5月11日に東京競馬場で行われた第64回GⅡ京王杯スプリングCは単勝1番人気に支持されたタワーオブロンドンが優勝。昨年、同じ藤沢和雄厩舎のムーンクエイクがマークしたレースレコードをコンマ1秒更新しました。騎乗したのは4月27日から短期免許で初来日し、騎乗中のD.レーン騎手。管理する藤沢和雄調教師はこれで京王杯スプリングCは通算8勝目に。タワーオブロンドンは北海道日高町の㈲ダーレー・ジャパン・ファームの生産馬。馬主はゴドルフィン。

それではレースを振り返りましょう。

 

【展開・ペース】 ブリンカーを外したトゥザクラウンが行く気を見せなかったので、注文通りにブロワが主導権を握って前半3ハロン通過タイムは34秒2。1400mのGⅡとしては速くない流れでしたが、その後もペースが緩むことはなく、スタートから2ハロン目以降にラップが11秒台の後半になったのは最後の1ハロンだけ。レースの上がり3ハロンが33秒台では後方待機の差し、追い込みタイプは厳しく、ある程度の位置につけられるだけのスピード、機動力が必要だった印象を持ちました

 

パドックを歩くタワーオブロンドン(撮影:yu~kun)

 

【レース分析】 勝ったタワーオブロンドン(1番人気)は前走の東京新聞杯が過去最高体重でしたので、8キロ減の馬体は申し分のない仕上がり。レースでも⑤着馬を壁にするような形で折り合いをつけて、スムーズなレース運びから直線を向くと、手応え通りに伸びて快勝しました

騎乗したD.レーン騎手も「稽古で跨った時に凄く行きっぷりの馬だと感じましたが、しっかりと折り合って、いいリズムで運ぶことができました。1400mの距離も良かったのでしょう。強い勝ち方でした。マイルに延びてどうかは、まだ分かりませんが、今日のレースぶり、走りなら更に相手が強くなっても、十分に戦えると思います」とコメント。この日の馬場状態を考えるとレコードの更新自体は納得の結果で、むしろ時計的な価値は0秒1遅い昨年の方が高かった感じがします。勝ち馬も現段階だと確かに距離はオープン1勝、GⅡ2勝で3戦全勝となった1400mがベストでしょうが、まだ伸びしろの見込める4歳馬ですから、マイルGⅠでも注目の存在に成長する可能性も十分ですね。

 

タワーオブロンドンの4代血統表

 

 ②着リナーテ(6番人気)は道中、勝ち馬の一歩前に位置していましたが、馬群の内目で少し追い出しを待って、脚を使ったのは外に持ち出してから。巧みな手綱捌きで連対圏に食い込みましたが、牡馬相手に別定GⅡで②着ですから、サトノダイヤモンドの半妹が軌道に乗ったと見ていいでしょう

 2番人気で③着のロジクライは直線で外から蓋をされるような形になり、少し窮屈な競馬でも最後まで渋太く伸びて馬券圏内を確保。こちらは距離がマイルに延びても問題ありませんし、以前と比べてレース運びに幅が出て、立ち回りが上手になっている感じもあります。

 

 

 私が本命に指名した④着トゥザクラウン(3番人気)は正攻法の競馬をして一旦は抜け出すシーンもありましたから、レースぶりには納得。1400mに路線を替えて良血馬が本格化してきていましたし、今後はマイルを使うのか、更に距離を縮めてスプリント戦を試すのか、そのあたりも興味は尽きません。他で注目したいのは大外枠から唯一、32秒台の上がりで0秒3差まで追い上げてきた⑥着のスマートオーディン(4番人気)。今回は展開が向きませんでしたが、大外一気を決めた前走、阪急杯の勝ちっぷりが本物であることは確認できましたし、大物喰いが可能な決め手を秘めている感じがします。

 

                                 text by 五十嵐

 

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