2月15日に東京競馬場で行われた第55回GⅢクイーンカップ(芝1600m・3歳・牝馬・別定)はミヤマザクラ(単勝2番人気)が直線半ばで先頭に立つとそのまま押し切って優勝。重賞タイトルを獲得した。鞍上は今回が初めての騎乗となる福永祐一騎手。管理するのは栗東・藤原英昭調教師。ミヤマザクラは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人ホールディングス㈱。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 大外枠からインザムービーがハナを奪って飛ばし、前半4ハロン通過は45秒7というハイペース。ただ、大きく離れた2番手グループとは5ハロン通過地点で2秒くらいの差があり、後続は平均的な流れだったと考えて良さそう。このペースだと全体の決着時計が例年と比べて、極端に速くならなかったことも納得できます。
【レース分析】 勝ったミヤマザクラ(2番人気)は年明け緒戦、初めての関東遠征でも、大きな体重変動などは見られず。レースでも好スタートを切って道中は離れた2番手を追走。前が飛ばしてもしっかりと自分のペースを守り、直線に向くと追い出しのタイミングを計り、危なげのない勝ちっぷりを見せました。
「次の桜花賞に向けて初めてマイルのレースを使い、本当はためる形から、どれだけ脚を使えるのか見たかったのですが、予想以上にスタートが速かったので、流れ込むようなレースになってしまいました。あまり上手に乗れなかったですね。今日は純粋な能力の高さで勝ってくれました」と福永祐一騎手は事前のプランと違うレース内容になったとコメントしていますが、直線の長い東京コースを正攻法で押し切り勝ち。賞金も加算できたのですから、結果に関して文句をつけるところはありません。兄たちは少しズブくて、ジリッぽい印象がありますが、この馬は機動力があって反応も良く、展開などに左右されない強みも感じられます。桜花賞は勿論、距離が延びるオークスでも有力候補といえます。
②着のマジックキャッスル(4番人気)はスタートで後手を踏み、馬群の外を回るロスもありましたが、上がり最速の末脚を駆使して勝ち馬にクビ差まで肉薄。昨秋は阪神JFの①②着馬(レシステンシア、マルターズディオサ)を相手に戦って連対率10割を堅持。この戦績は伊達でなく、こちらも先に向けて賞金を加算することができました。フォーリー騎手はマイルが少し短い印象を受けたようですが、桜花賞がタフな流れになれば浮上する可能性は十分にあるでしょう。③着セイウンヴィーナス(12番人気)の健闘には正直、驚かされましたが、現状は広い東京コースが合っているようです。それでも、赤松賞⑥着時よりタイムを0秒7も詰めていますから、力もつけていたのでしょう。
自分が本命にしていたアカノニジュウイチは5番人気で④着。後手を踏んだのは想定内で、馬群の内を突いた鞍上の判断も正解だと思いましたが、意外に鋭い脚を長く使うことができませんでした。このあたりがキャリアの浅さ、初戦から1ハロン延長の影響なのでしょうか。それでも、素質の一端は確認できました。
3番人気で⑥着だったホウオウピースフルも初めてのマイル戦で、これまで1800~2000mのスローペースしか経験がなかった弱みが出たと解釈すれば合点がいきます。ルナシオンが1番人気になったことにも少しびっくりしましたが、こちらは出遅れて前半は折り合いも欠いており、キャリアの浅さがもろに出た印象。次走が真価を問う一戦になりそうです。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】〇前走クラス・・・連対したミヤマザクラとマジックキャッスルはともに前走は重賞で②着だった。その他の組を選別する基準に関しても来年以降も上記の通りで良さそうだ。 〇前走距離・・・前走が1400mだったマジックキャッスルが②着。前走距離に関する項目は削除したい。 〇所属・・・僅かに3頭しか出走していなかった関西馬から優勝馬が出た。まだまだ西高東低の図式は続きそうだ。 ★来年使えるデータ★ “芦毛馬が強い”と記したが、その要因と言えるのはクロフネの存在。2015年以降、当レースにクロフネ産駒は4頭出走して③②⑧②着。更に母父がクロフネだった馬は⑯①②①着!と大活躍。今年、父、母父がクロフネという馬はいなかったのだが、勝ったミヤマザクラの母ミスパスカリはクロフネの妹。まさに狙い目であった。来年以降も、クロフネの血を引く馬に要注意。ちなみに父、母父クロフネ&芦毛だった馬は5頭中4頭が連対。ただ、16年③着ロッテンマイヤー、19年②着ビーチサンバと芦毛ではないクロフネの血が入った馬も好走歴はある。 |