3月20日に中山競馬場で行われた第34回GⅢフラワーC(芝1800m・3歳・牝馬・別定)は関西馬のアブレイズ(単勝12番人気)が2番手から抜け出して勝利。新馬戦に続き、2戦無敗で重賞ウイナーに輝いた。デビュー戦に続いて勝利に導いた藤井勘一郎騎手にとってはこれが嬉しいJRA重賞初勝利に。管理するのは栗東・池江泰寿調教師アブレイズは北海道新冠町・ノースヒルズの生産馬。馬主は前田幸貴さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 ナリノクリスティーアブレイズという並びで1コーナーから向正面へ。例年、前半1000m通過は60~62秒台のゆったりとした流れになることが多いフラワーCだが、今年は59秒2。60秒を切ったのは(阪神開催の2011年除く)キストゥヘヴンが勝った2006年以来。ペース自体は緩みがなく、馬場状態を考慮すると勝ち時計も優秀な数字。ちなみに前半1000m通過59秒3=勝ち時計1分48秒9だった2006年は①着キストゥヘヴン、②着フサイチパンドラ、③着ブルーメンブラットがその後、GⅠを勝っている。

 

 

【レース分析】 アブレイズは初東上だったが、パドックでは少しチャカつく程度。平常心でレースに臨めていたと思う。スタート後、逃げ馬をマークするように2番手を追走。直線入り口で先頭に並びかけると、左手前に替えてサッと抜け出す。ゴール前でレッドルレーヴに差を詰められたが、セーフティーリードを守ってゴール。今回は前半1000mがデビュー戦より5秒以上も速く、異なる質のレース。これに難なく対応し、決して先行勢に楽な流れではなかったが、堂々と抜け出したのは高性能である証だろう。戦前、アブレイズを過小評価してしまった点を猛省させられる結果に。

 

アブレイズの4代血統表

 

「昨年からJRAのジョッキーにならせてもらい、日本のこの舞台で騎乗する機会をいただきました。結果を出すことができて、本当に素晴らしいことだと思います。この馬には前走も乗せてもらいましたし、調教にも乗って癖を掴んでいました。キャリア1戦ですし、スタートが良ければ前に行きたいと思っていたんです。2戦2勝で底を見せていませんし、これからが楽しみです」藤井勘一郎騎手。父はマルターズディオサと同じキズナ。初年度産駒からクラシックを狙える素材がまたもや登場。池江泰寿調教師は桜花賞、オークスへ向かうと語った。

 

 

 レッドルレーヴの前走は前半1000m通過59秒7という速いペース。その経験が生きたかタイトな流れでも苦労せず、中団に陣取ることができた。4コーナー付近で後続に先を越され、進路が狭くなるシーンがあったが、鋭く反応して一旦前に出たアミークスフラワリングナイトに追いつく。4コーナーで外めを通って追い上げた中で勝ち馬に迫れたのはこの馬だけ。しっかり連対し、賞金を加算することもできた。

 シーズンズギフトは緩みのないペースでも道中は行きたがるのをなだめつつ追走。直線に向いてからは前走時と同様に内にモタれ気味。連勝は途切れてしまったが、若さを見せながらも重賞で③着に健闘。粗削りな分だけ伸びしろも十分と言える。もう1頭の2戦2勝馬ミアマンテ(3番人気)は⑥着。4コーナーでフラワリングナイトに前に入られてリズムが乱れるシーンがあった。ただ、そこから立て直されてからの伸びは上々。次走、巻き返しがあって驚けない。ショウナンハレルヤポレンティアは直線に向いてから1頭分のスペースを奪い合うような形になって何度も接触。ともに力を出し切っての敗戦ではない。

 

 

                                 text by 藤原 有貴

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬は前走新馬①着。新馬組を軽視したのは失策。また②着のレッドルレーヴは前走が芝2000mで未勝利勝ち。来年以降は新馬組を買い目に加え、未勝利組は前走が芝1800、2000mで勝ち上がっているかをチェックするようにしたい。

〇レース間隔・・・①着馬は中6週、②着馬は中9週、③着馬は中7週。傾向通り、2カ月(中8週)以上の休み明けだと連対はできても、勝ち切るのは難しい。やはり勝ち馬は中2~7週で出走してきた組からチョイスしたい。

〇2戦2勝の無敗馬・・・今年はシーズンズギフトミアマンテの2頭が該当し、結果は③⑥着。2頭は前走で後続に0秒2差をつけていた。2015年以降の傾向も合わせて考えると、0秒1~2差=③着まで、0秒3差以上=②着以上に好走している。来年以降、出走してくる2戦無敗馬は前走の着差から馬券でどう扱うかを決定するのが得策だ。

 


 
研究ニュースネット新聞の紙面がご覧いただけます!
下記リンクをクリック
 
 
研究ニュースネット新聞ご購入はコチラをクリック!
 
 

 
 
※記事中の写真は競馬ブックネットSHOPで販売中!
詳しくは写真かチラをクリック!
 
記事中の写真・紙面の無断転載、複製禁止