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第69回 安田記念 回顧

 

 6月2日に東京競馬場で行われた第69回GⅠ安田記念は4番人気に支持されたインディチャンプが好位から抜け出し、1分30秒9のレースレコードで優勝アーモンドアイダノンプレミアムを負かし、マイル王の座に輝いた。手綱を取った福永祐一騎手はストロングリターンで勝った2012年以来、2度目となる安田記念制覇。管理する音無秀孝調教師にとってはこれがJRA GⅠ10勝目インディチャンプは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

 

それではレースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 スタートで躓いたアエロリットですが、二の脚は速く、好発を決めたグァンチャーレが競りを避けたこともあって道中は平均よりも少し緩やかな流れ。馬場状態は高速化が続いていましたから、こうなると馬群の外を回るようだと厳しく、追い込みを決めるのも至難。先行力のある馬、内目で流れに乗れた馬が力を発揮する展開となりました。

 

 

【レース分析】 勝ったインディチャンプ(4番人気)は枠順も良かったので、戦前の予想よりも前目のポジションを確保して、道中は折り合いに専念。そのまま直線を向き、残り2ハロンあたりで馬群の中に切り替えて進路を確保すると、持ち味の瞬発力をフルに生かして前を捉えました。

騎乗した福永祐一騎手は「相当に強力な馬たちが相手でしたが、自分がキチンと騎乗すれば、いい勝負になると思っていました。前走も元気はあったんですが、自分が追い切りで加減し過ぎてしまい、幾分、太目残りで余裕がありました。同じ体重でも今日は中身が違いましたし、ガス抜きもできていて、いいコンディションでした。日本で一番強い馬を負かせたことは、ただの偶然で、できることではありませんし、GⅠウィナーに相応しい、立派な走りをしてくれました」とコメント。前走を叩いての上積み、東京新聞杯を勝った時に示していた高速馬場への適性の高さも勿論ですが、最大の勝因は鞍上の完璧なレース運びと言えますし、ステイゴールド産駒らしい成長力も感じられました。

 

インディチャンプの4代血統表

 

 ②着は自分が◎に推したアエロリット(3番人気)で、復帰戦のヴィクトリアマイルが4ハロン通過44秒8に対し、今回は45秒8ですから粘りを増すのは当然。ただ、道中は④着馬が直後につけてマークされていましたし、昨年と同様、最後は勝ち馬と少し体が離れる形に。ピッタリ並んで競り合えば渋太さを発揮するタイプと見ているだけに、今年も勝負のアヤでGⅠ2勝目を逃した感じがします。それでも、左回り1マイルで見せるパフォーマンスの高さは特筆モノですね。

 そして③着が注目を集めていたアーモンドアイ(1番人気)。スタート直後に不利を受けた上に、道中も外に他馬がいて、追い上げることができない形。直線も一番外には持ち出せませんでしたが、馬群の外目を割り、上がり3ハロン32秒4で伸びて勝ち馬と同タイムですから、まさに負けて強しの内容。改めてこの馬の底知れない能力の高さを示しました。

 

 

 2強と目されたもう1頭、ダノンプレミアム(2番人気)も序盤に不利を受けて、最後は鞍上も無理をせずに最後方まで後退。ゴール入線後には下馬していましたが、診断の結果は異常なしとのこと。ただ、今回は馬場入りする時からテンションが高く、返し馬は普通に行えたように見えたものの、レース直前の輪乗りの時には発汗が目立ち、平常心で臨めていないような印象を受けました。暑さが応えていたのかもしれませんし、いずれにしても今回が力負けではありませんが、次走も当日の気配には注意したいところです。

 他では攻めを強化してレースぶりにも復調が窺えた⑥着モズアスコット、出遅れて馬群の外を回りながら、ゴール前の伸び脚はアーモンドアイと遜色なく見えた⑧着ステルヴィオを今後(秋でしょうか?)に向けての注目馬として挙げておきます。

                                 text by 五十嵐友二

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 
 
 

 
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