競馬 研究ニュース

第64回 有馬記念 回顧

 

 12月22日に中山競馬場で行われた第64回GⅠ有馬記念(芝2500m・3歳以上・定量)はリスグラシュー(単勝2番人気)が優勝。道中は内で我慢し、直線で外へ持ち出すと鋭く伸びて終わってみれば5馬身差をつけて楽勝。牝馬が同一年のGⅠ宝塚記念、GⅠ有馬記念を制したのは史上初の快挙。鞍上はGⅠ宝塚記念からコンビを組んでいるD.レーン騎手。管理するのは栗東・矢作芳人調教師。リスグラシューは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲キャロットファーム。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 ハナ候補の1頭と目されたキセキが出遅れたことで、アエロリットがスンナリと主導権を握った。先頭に立ってからも11秒台の速いラップを並べて前半1000m通過は58秒4のハイペース。これはドリームジャーニーが勝った09年(道中、最後方を進んだエアシェイディが③着)と同じ。アエロリットから離れた2番手が平均ペースぐらいと見ることが可能で、本命に推したアーモンドアイの位置取りは決して悪くなかった。

 

 

【レース分析】 リスグラシューは、スタート後に6番枠からインに潜り込み、中団追走。ジッと折り合って脚を溜める。4コーナーから直線の入り口にかけて一気に外へ。D.レーン騎手の巧みな手綱捌きが光ったし、また馬込みに包まれるリスクを承知でギリギリまで内で我慢した彼のハートの強さも勝利を引き寄せた一因だろう。展開が嵌まった面はあるが、このメンバー相手に5馬身差をつけたのは圧巻と言うべきパフォーマンス。仮にアーモンドアイが力を出し切っていたとしても、勝てたかどうか。GⅠコックスプレートを使っての参戦だったが、パドックの気配も抜群矢作厩舎の厩舎力の凄さも感じさせられた。ラストランとなった有馬記念での走りは後世まで語り継がれるだろう。

 

リスグラシューの4代血統表

 

 「アーモンドアイをはじめ、メンバーは強かったですが、矢作先生からは『(リスグラシューは)更に成長している』と言われていたし、自信を持って臨みました。かなりいいペースになると思っていて、その通りの展開でしたし、ラチ沿いの進路を取れてロスなく運べました。あとは馬の能力に任せて、スペースも開いてくれて強い勝ち方でしたね。直線の手応えはとんでもなく凄かったです。こんな素晴らしい有馬記念に参加するだけではなく、素晴らしい馬に騎乗できたことも嬉しいです。今回、特例で免許を取得できたことにはJRAに感謝していますし、投票していただいたファンの方にも感謝しています。みなさんにありがとうという気持ちで一杯です」D.レーン騎手。今春、短期免許で来日するとGⅠヴィクトリアマイル、宝塚記念、JpnⅠ帝王賞など大レースを勝ちまくったD.レーン騎手。25歳とは思えぬ、強靭な精神力、そして騎乗技術で結果を残し、日本の競馬ファンを魅了した。

 

 

 1番人気に支持されたアーモンドアイは⑨着。「スタンド前はエキサイトして冷静に走れませんでした。2500mをリラックスして走れず、最後は疲れてしまいました。フィジカルや状態は大丈夫でしたが、ずっとハミを噛んでリズムが良くなかったです。これも競馬です。今日はグンとくるところがありませんでした」C.ルメール騎手。コメント通り、最初のスタンド前でスイッチが入ってしまったのか。パドックでは落ち着きがあって堂々とした佇まい。天皇賞(秋)よりもデキは良く映ったが。4コーナーで進出した時は、さすがと思わせたけど、人気を背負っている分、勝ちに動かなければならず、他馬のマークもキツかったか

 サートゥルナーリアは、アーモンドアイをマークしながら運ぶ形。直線でこれをきっちりと交わしたが、今回に関しては勝ち馬が強過ぎた。ただ、落ち着きを保ってレースに臨み、力を出し切れた点は収穫があった。ワールドプレミアはパドックでうるさい面を見せていた。いつものことではあるが、安定して力を発揮するためには、もう少し落ち着きがほしいところ。レースではスッと控えて後方待機。展開のアシストもあって最後はサートゥルナーリアに迫ったが・・・。リスグラシューが別格だった。どちらも3歳だけに来年は更なる活躍を期待したい。

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 
 

 
 
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