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第28回 アーリントンカップ 回顧

2019年 4月13日(土) 2回阪神7日

 このレースの前身にあたるペガサスS時代にオグリキャップが中央デビューを果たし、翌年にはのちの桜花賞馬シャダイカグラが勝利。現在のレース名に変わり2000年からはエイシンプレストン、ダンツフレーム、タニノギムレット、ウインクリューガーと4年連続でGI馬を輩出。過去10年の勝ち馬からも5頭がGIを勝っている出世レース。昨年から開催時期が2月から4月に変更。

 今年はフルゲートの18頭が揃い、1番人気はルメール騎手、藤沢和雄調教師のコンビで3戦2勝のフォッサマグナ。シンザン記念を勝って2戦2勝のヴァルディゼール、1勝馬ながら重賞で善戦続きのヴァンドギャルドが続き、少し離れた4番人気はシンザン記念③着後に500万下快勝のミッキーブリランテ

 レースはイベリスが逃げてラブミーファイン、ロードグラディオなどが続き、上位人気の4頭は好位~中団で追走。大きな動きがないまま直線に入るとイベリスが掴まりそうで掴まらず、1ハロン標では少しリードが広がるほど。人気各馬は伸びを欠き、最後は外からカテドラル、トオヤリトセイト、ニシノカツナリが強襲したが僅かに届かず、イベリスの逃げ切りが決まった。

 イベリスは単勝35.9倍の12番人気。当日の芝は先行有利でこの馬が単騎で行けそうなのも分かってはいましたが、牡馬相手と距離延長を克服しての逃げ切りには正直、驚きました。2ハロン目が11秒台で4、5ハロン目が12秒4と息も十分に入りました。最後から2ハロン目が最速で11秒フラットと理想的なラップを刻めたことが最大の勝因。本番は更に直線の長い東京に変わり、ここまで展開が向くとも思えませんが、力をつけていることは確かです。

 ②着カテドラルは単勝21.7倍の7番人気。今回からパドックでホライゾネット着用。スタートで出遅れましたが、これが結果オーライ。課題の折り合いをクリア。後方のまま直線に向き、しばらくは進路を探している状態で追い出せたのは1ハロン手前あたり。そこから一気にクビ差まで迫った末脚は強烈。初戦できさらぎ賞勝ちのダノンチェイサー、2戦目で翌日の皐月賞②着馬ヴェロックスを破っているように能力の高さに疑いはありません。今後もいかに平常心でいられるかがポイントとなりますが、クリアすれば東京で更に良さが発揮できそう。

 ③着トオヤリトセイトは単勝30.6倍の11番人気。これで3連単は136万馬券となる大波乱に。前半はカテドラルの前にいて、こちらは大外を通って最後までスムーズ。1ハロン付近で2番手に浮上した時は突き抜けるかの勢いでした。仕掛けのタイミングひとつという感じで、あまりいい脚が長くは続かない印象。全兄のトゥラヴェスーラよりはマイル適性がありそうですが、東京に行って更に相手強化となると何かしらの助けが必要かもしれません。

 ④着ニシノカツナリはカテドラルほどではありませんでしたが、外に出して加速するまでに時間がかかっていました。スプリングSの時とはまったく違う末脚を繰り出しての惜しい競馬。祖母が桜花賞馬ニシノフラワーの血統から、現状はマイルまでが守備範囲でしょうか。

 ⑤着ユニコーンライオンは中山遠征だった前回のようなテンションの高さはなく、レースでもスタートが決まって好位へ。いつものズブさも見せずにスムーズでしたが、目前のイベリスを脅かすところまでは行けず流れ込んだ格好。成長は窺えた反面、ジリッぽさも目に付きました。もう少し長い目で見た方がいいのかもしれません。

 ミッキーブリランテ、ヴァンドギャルド、フォッサマグナの3頭は前半から行きたがっていたのが敗因。特にフォッサマグナは何度も頭を上げ、3角手前や直線で接触して息切れ。寸の詰まった体型のウォーフロント産駒だけに、スプリント路線がいいのかも。

 ヴァンドギャルドは初の中2週の影響があったような気もします。あんなに抑えるのに苦労する馬ではないはず。最後は鞍上も追うのを止めていました。

 ミッキーブリランテは我慢し切れず4角手前から動いてしまい、最後まで脚が続かず。もう少し内目の枠で包まれるぐらいがちょうど良かったのでしょう。一応の見せ場は作ったので、すぐにでも巻き返しがありそうです。

 ヴァルディゼールは何とか我慢ができましたが、直線で前が壁になり外に出す際には接触。前が開いたと思ったら、今度は外から寄られて進路が狭くなり万事休す。脚を余してしまいました。シンザン記念の時とは逆に内枠がアダとなりました。長く脚を使えるタイプで、こちらは外目の枠の方が良かったでしょう。

 

text by 石井大

 

 

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