2020年5月3日(日) 3回京都4日

 週中に雨はなく、土日とも良馬場で施行されました。その気なら速い時計が出ますが、内外、先行差しフラットな馬場。ただ、メインレースでは最後の直線で各馬が内を空けていましたね。レースの入り、最初の1000m63秒0はかなり緩いペース。過去10年(2011年を除く)と比べて最も遅いです。ただし、中盤の6ハロン73秒1は、フェノーメノが勝った2013年の72秒8に次ぐ2番目に速い数字でした。そして、ラスト5ハロン平均が59.6に対して、今年は60秒4。全体を3分割すると、スロー→ハイ→ややスローといった感じ。

 レースはミライヘノツバサが好スタート。それを制して内からダンビュライト、スティッフェリオが先頭へ。キセキも懸案だったスタートを決めて3番手へ。その内にモズベッロ、外にハッピーグリンといった序盤の並びでした。このまま落ち着くかと思ったところで、スタンド前に入ってキセキが動きます。鞍上の武豊騎手は馬群から馬を離して、何とか我慢させようとしていました。このあたりがちょうど1000m通過地点。しかし、抑え切れずにハナへ。ハッピーグリンが前に壁を作れず、外から掛かり気味に来たのが痛かったです。レース後、武豊騎手は「スタンド前に来るとスイッチが入ってしまった。あそこで我慢できなかったのがもったいなかった。この馬はやはり自身との戦いだね。あのまま2、3番手で収まっていれば…… 」と折り合いを欠いたことを悔やんでいました。

 そのまま1コーナーの手前から向正面の坂の手前まで、11秒6─12秒5─12秒1─12秒2と速いラップで推移。坂の登りでようやく12秒7とラップが落ちましたが、さすがに最後に止まったのも仕方ない感じです。ただ、本質的に3200mも長いのかもしれません。残り1ハロン付近までよく先頭をキープしました。直線に向いてキセキ以下が馬場の外めへ持ち出したのに対して、内を突いたのがユーキャンスマイル。道中も内々を回る省エネ競馬で一瞬抜け出すかの勢いでしたが、最後は外の馬の決め手に屈しました。今日ところは力を出し切っての④着でしょう。

 そして、この争いを制したのは1番人気のフィエールマン。史上5頭目の天皇賞(春)連覇を成し遂げました。鞍上のC.ルメール騎手は天皇賞4連勝(18年秋レイデオロ→19年春フィエールマン→19年秋アーモンドアイ→20年春フィエールマン)を達成。これは武豊騎手、和田竜二騎手を抜いて史上初。道中は中団馬群の後ろで折り合いに専念。向正面の坂の登りでミッキースワローが動いた時もジッと我慢。他が手が動く中、勝負どころの手応えには一番余裕がありました。4角で勢いをつけて直線は大外へ。粘るスティッフェリオを寸前で交わしてゴール。結果的に流れを考えると、いい位置取り。ルメール騎手は「休み明けでトップコンディションではなかったけど、勝てるだけのいい状態にあった」と有馬記念以来のレースでもキチッと結果を出してみせました。

 データ室で◎に抜擢したスティッフェリオは②着。惜しかったですね。スタートして誰も行かなければ自分がといった構えでしたが、ダンビュライトが行くとすぐに抑えて2番手。キセキが動いてからはずっと単独3番手をキープ。直線に入ると前を行く2頭の外へ。ギリギリまで追い出しを我慢して、一旦は抜け出しましたが……。ただ、長距離適性は十分に示してくれました。

 ミッキースワローはスタートで少し出していった為か、最初のコーナーで頭を上げるなど行きたがっていました。何とか宥めてフィエールマンの後ろへ。途中からペースが上がったこともあって折り合います。前述通り3角手前の坂の登りで進出。ただ、一気にではなく、ジワジワと。このあたりはベテラン横山典弘騎手の妙でしょう。最後まで渋太い脚で③着まで追い上げました。不安視された京都遠征を克服できたのは収穫。

text by小林  

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。