8月11日に新潟競馬場で行われた第54回GⅢ関屋記念(芝1600m・3歳以上・別定)は単勝1番人気に支持されたミッキーグローリーが豪快に差し切って優勝。ミッキーグローリーの父はご存知の通り先月末に急逝したディープインパクト。昨年はプリモシーンが勝っており、同産駒は関屋記念連覇となった。管理する美浦・国枝栄調教師は先週のレパードSを勝ったハヤヤッコに続き、2週続けての重賞制覇。騎乗したのはC.ルメール騎手。ミッキーグローリーは北海道新ひだか町・岡田スタッドの生産馬。馬主は野田みづきさん。
それではレースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 前半3ハロン通過が34秒7、レースの上がり3ハロンは34秒1ですので前半は、向正面の長い直線が続く新潟外回り1600mとしては遅いペースではありませんでしたが、これはマイネルアウラートが少し後続を離して逃げていたから。2番手以降に関しては、この舞台にありがちなスローペースと考えて良く、こうなると実質的には上がり勝負に。近年では高速馬場といえる状況の中で、決着時計が1分32秒を切れなかったことも納得がいきますし、レースのレベル自体が低かったと考えない方がいいでしょう。
【レース分析】 勝ったミッキーグローリー(1番人気)は骨折明けでも体重の増減がなく、当日は落ち着いた雰囲気でした。前走は内枠の馬が馬券圏内を占めたGⅠ・マイルCSで、大外から上がり最速タイで伸びて⑤着ですからGⅢでは地力上位。56キロで出走できる点も有利でしたね。今回も道中、ジックリと構え、直線も上位馬の中では最後まで追い出しを待って、キッチリと前を捉えました。
「久々の分、リズムを取り戻せないところがありましたし、直線ではエンジンがかかるのも遅かったですが、ラストの150mだけ脚を使ってくれました。休み明けだけを心配していましたが、能力の高い馬ですし、昨年のマイルCSはレベルの高い中で⑤着でしたから、ここでは勝つ自信がありました」とC.ルメール騎手はレース後にコメント。今後に向けて賞金加算ができたことも大きく、秋のマイル路線の主役候補の1頭と言っても決して過言ではないでしょう。
②着ミエノサクシード(6番人気)は前走の中京記念が直線でスムーズに馬群を捌けず、脚を余しての④着でしたから、力通りに駆ければ着順を上げたのは当然。③着のソーグリッタリング(4番人気)も着順は前走のエプソムCと同じですが、良馬場の方がレースはしやすかった印象。上位2頭とは切れ味、瞬発力の差が出た感じはしますが、57キロを背負っていた分もあるでしょう。
そして、④着が当日版で自分が◎に推していたディメンシオン(8番人気)。これまで新潟芝では2戦2勝、調教VTRで確認した動きが最も良く見えたことも本命の根拠で、レース運びなども期待通りでしたが、ゴール前で伸び切れなかったあたりは現段階での地力の差でしょうか(馬券は勝ち馬との2頭軸3連複を中心に買っていたので‥‥)。それでもメンバーやコース、展開次第でGⅢは勝てる馬だと思います。
3番人気のロシュフォールが⑨着は初めてのマイル戦ですから同情の余地があり、七夕賞で凡走した後遺症も考えられますが、不可解なのは⑭着だったケイデンスコール(2番人気)の負け方。多頭数の内枠がいいタイプではないとは見ていましたが、馬群の外に持ち出しながら伸びは案外。「少し変な汗をかいていましたし、暑さも影響したのでしょうか」と石橋脩騎手も明確な敗因は掴めていない様子。いずれにしても力を出し切れていないことは確かでしょう。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。