5月31日に東京競馬場で行われた第134回GⅡ目黒記念(芝2500m・4歳以上・ハンデ)はキングオブコージ(単勝1番人気)が優勝。横山典弘騎手とコンビを組んで1月に1勝クラスを勝ち上がると勢いに乗って4連勝。一気に重賞制覇を成し遂げた。管理するのは栗東・安田翔伍調教師。キングオブコージは北海道新冠町・白老ファームの生産馬。馬主は増田和啓さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 外からパリンジェネシスが主導権を握り、バラックパリンカ、ミュゼエイリアンが続く形。前半1000m通過は60秒1。馬場状態を考慮すると平均ペースでしたが、4ハロン目以降は12秒前後のラップが連続する息の入らない流れ。結果、先行した組は直線に向いて脚が鈍って馬群に沈み、後方、中団でじっくり運んだ2頭によるワンツーとなりました。
【レース分析】 好位からサッと抜け出した前走の湾岸Sに引き続き、内目の5番枠を引き当てたキングオブコージ。Cコースに替わった馬場も考慮するなら、ひとつ前のGⅠ日本ダービーを勝ったコントレイルのように好位のインに収まって脚を溜める戦法を取るだろうと予想していました。しかし、ゲートが開くと横山典弘騎手は仕掛けて位置を取ることはせず、キングオブコージのリズムを優先するように後方に陣取ります。後ろからにはなりましたが、コーナー毎に距離ロスが発生しないように内ラチ沿いを追走。驚いたのは直線に向いてから。前を走る中団の馬をパスし、横一線の馬群の中から抜け出す際の脚の速いこと速いこと。先頭に立ってからも、まったく危なげがなく、54キロとハンデは軽かったのですが、完勝。横山典弘騎手が騎乗するようになってからは前目のポジションを取って抜け出す戦法で戦果を挙げてきたわけですが、一転、今回は後方から馬群を割っての差し切り勝ち。継続して騎乗することで人馬の信頼関係が構築されていたからこそ出来た芸当でしょうし、ひと回り成長したこともアピール。中、長距離路線に新星が誕生した瞬間と見るのは大袈裟でしょうか。
「オープンに上がっても、いつものようにいい脚を使ってくれました。調教師が馬のことをよく分かっていますし、それに対して少しずつ馬も応えてくれて段々と良くなってきています。素晴らしいトレーナーです。本当にいい馬に乗せてもらいました」と横山典弘騎手は馬は勿論、安田翔伍調教師にも賞賛の言葉を贈りました。数々の名馬に騎乗してきた鞍上が惚れ込む資質の持ち主。相手が更に強化し、重い斤量を背負うことになる今後も、その走りから目が離せません。
アイスバブルは2年続けての②着。その昨年、自身がマークした上がり3ハロンが34秒7でした。前走のメトロポリタンSは不得手とするスローからの上がり勝負。そのため⑥着に敗れましたが、タイトな流れから地力勝負となったことで鮮やかに一変しました。適した条件であれば、重賞制覇も狙えるでしょう。またアイスバブルは直前の追い切りで、ヴェルトライゼンデを相手に先行し、遅れていましたが、しっかりと好走。たとえ調教で動かなくてもレースで力を出せるタイプなのも覚えておきたいところですね。
ステイフーリッシュはトップハンデとなる57・5キロを背負い、好位追走から0秒2差。最後は上位2頭の決め手に屈した形ですが、斤量差や展開を考慮すると中身の濃い③着。④着ノーブルマーズは直線に向いて窮屈になったのが悔やまれますが、3戦続けて重賞で善戦したように7歳でも地力は健在ですね。⑥着オセアグレイトも勝ちに動いて一旦は先頭に立ち、見せ場を作りました。前走のメトロポリタンSは脚を余してしまいましたが、重賞でも好勝負できるところまで地力を強化していますね。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】〇前走クラス・・・勝ち馬は前走、中山芝2500mの準OPで勝利。準OP組に関しては前走、芝2400m以上の距離で勝利していれば連対を狙えるというように条件を緩和したい。②着アイスバブルは前走、OP特別で⑥着。例年なら買い目から外したいところだが、この馬は前年の②着馬。たとえ前走着順が条件を満たしていなくても前年の連対馬は無条件で押さえた方がいいようだ。 〇斤量・・・前走から斤量が2キロ以上減っていた馬は5頭出走して②⑤⑬⑮⑯着。ここでも唯一好走したのが前年の②着馬アイスバブルだった。この項目に関しても条件に不適合でも前年の連対馬なら買い目に加える方が得策となる。 〇枠順・・・6番人気ながら連対したアイスバブルは2枠4番。この馬の場合はリピーターではあるが、内枠有利という傾向は健在。また馬券には絡めなかったが、1枠2番に入ったノーブルマーズは10番人気ながら④着。来年以降も、穴馬は内枠に潜んでいる!? |