるが、共通項はテン2ハロン目が11秒前半であること、中盤の4ハロンが50秒を切って尚且つ4つの内2つ以上は12秒5未満であること、残り600m地点からの加速に対応できる瞬発力を有すること。

 上位人気が予想される3歳牡馬レイデオロのダービーは、中盤4ハロンが50秒5と緩い上がり勝負。これだけなら微妙だが、神戸新聞杯が中盤48秒9。テン2ハロン目は11秒8と入りは遅いが、3分3厘からの加速も申し分ない。ただ、今回が古馬と初対戦。あのディープインパクトも初対戦の有馬記念では2着に負けた。一方の3歳牝馬ソウルスターリングの比較対照はオークス。中盤4ハロンは48秒7。こちらもテン2ハロン目が11秒6と少し遅いが、ラスト4ハロンは11秒台が並ぶ。内容的には後者を推したくなる。今回は経験値と斤量の53㎏も利いてきそう。

 同じ2400mには京都大賞典があり、こちらを前哨戦に選んだ馬は3頭。その中で最有力候補はシュヴァルグランだろう。スタート後に挟まれて後方からになったが、12秒5とラップが緩む坂の登りでワンテンポ早めに仕掛けて、そのまま3角の下りから馬群の外を進出。結果は3着だったが、内を回った上位2頭とは対照的な競馬。負けて強し。レースは2ハロン目が11秒0で中盤が49秒1。上がりも優秀。基準はクリアしている。サウンズオブアースは扱いが難しい。京都大賞典は最後は諦めていたし、調整が緩かったので上積みは確実。どこまで巻き返してくるか。ラストインパクトは厳しいと思う。

 外国馬は昨年を上回る4頭が参戦。昨年7着で外国勢最先着を果たしたイキートスは2年続けて出走。10月の凱旋門賞は直線で外に出し、後方から脚を伸ばして7着。そう悪い内容ではなかった。バイエルン大賞は最後方からレースを進めて直線で大外へ。ギニョールには敗れたが、4コーナーのコース取りの差と着差を考えると内容的にはこちらが上。ギニョールはここ4戦で3勝。2着はすべてイキートス。ただ、前述したように前走は内容的に劣るし、時計も平凡。逃げ馬だけに日本の馬場は余計に不利に映る。アイダホは年間G1最多勝記録を更新しているA.オブライエン厩舎で、厩舎お抱えのR.ムーア騎手が騎乗。しかし、全兄ハイランドリールと比べると小粒。ブームタイムは豪州のG1コーフィールドカップが重賞初勝利。2分27秒6はデルタブルースが3着だった2006年と一緒。悪くないが、斤量は52㎏が今回は57㎏。んー、やはりというか、超一流馬が揃う日本勢と比べると全体に見劣ってしまう。

 残るは天皇賞秋の古馬陣。天皇賞当日はここまで悪い馬場は滅多にお目にかかれないといった状況。何を基準にするか、それぞれの視点によって取り捨て選択がガラリと違ってきそう。キタサンブラックはG1を6勝。既にJRA史に残る名馬の域に達している。残り2戦、有終の美を飾るという意味でも勝ちたいのは有馬記念だろう。前走のダメージも不安視されているが、宝塚記念のような結果を求めるのは虫がいい話だと思う。それと一騎打ちでクビ差2着にきたサトノクラウンも当然有力候補。M.デムーロ騎手というだけで買われそう。レインボーラインも道悪で恵まれただけと考えるのは早計。図を見ても分かるように昨年は前半が遅かった。レース最速の上がりで追い上げた(6着)この馬にも資格があっていい。レース内容で狙いたいのは、ずっと外を回っていたシャケトラソウルスターリングも同じ)。良馬場なら変わっていい。

ソウルスターリング

シュヴァルグラン

キタサンブラック

サトノクラウン

レイデオロ

シャケトラ

レインボーライン

text by 小林  

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。