6月17日に函館競馬場で行われたGⅢ函館スプリントSは週前半に降った雨の影響も残らず、良好な馬場状態となりました。ただ、1分6秒8という驚愕のレコードが飛び出した昨年ほどの高速馬場ではなく、走破時計も旧レコード(1分8秒0)が0秒2更新された一昨年より0秒2だけ速い程度。今の馬場状態は良なら一昨年と同じ程度と考えられるようです。結果はセイウンコウセイ(3番人気)が2017年のGⅠ高松宮記念V以来、約1年3カ月ぶりの勝利を手にし、管理する上原調教師は1995、96年(当時は札幌スプリントS)以来の同レース3勝目。池添騎手は2011年のカレンチャンなど最多の4勝目となりました。
それではレースを振り返ってみましょう。2~3ハロン目に10秒台のラップが刻まれて前半3ハロンは33秒1のハイペース。ただ、後半もラップが遅くなったのはラストの1ハロンだけで、先行するか、ある程度の位置で流れに乗れないと厳しい状況。後方から外を回るようだと届かず、内を突くと馬群を捌くのに苦労するようなシーンも見られました。
勝ったセイウンコウセイは最内枠から迷わず先手を主張して、スピードの持続性を生かし切ったことが最大の勝因でしょうが、レースでは初めて着用したチークピーシズの効果もあったようです。騎乗した池添騎手は「復活を手助けできて良かったです」とコメント。追い切りでも騎乗して好感触を得ていたようです。勿論、馬場状態に左右されるタイプではありませんから(むしろ道悪は巧者)、今後の動向からも目が離せませんね。
②着ヒルノデイバローは個人的に調教VTRでチェックした際の仕上がりが良く見えても、発馬が不安定な点と、開幕馬場の1200mでは追走に手間取る恐れがあると考えていました。しかし、レースではスタートを決めると四位騎手が気合をつけて中団の前にポジションを取り、道中も終始、押っつけて流れに乗せ、直線も鋭く伸びてハナ差の惜敗。洋芝への適性の高さを確認できましたし、今年の北海道シリーズも栗東・昆厩舎の所属馬は要チェックと改めて思いました。1番人気の③着ナックビーナスも好位でスムーズな競馬ができましたが、追い出してからの伸びがいまひとつ。前走がGⅠ高松宮記念で③着なら高い支持を受けるのも当然でしたが、相手なりの走りで②③着が多いことも周知のところ。大崩れはなくても頭では馬券を買いにくいタイプですね。
④着アドマイヤゴッドは外枠でも鞍上が馬群の内につけて、直線だけ少し外に出すロスのない競馬で健闘。⑤着タマモブリリアンも位置取り、立ち回りは完璧でしたが、今のところ別定GⅢだと善戦以上は難しいようです。以下では2番人気ワンスインナムーンが勝ち馬をマークする競馬で伸びを欠いて⑧着。先行するか、控えるか、少しメリハリをつける形のほうが良いのでしょうか。一方、次走で見直しが必要なのが⑨着ダイアナヘイローで、事前の予想よりは少し位置が後ろでも4角を回った時は手応え十分。直線も窮屈な位置から一瞬、進路が開きかけましたが、そこで他馬に寄られて万事休す。馬体も回復していましたし、もともと夏場は得意なので、巻き返しが期待できそうです。
text by 五十嵐
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