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第54回 札幌記念回顧

 

2回札幌2日目11Rに行われた第54回札幌記念(GⅡ)は2番人気のサングレーザーが馬群の中から鋭く伸びて、②着とハナ差の接戦を制し、重賞3勝目を挙げました。騎乗した福永祐一騎手は2011年のトーセンジョーダンに次いで札幌記念2勝目、管理する浅見秀一調教師は同レース初勝利となりました。サングレーザーは北海道安平町・追分ファームの生産馬で、馬主は㈱G1レーシング。通算成績は15戦7勝

それではレースを振り返ってみましょう。

 

 

【展開・ペース】

 最内枠のマルターズアポジーが好スタートを切って先頭に立ちましたが、逃げ宣言をしていたアイトーンも外枠から前に並びかけて、戦前から予想された通りに緩みのない流れ。前半5ハロン通過59秒1は少し緩くなっていた当日の馬場状態を考えれば先行型に厳しいペース。しかもマイスタイルが早目に進出したので以降もラップは緩まず、結果的には3~4角で追い上げ態勢に入った馬でも少し仕掛けが早く、ゴール前は差し馬が殺到する結果になりました。ただ、前半5ハロン通過が同日行われた3歳以上500万下(牝馬限定)より2秒0速くて、全体時計が1秒2しか違わなかった点を考えると、スーパーGⅡと呼ばれる割にはタイム的に、少し物足りない印象も残りました。

 

 

【レース分析】

 勝ったサングレーザーは春に京都でGⅡマイラーズCをレコード勝ちしていたことから、洋芝の2000mへの適性を危惧する声もあったようですが、1500~1800mでも札幌では2戦2勝、折り合いをつけやすい流れ+内枠なら、この舞台でも身上の決め手を発揮しても納得でしたし、鞍上も馬群の中で脚をタメて、直線勝負に賭ける好騎乗が光りました。

「スタートは出たなりで、ずっと手応えは良かったし、我慢していたら最後に1頭分だけスペースができて、あまり強くは追えなかったけど、馬が反応してくれた。成長して距離もこなしてくれたし、これで選択肢が広がったね」福永祐一騎手はコメント。勿論、軽くて時計の速い馬場状態なら更に切れるタイプですから、引き続き中距離路線だと、もう一段上の最強クラスが相手になった場合に、力関係や末脚の持続力などがポイントになりそうな気がします。

 

サングレーザーの4代血統表

 

 終始、馬群の外を回ってハナ差②着に惜敗したマカヒキ(1番人気)は完全復活に向けて好発進といえるレースぶりでしたが、時計面や本来の能力を考えると、最後は力で捩じ伏せて欲しかった印象も。昨年のダービー①②着馬など、今後は対戦相手が強くなるだけに、更に良化が進むことを期待したいですね。

 ③着のモズカッチャンは鞍上が速い流れを見越して、道中は最後方。直線半ばで馬群の中から外に持ち出すと鋭く伸びました。重馬場だったGⅠ秋華賞でレース中に落鉄しながら③着の実績や、血統面を考えれば時計を要す洋芝は適条件。ただし、叩き良化タイプの休み明け、外枠を考えれば中身のある内容と言えますから、1回札幌開催のGⅢクイーンSを制したディアドラと同様、今秋は牡馬相手のGⅠでも、善戦以上があるかも知れません。

 ④着サウンズオブアース(13番人気)は結果的に少し仕掛けが早かったクチですが、7歳でも力健在は示しましたね。12番人気で⑤着のスティッフェリオはタフな馬場状態、流れを味方に、渋太さを発揮しての健闘だったように思われます。

 このレース連覇を狙った⑥着サクラアンプルール(7番人気)は追い切りの段階から前走時とは反応が違う印象で、レースでも一旦は先頭に立って見せ場十分。テン乗りのジョッキーも脚を余さないことを心掛けた騎乗だったようです。以下では厳しい展開でも大きくバテなかった⑨着マイスタイル、馬群の中で進路を探しながら、できた狭いスペースを③着馬に先に入られて、その後は無理をしていなかった⑬着ミッキースワローが今後に向けての注目馬でしょうか。

text by 五十嵐

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

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