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第69回 ラジオNIKKEI賞 回顧

 

 7月5日に福島競馬場で行われた第69回GⅢラジオNIKKEI賞(芝1800m・3歳・ハンデ・曇り・稍重馬場)は最内枠から主導権を握ったバビット(単勝8番人気)が後続を寄せ付けずに逃げ切って優勝。落馬により負傷した団野大成騎手に替わり、手綱を取ったのは内田博幸騎手。管理するのは栗東・浜田多實雄調教師バビットは北海道浦河町・大北牧場の生産馬。馬主は宮田直也さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 この日の福島芝コースは雨が残って重馬場でスタート。少しずつ乾いて、ひとつ前の10Rから稍重に回復した。力のいるコンディションではあるが、開幕週らしく前日の土曜と同様に前で運んだ馬の活躍が目立っていた。今年のラジオNIKKEI賞は逃げ馬が揃っていたけど、バビットは最内枠から押して先手を奪うことに成功。しかし、息を入れたいところで掛かり気味に押し上げてきたグレイトオーサーに絡まれ、前半1000m通過は59秒3。逃げ・先行タイプにとってはかなり厳しい展開となった。

 

 

息の入らぬペースでも後続を完封

【レース分析】 バビットに関して印象深いのは2走前に出走した福島での未勝利戦。当時は馬っ気を出すなど幼さ全開。そのイメージが記憶に残っていただけに、今日はどうかと思っていましたが、パドックでは落ち着きがあり、動きの方も柔らかみは十分。気配の良さが目につきました。レースに話を移しましょう。バビットと先手を争うと考えられていたのがアルサトワパンサラッサでした。前者はスタート後にヨレて出脚が鈍く、後者は8枠から前に付けるのに脚を使う形。福島芝1800mはゲートを出てすぐに1コーナーを迎えますからバビットは1番枠の恩恵を生かし、同型を尻目にハナを取り切ることに成功しました。展開・ペースの項で述べた通り、厳しい流れでしたが、直線に向くと迫られるどころか、後続を突き放して5馬身差の圧勝。父がナカヤマフェスタ(その父はステイゴールド)ですから、こんな渋った馬場を苦にしなかったのでしょうが、稍重で1分47秒3という勝ち時計も優秀。強かったですね。

 

バビットの4代血統表

 

「今まで先行していた馬ですし、今日はスタートが速かったので下げる必要はないと思い、ハナへ行きました。リズム良く運べましたし、3、4コーナーでも手応え十分で加速してくれました。これほどのパフォーマンスができるとは思っていなかったのですが、よく馬が力を出してくれました。スピードのある馬でスタミナも十分ですから、ペースが速くなっても距離が延びても問題ないと思います。団野騎手が育ててきた馬。急きょ乗り替わりになりましたが、いい競馬をして(団野騎手に)バトンタッチをしたいと思っていたので良かったです」内田博幸騎手。

 

バビットの走りを称賛するとともに負傷した団野騎手のことも気遣いつつ言葉を紡いだ内田博幸騎手。

 

強敵との対戦経験生きたパンサラッサ

 パンサラッサは中1週での出走でも、脚捌きには硬さがなく、活気十分。馬体重はマイナス4キロでしたが、馬体もキープできて、休み明けをひと叩きした上積みがありましたね。8枠から内の馬の出方を窺いながら先行集団へ。厳しいペースでしたが、GⅠホープフルS、GⅡディープ記念弥生賞など強敵相手に戦ってきたこれまでの経験が生きたのでしょうか。直線は渋太く粘って②着を死守。振り返りますと、初勝利は不良馬場で大差勝ち。こんな馬場も苦にしません。

 

 

 ディープキングも前走から中1週と間隔が詰まっていましたが、動きに柔らかみがあり、1勝馬ですが、馬っぷりの良さも目立ちました。脚をためて中団の後ろめを追走。確かに展開は向きましたが、直線はバラけた馬群の中から、スムーズに追い上げて③着に好走。「道中は脚を取られていた」戸崎騎手はコメント。同じように➃着パラスアテナに騎乗した武豊騎手も「切れる脚を使える馬だけに、雨が降り過ぎて馬場が悪くなり過ぎましたね。残念です」と語っており、2頭は良馬場でパフォーマンスを上げてきそうです。

 本命に推したサクラトゥジュールは懸念されたテンションの方はそれほど上がらず、身のこなしは滑らか。後方に控えて、前もやりあっていましたからシメシメと思ったのですが・・・。キックバックを嫌がったのか、コーナリングがぎこちなく、最後は脚いろが鈍ってしまいました。広いコースの良馬場向きなのでしょうか。同じ堀宜行厩舎のグレイトオーサーは1コーナーに入るところで躓くような格好になり、その後は掛かり気味に前へ。今日に関しては経験の浅さが出てしまいました。

 

 

                                 text by 京増 真臣

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇レース間隔・・・勝ったバビットこそ前走から中5週とレース間隔が開いていたが、②③着馬は中1週で出走。来年以降は詰まった間隔での出走でも特段、割り引かない方が賢明だ。ただ、2カ月半以上の休み明けだったルリアンベレヌスは⑤⑨着。人気を背負っていても久々での出走であれば疑ってかかりたい。

〇ハンデ・・・結果が出ていなかった52キロのディープキングが③着と好走。傾向に変化が出たとも考えられるが、例年、5~7キロあるハンデの上下差が今年は3キロ。特殊なケースと考えられる。結論は来年のこのレースまで持ち越したい。

 


 
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