2019年11月9日(土) 5回京都3日目

 古くはタニノムーティエ、キタノカチドキ、ニホンピロウイナー。90年代ではビワハヤヒデ、シーキングザパールがここを勝って名馬へと上り詰め、昨年の勝ち馬アドマイヤマーズも朝日杯FS、NHKマイルCのGIを2勝。将来性も含めて重要なレース。

 今年は11頭立てとなり、1番人気は新潟2歳S②着以来のペールエールで2.5倍。2戦2勝のサクセッションが3.0倍で続き、6月に新馬を勝って以来のレッドベルジュールと、オークス馬シンハライトの全妹でこちらも1戦1勝のライティアが7.7倍で、10倍以下はここまで。

 レースはコルテジアが逃げてペールエールは2番手。前半の半マイルは47秒8。スローペースの傾向が強かった近年よりは流れたものの、ここまでは落ち着いた展開。しかし、半マイル標通過と同時に3番手の内からサクセッションが加速したことで全体のペースも上がる。4角では先頭に立って直線へ。この動きに反応したペールエールが残り1ハロン手前で先頭に立ったが、後方からラチ沿いを突いたレッドベルジュールが一気にこれを交わしてゴール。同じく後方から馬群を割ってきたウイングレイテストが②着。ペールエールは踏ん張り切れず③着。外から追い込んだトリプルエースが④着。ライティアは伸びを欠いて⑤着。サクセッションは失速して⑥着に。

 勝ったレッドベルジュールは28キロ増でも、太め感はなく好仕上がり。出遅れたので後方で脚をためる。前半のペースでは厳しい位置かと思われたが、サクセッションの動きによってちょうどいい展開に。とはいえ、抜け出す時の脚が鋭く、先行した初戦とは違った形で勝てたのも大きい。ディープインパクト×アンブライドルズソングは2014年の朝日杯FSを勝ったダノンプラチナと同じ。この勝ちっぷりなら、GIへ使ってきても楽しみ。

 ウイングレイテストは4カ月ぶりで12キロ増。こちらは余裕残しの体つき。スタートは速かったが、スッと控えて後方へ。勝ち馬の外で直線を迎えると、しっかりとした末脚で2番手浮上。「色気は持っていました。まだ重いので、叩いて次がちょうど良くなると思っていましたが、これで朝日杯が楽しみになってきました」という松岡騎手のコメント通り、次は上積みが大きそうで注意が必要。

 ペールエールは2カ月半ぶりで4キロ減。体は仕上がっていたが、前回よりも歩様に勢いがなく、気合乗りも若干落ちるように感じられた。レース運びには何の問題もなく、結果的にサクセッションを追う展開が裏目に出ただけ。次走で活気が戻っていれば、展開次第でもっとやれるはず。

 トリプルエースは追い込み届かなかったが、上位3頭とは違って外を通ったのと、4角から前が詰まって追い出しが遅れたことを思えば上々の内容。マイルにもメドが立ち、次走で注目したい1頭。

 ライティアは中団から流れに乗って手応えも悪くなかったが、前半で頭を上げるシーンがあったのと、10キロ減で体を細く見せていた影響が最後に出たか。立て直して馬体が戻れば、重賞でも通用する雰囲気のある馬。

 サクセッションは10キロ増でテンションは高かったが、力強い馬体で仕上がりは良く見えた。スローペースを嫌って途中から先頭に立つのは前走のアスター賞と同じだったが、今回の方が相手が揃っていたこともあり踏ん張れず。マーフィー騎手も「流れが遅いと見て早めに動いたんだが、結果的にそれが裏目だった」と話しているように、あの場面は我慢する方が展開的には良かったと思う。今後は折り合い面の成長がポイントとなる。

 

text by 石井大

 

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