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第70回 チャレンジカップ 回顧

2019年 11月30日(土) 5回阪神1日

 師走の阪神開催、開幕日を飾るのは今年もチャレンジカップ。12頭立てで行われ、2番人気のロードマイウェイが外から差し切って重賞初制覇。騎乗していたルメール騎手は今年のJRA重賞は14勝目。管理する杉山晴紀調教師は今年のJRA重賞は初勝利ですが、この2日前には浦和記念をケイティブレイブで勝っているので、3日で重賞2勝となりました。

 レースは逃げると思われたブラックスピネルがハナには行かず、トリオンフが先頭に立って前半の600mは36秒8、1000mは61秒2のスローペースに持ち込む。大きな動きがないまま残り800m付近からペースアップ。後方にいた馬が外から追い上げる以外は、特に隊列が変わらないまま直線へ。トリオンフが残り200mで2番手以下を振り切って逃げ切り態勢に入ったが、外からロードマイウェイ、内からブレステイキングがこれに迫る。ゴール寸前でロードマイウェイがトリオンフを差し切り、ブレステイキングはトリオンフから半馬身差の3番手で入線。

 勝ったロードマイウェイは唯一の3歳馬ということもあるのか、他馬よりは頼りなさを感じたが仕上がり自体は良く見えた。スタートはあまり良くなく、無理せず後方から。ペースを考えると厳しいポジションに思えましたが、外から早めに動いた数少ない1頭がこの馬で、その判断が吉と出ました。展開的な不利を克服しての差し切りは強いの一言。これで6月の1勝級から5連勝で重賞ウィナーの仲間入り。ジャスタウェイ産駒のJRA重賞勝ちは意外にもこれが初。ルメール騎手は「段々とパワーアップして大人になっています」と語っているように、この父系らしい成長曲線を描いているようです。2000mでも結果を出し、来年が楽しみな1頭。

 トリオンフは昨年の小倉記念をレコード勝ちして以来、1年4カ月ぶりの実戦。プラス18㌔ほど太くは見えず、この馬らしい気合乗り。誰も行こうとしないのを察して、馬の行く気に逆らわず逃げの手に出た岩田康騎手の判断も良かったです。ペースを落としても絡んで来る馬がいなかったのは幸運でしたが、最後に突き放す際の脚はさすがと思わせるもの。本調子手前と思わせた調教の動きから実戦で一変。足元さえ無事なら更に高いレベルでも期待できそうです。

 ブレステイキングはきっちり仕上がって、初の阪神でも落ち着いた雰囲気。軽く促して3列目の内につけたが、ムーア騎手は「思ったほどポジションが取れなかった」とのことで理想は3番手だったかも。勝負どころからは進路が開くのを待つしかない状態で少し仕掛け遅れにはなりましたが、追ってからの伸びは上々。重賞戦線でもやれるメドは立ちました。

 ハッピーグリンはまとまった馬体で歩様にも勢いがありました。後方から2頭目でロードマイウェイの直後。4角手前からはケイアイノーテックが外から被せてきたことで身動きが取れず。満足に追えたのは200m少々で、追ってからも内にモタれ気味と不完全燃焼。11番人気でしたが、転厩2戦目で内容は良化。

 ゴーフォザサミットはスタート直後は北村宏騎手が押していましたが、1角までに内へ入れることを優先して控え、後方から3頭目のラチ沿いへ。4角でほぼ最後方になったが手応えは十分。目前のブレステイキングがそのまま内を突いたことで馬群に突っ込むしか選択肢はなく、捌くのに苦労しましたが、間を割って力強く伸びました。こちらも10番人気と低評価でしたが、大外枠から厳しい展開だったことを思えば好内容。

 ブラックスピネルスミヨン騎手が「押していったけど、思うようなポジションが取れませんでした」と話していますが、手の動きを見ると少し疑問が残ります。どちらにしても、結果的に上がり勝負になってしまい、長所の渋太さを生かせない形になってしまいました。

 1番人気のギベオンと4番人気のステイフーリッシュは直線での接触が響いたのは確かですが、ステイフーリッシュは自身の脚質やペースを考えると大事に乗り過ぎたのかも。決め手勝負で劣ったあとの接触で、今回は持ち味を生かせなかった印象。これに対して、ギベオンは中団馬群の真ん中から単純に進路がなかっただけ。これだけの名手が揃ってスローペースになると簡単にはバラけず、デットーリ騎手を持ってしても捌き切れない事があるということでしょう。2頭とも次走での巻き返しに注目です。

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。