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第14回 キーンランドC 回顧

 

 8月25日に札幌競馬場で行われた第14回GⅢキーンランドC(芝1200m・3歳以上・別定)は単勝1番人気に支持されたダノンスマッシュが優勝。函館スプリントSは薬物騒動の影響で競走除外となる不運。それを乗り越えて重賞3勝目を挙げた。この勝利により、9月29日に中山競馬場で行われるGⅠスプリンターズSの優先出走権を獲得。鞍上の川田将雅騎手は前週のGⅡ札幌記念に続き、2週続けての重賞制覇。7、8月の2カ月間でこれが6つめとなる重賞勝ちとなった。管理するのは栗東・安田隆行調教師。ダノンスマッシュは北海道新ひだか町・ケイアイファームの生産馬。馬主は㈱ダノックス。

 

それではレースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 内からナックビーナス、外のライオンボスが競りかけてハナを争う。その直後にセイウンコウセイが続いた。前半3ハロン通過は33秒2。これは2010年以降では2番目に速い数字。4コーナーを先頭で回ったナックビーナスが残り100m付近まで先頭を死守したものの、急流に乗じた差しタイプがゴール前で浮上した。

 

【レース分析】 ダノンスマッシュはスタートを決めたが、抑えて中団より少し前に陣取る。外枠で前に壁を作れない状況というのは掛かり気味になった今年の高松宮記念(馬番13番)と似たシチュエーション。ペースが速かったのも良かったが、鞍上と喧嘩せず、折り合って追走できていたのは収穫だった。過去、重賞勝ちした舞台は京都芝1200m。2戦ともに内枠を生かしてロスなく、上手に立ち回って抜け出してきた。それが今回は外を回るロスがありながらも差し切り勝ち。捻じ伏せるように逃げ馬を捉えた走りには今までになかった力強さが感じられ、文句のない勝ちっぷりだった。

 

ダノンスマッシュの4代血統表

 

 「前が速かったし、リズム良く追走できました。4コーナーであまりいい形ではなく、外に張り出す苦しい形になったけど、それでも、前を捉え切れるのだから、やはり力がありますね」川田将雅騎手もパートナーのポテンシャルの高さを感じた様子。抜群にスタートが速く、フィーリングの良さを示した川田騎手とのコンビなら道中の流れに応じ、適したポジションを選べるだろう。4歳を迎え、精神面が大人になり、いよいよGⅠ制覇が視界に入ってきた。

 

 

 ②着はタワーオブロンドン。1200mだと勝負どころで仕掛けてから瞬時に反応できないようだが、鋭く伸びて0秒1差。馬群の隙間を縫う形になった分、外を回って伸びた勝ち馬に勢いで見劣った印象。それでも、1200mに段々と慣れてきており、スプリンターズSでも前が止まるような展開となればチャンスがありそうだ。

 リナーテは直線に向いて勝ち馬の外へ進路を取ると、シャープに伸びて③着を確保。稍重発表と力のいる馬場でもいい脚を使えることを証明した。1200、1400mでは展開を問わず、終いは確実に伸びて大崩れしないのではなかろうか。

 ⑤着はナックビーナス。優勝した昨年よりもペースが速く、ライオンボスにマークされて楽な展開ではなかったが、残り100m過ぎまで先頭をキープ。しかも前年より1キロ重い55キロを背負っての善戦。敗れはしたが、香港遠征帰りの復帰戦としては上々の内容。上積みの見込める本番でも目が離せない。私が本命を打ったアスターペガサスは⑯着。3コーナー付近から仕掛けたが、反応がなくズルズルと後退。アクシデントか!と心配になるような負け方だった。馬体重は18キロ増ながら、いい体に映り、デキは良さそうに見えたが・・・。次走以降の巻き返しに期待したい。

 

 

                                 text by 藤原 有貴

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 
 

 
 
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