7月26日に新潟競馬場で行われた第20回GⅢアイビスサマーダッシュ(芝・直線1000m・3歳以上・別定・曇り・良馬場)はジョーカナチャン(単勝2番人気)が逃げ切って重賞初勝利。鞍上は昨秋からコンビを組んでいる菱田裕二騎手。管理するのは栗東・松下武士調教師。ジョーカナチャンは北海道新冠町・三村卓也さんの生産馬。馬主は上田江吏子さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
【展開・ペース】 ライオンボスも互角のスタートから行く構えを見せましたが、ダッシュ力の速さでジョーカナチャンが一気に主導権を握って前の位置へ。ただ、他で先行争いについてこられたのは内枠から外へ進路をとったラブカンプーくらいで、レース前の見立てよりは激しい攻防にはならず、結果も先行両馬のワンツー決着となりました。走破タイムも地味な数字でしたから、上位馬が今後、1200m以上の重賞で勝ち負けになるかどうかは微妙なところでしょう。
重賞の舞台で鮮やかに逆転勝利
【レース分析】 勝ったジョーカナチャン(2番人気)はスタートを決めて、身上のダッシュ力をフルに生かし切るパターン。斤量面や相手関係を気にせず、自分のレースに徹したことが最大の勝因でしょう。
「前走(韋駄天S)よりライオンボスとの斤量差が詰まっていましたが、中間の調教過程がうまくいって、調子はいいと聞いていましたから、自信を持って乗りました。枠順が発表された時は「もう少し外の方が・・・」と思いましたが、二の脚が凄く速くて、うまくカバーすることができました。この後の予定はわかりませんが、また乗せていただく際には、精一杯頑張ります」とレース後に菱田裕二騎手がコメント。このレースの時計的な価値については高く評価できませんが、自身は1200mでもオープン②着があり、スピードを生かせる展開、舞台設定になれば、距離が延びても注意が必要でしょう。
連覇は成らずも力示したライオンボス
連覇を目指した②着ライオンボスは1番人気の支持には応えられませんでしたが、勝ち馬に前に入られて、機先を制されるような形でも連対を確保。この舞台の第一人者らしい走りは見せたといえるでしょう。③着には直線競馬に初挑戦だったビリーバー(9番人気)が健闘しましたが、この馬は常に相手なりの走りで、馬群を捌きながらでも脚を使える点が強み。あとはスタートが完全に安定すれば、オープンでも十分にやっていけることを示しました。
自分が◎に期待したナランフレグ(5番人気)は今回もスタートが決まらず、流れに乗れない感じで⑨着。それでも上がり最速タイで伸びてはいましたし、この舞台で好タイムを記録した1勝クラスの時にコンビを組んだ、戸崎騎手が鞍上での走りを今一度、見てみたいというのが正直な感想です。他では序盤にスピードを見せたラブカンプー(10番人気)が粘りを欠いて⑩着でしたが、前走のGⅢCBC賞Vがフロックではなく、復調は確かという感じが持てるレースぶりでした。
text by 五十嵐 友二
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】〇前走クラス・・・①~③着馬の前走を見るとOP特別②着→OP特別①着→3勝クラス①着。いずれも上記の条件をしっかり満たしていた。 〇枠順・・・今年は5枠→7枠→6枠で決着。やはり外枠が有利だった。 〇斤量・・・57キロ以上の斤量を背負った馬はアイビスSDでは②着が最高。歴史を塗り替えるかと思われたスペシャリスト・ライオンボスですら②着止まり。来年以降も、これは覚えておきたいところ。また終わってみれば韋駄天S①②着馬によるワンツー。今後も同組の連対馬には注意が必要だ。 |