2020年 10月18日(日) 4回京都4日目

 前日は最終レースまで雨が降り、当日は重馬場でスタートして5Rで稍重に。7R前からは晴れ間も見えて徐々に回復。10Rの3勝級、1800mで勝ち時計が1.46.3なので良馬場に近い状態に感じられました。

 レースはマルターズディオサが前半を34.9―59.4の平均ペースで引っ張り2.00.6の決着。同じ舞台の3歳上1勝級は前半35.5―59.7で2.01.4。どちらも先行馬が捕まったので、この日の馬場では前半が速過ぎたのかもしれませんが、GIとしては後半が物足りない印象です。

 勝ったデアリングタクトは前半は折り合いに専念して中団。3角手前から徐々に進出すると4角では先頭から約2馬身差まで接近。残り200m付近で先頭に立つと、そのまま押し切りました。不利な状況を自身の脚力で逆転した春の二冠から、スムーズなレース運び、自ら動いて勝利を掴み取る春とは違った強さを見せ、史上初の無敗による牝馬三冠を達成。道中は前に壁を作るのではなく、馬群から少し離すことでリラックスさせる手段を取るなど包まれないことに主眼を置いたコース取りは、直線が短い内回りとデアリングタクトの能力の高さを考えれば理にかなった乗り方で、それをさらっとやって見せた松山騎手も見事だったと思います。

 マジックキャッスルは好スタートでしたが、仕掛けず中団から。大野騎手は前に壁を作って折り合いを付け、3角手前でデアリングタクトに交わされても我慢。3~4角でゴチャつきましたがデアリングタクトの真後ろの位置を死守。これが大きかったです。あとはついて行くだけという形を作り、最後は1馬身¼差をつけられましたがよく食い下がりました。デアリングタクトの隣の枠と、一瞬の切れを生かしたこちらも好騎乗に見えました。

 ソフトフルートはスタートでアオって最後方から。3角で馬群に取り付き、残り600m手前でゴーサイン。コーナーでは8~9頭分外を通りましたが、4角ではデアリングタクトとの間に2頭挟む形でその外まで進出。一時は②着もあるかの勢いでしたが、最後はパラスアテナと並んで入線。レース直後は3~4角のロスを抑えられればと思いましたが、他の馬の仕掛けとの兼ね合いもあるのでそれは結果論かもしれません。

 パラスアテナはスタートでバランスを崩し、デアリングタクトの直後から。時折促しながらで3角での反応もひと息でしたが、ソフトフルートが動いたタイミングで加速し、あとはゴールまで併せ馬の形で伸びました。紫苑Sと同様、外枠からロスのある立ち回りを強いられても長く脚を使って好走。今後も重賞戦線で活躍できそうです。

 ミスニューヨークは7番手の外。デアリングタクトなどが動くタイミングと前からサンクテュエールが下がって来るタイミングが重なったことで仕掛けが遅れ、4角では15番手まで後退。しかし、そこからの挽回が凄く、3馬身ほど前にいたオーマイダーリンを捕えて掲示板を確保。能力の高さは確かです。

 2番人気に推されながら⑬着だったリアアメリアは、完勝だったローズSと同じく内枠からの先行策でしたが、4角で勝ち馬に交わされて万事休す。ローズSと違ったのはペースと馬場。良馬場の瞬発力勝負にならないと力を出し切れないのかもしれません。

 3番人気ウインマイティーは個人的にも◎を打って注目していましたが、前走時ほどではないにしてもスタートが悪くて中団からとなってしまい、持ち味の渋太さを発揮できず。スタートが安定すればもっとやれるはずです。

 

text by 石井大

 

 

 

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