2019年11月10日(日) 5回京都4日

 1000m通過は62秒8のスローペース。これは過去10年と比べて最も遅い。その分、後半の1000m58秒5は最速で、完全な上がり勝負。後方から運んだ馬や外を回った馬には非常に厳しいレースとなった。

 勝ったのはラッキーライラック。これが2017年阪神JF以来のG1・2勝目。鞍上のスミヨン騎手は2010年天皇賞秋、2014年ジャパンカップに続くG1・3勝目。管理する松永幹夫調教師は2000年ファレノプシスでこのレースを勝っているが、調教師としてはこのレース初めての勝利。レースは中団から。「外に出す予定だったけど、内が開いたから」のコメント通り、向正面~3コーナーにかけては外へ意識が働いていたようたが、直線で内がポッカリと開いたことで労せずに最短コースを通ることができた。上がりはレース最速の32秒8。思い返せば阪神JF、チューリップ賞を勝った時もスローの瞬発力勝負。この馬にとってはドンピシャの展開。ただ、この形での1馬身1/4差は普通に強い。距離は融通の利くタイプで2200mも問題なかった。

 ちなみに、この日の京都外回りは4レース行われて、そのうちの3レース(残る1レースは出走馬なし)でオルフェーヴル産駒が勝利。レース後、「(凱旋門賞でコンビを組んで惜しくも②着だった)オルフェーヴルの仔でG1を勝てて嬉しい」とのコメントには横で聞いていた私もホロリ。

 クロコスミアはエリザベス女王杯で3連続②着。昨年と今年のレース後半のラップは以下の通り。

2018年 12.5 – 12.0 – 11.6 – 11.4 – 11.7

2019年 12.3 – 11.6 – 11.5 – 11.4 – 11.7

 同じスローのマイペース逃げでも今年は動き出しが速い。鞍上こそ違うが、これは切れ負けした昨年を意識した結果の騎乗ではなかろうか。もう一つ。1番人気が2番手で蓋をしてくれたことも、この馬には有利に働いた。怪我をした戸崎騎手の代打騎乗だった藤岡佑介騎手は、十分に仕事をしたと思う。6歳以上(0.1.0.21)の不利なデータを跳ね返した馬自身も立派。ただ、やはり甘い。

 爪不安で秋華賞をパスし、オークス以来の休み明けとなったラヴズオンリーユー。馬体はある程度仕上がっていたように見えたが、「中身が伴っていなかった」とは関係者談。レースは出足が良く、予想外ともいえる2番手だったが、道中の折り合いはついていたし、結果的に前で運んだことはプラスに働いた。勝負どころでの反応は決して良いとはいえず、一旦は逃げ馬に離されたし、直線に入って少し内へモタれるなど、このあたりは休み明けかも。それでも外に出すと終いを伸ばして前とはクビ差まで迫り、基本性能の高さを再認識させられた。

 センテリュオは中団後ろの外から。ただ、ペースが遅いとみるや、最初のコーナーでポジションを上げて3番手に納まる。この辺りはさすがに名手ルメール騎手。下りで惰性をつけて直線に入る京都コースは合っているとはいえ、重賞未勝利の身でのG1④着は評価していい。

 1番人気のクロノジェネシスは⑤着。敗因はやはり上がりの速さか。この馬自身も33秒3の脚を使っているが、理想は秋華賞のようなタフな馬場だろう。サラキアは外枠でもいい位置を取れたが、直線で挟まれて引かされるシーン。頑張っている。

text by小林  

 

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