7月28日に札幌競馬場で行われた第67回GⅢクイーンS(芝1800m・3歳以上・牝馬・別定)は単勝1番人気に支持されたミッキーチャームが優勝。4番手から力強く抜け出し、秋の大目標エリザベス女王杯制覇に向けて弾みをつけた。自身はこれが重賞2勝目。騎乗したのは川田将雅騎手。管理するのは栗東の中内田充正調教師。ミッキーチャームは北海道浦河町・三嶋牧場の生産馬。馬主は野田みづきさん。
それではレースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 先手候補の1頭と思われたエイシンティンクルが出遅れ。外枠のミッキーチャームも好位に控える戦法を選択したので、格上挑戦でもリリックドラマが無理なく主導権を握り、前半4ハロンは48秒4とユッタリした流れ。後半は46秒4ですから前で運べる先行力か、道中で仕掛けられる機動力、そして速い上がりに対応できる瞬発力が要求される展開になりました。
【レース分析】 ミッキーチャーム(1番人気)は事前に輸送のない滞在競馬に替わったことで当日の体重が10キロ増。昨夏以降の活躍時と、ほぼ同じ馬体になっていました。外枠から好位に控える競馬でも折り合いはスムーズ。勝負どころでも後続を待たずにスパートして、ラストから2ハロン目が11秒1。ここで前の馬たちを馬群に沈めて、そのまま押し切る時計、着差以上に強い勝ちっぷりでした。
「この枠でしたから、内の馬を見ながらリズム良く1コーナーまで走れました。道中も我慢することができましたし、手応え良く、いい雰囲気で加速していけました」とレース後に川田将雅騎手もコメント。これで札幌、函館では4戦全勝ですから、気性的に現地調整の滞在競馬が合っていることは勿論、洋芝への適性も相当に高いことを改めて実証しました。今後は秋シーズンを待つのか、札幌開催でもう1戦するのか、その動向からも目が離せませんね。
②着が当日版で私が◎に推したスカーレットカラー(5番人気)。前走のマーメイドSは馬群を捌くのに手間取るようなシーンがありましたが、進路が開くと一瞬は突き抜けそう脚勢だったのに③着。坂越えの2000mは長かったと判断して、1ハロン短縮+平坦コースで変わり身を期待していました。継続騎乗の岩田康騎手も完全に馬の癖を掴んでいると見ていましたが、ほとんど前走と同じレース運びから最後まで鋭く伸びたのは期待通り。1キロの斤量差があったとはいえ、GⅠ②着歴のある勝ち馬にクビ差まで迫ったのですから地力もつけていますね。
③着カリビアンゴールド(9番人気)を▲にしたのは調教VTRで確認した動きがメンバー中、最も良く見えたから。ミッキーチャーム同様、北海道シリーズで好成績も残していましたしね。勝負どころでは勝ち馬の後ろで、かなり手応えは劣勢ながら最後まで渋太く伸びたのは体調の良さ+当舞台への適性の高さだと思っています。
④着ウラヌスチャーム(4番人気)は馬群の外を回りながら鋭く伸びており、緩い流れが向かなかった印象。展開ひとつで重賞初Vにも手が届きそうです。⑤着エイシンティンクル(8番人気)もスタートのロスが痛かったですが、こちらは差す形でも伸びた点に洋芝への適性を感じました。
2番人気のフロンテアクイーンは流れに乗りながら伸びを欠いて⑦着でしたが、着差は0秒4ですし、立ち回り次第で巻き返しがあっていいでしょう。中団から内を突く競馬をして直線で前が詰まり、鞍上がほとんど追えなかった⑭着ダノングレース(6番人気)も今回は参考外の一戦なので、評価を下げない方がいいですね。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。