競馬 研究ニュース

第5回 紫苑S 回顧

 

 9月12日に中山競馬場で行われた第5回GⅢ紫苑S(芝2000m・3歳牝馬・馬齢重量・曇り・稍重)はマルターズディオサ(単勝5番人気)が2番手から抜け出して優勝。3月のGⅢチューリップ賞に続く重賞2勝目を挙げました。騎乗したのは田辺裕信騎手。管理するのは美浦・手塚貴久調教師。この結果、マルターズディオサパラスアテナシーズンズギフトの上位3頭がGⅠ秋華賞の優先出走権を獲得。マルターズディオサは北海道日高町・天羽禮治さんの生産馬。馬主は藤田在子さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 典型的な逃げタイプが不在の組み合わせとなり、自在性のあるショウナンハピネスが最内枠から先手を主張。スタートから2ハロン目に11秒4のラップを刻んだあとはペースが落ち着き、前半5ハロン通過61秒8は稍重の馬場状態を考慮しても緩めの流れ。この週の芝のレース全般と同様、基本的には先行、内有利の展開となりました

 

ひと夏越して心身ともに成長

【レース分析】 勝ったマルターズディオサ(5番人気)は夏季休養を経て体重が12キロ増と、GⅠ阪神JF②着、GⅢチューリップ賞①着時から微増は理想的といえる仕上がり。レースでもスッと2番手につけてスムーズに折り合い、4コーナー先頭の正攻法で後続を振り切りました。

 

 

「馬体増も良かったですし、夏場がいい休養になって、身も心も凄く成長していました。今回は開幕週なので、ある程度は流れに乗せていこうと思っていました。逃げた馬がバテて、早めに先頭に立つ形になりましたが、脚はたまっていましたし、最後までよく踏ん張ってくれました。追い切りでは緩さを感じていましたが、それでいて結果を出してくれましたから、まだ上積みの見込める本番が楽しみです」とレース後に田辺騎手はコメント。秋緒戦で坂越えの2000mをクリアした意義は今後に向けて大きく、今回の馬体を維持できれば次の秋華賞でも目の離せない存在となりそうです。

 

マルターズディオサの4代血統表

 

秋華賞でも侮れないパラスアテナ

 ②着が当日版で個人的に◎としていたパラスアテナ(10番人気)。大外を引いた枠順を見た際は正直、がっかりしましたが、推奨理由とした機動力、タフな馬場で健闘した前走内容を思い起こして馬券を購入。少額ながら馬連、3連複を的中できました。大外枠から流れに乗せた鞍上の手腕、ラストに連対圏へ食い込んだ馬の能力が好走要因で、本番も極端な高速馬場でなければ、注意が必要となるでしょう。③着シーズンズギフト(3番人気)も外枠からルメール騎手が好位置をキープし、直線では最内を突く巧みなレース運び。最後の詰めが甘くなったのは休み明け+2000mの距離が新馬戦以来だったことも影響したと考えられます。潜在能力の片鱗は見せたと思えるレースぶりでした。

 

 

樫上位組の巻き返しに要注意!

 ④着マジックキャッスル(6番人気)は小柄なタイプらしく好仕上がりでしたが、中団追走から4コーナーで進路を確保する際に他馬と接触するようなシーンがあり、今日の馬場状態も不向きだった分、伸び切れなかった印象です。本番が瞬発力の生きる良馬場なら、躍進があって驚けません。2番人気で⑥着のウインマイティーもスタートで後手を踏み、渋太さを生かす本来のレースができずに0秒3差ですから悲観する必要はなく、こちらは本番が消耗戦になると巻き返しがありそうです。1番人気に支持されたスカイグルーヴは体重増には好感が持てましたが、戸崎騎手は「ハナに行こうと思っていましたが、ゲートの中でも落ち着き過ぎていて、気持ちが入っていないようでした」とコメント。デビュー当初のパフォーマンスから資質の高さは疑う余地がなく、もう少し長い目で見た方が良さそうです。

 

 

                                 text by 五十嵐 友二

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・①~③着馬の前走を見てみるとGⅠ⑩着、GⅢ④着、GⅡ②着。GⅡ・GⅢ組は来年以降、前走で④着以内なら連対可能と条件を緩和したい。

〇1勝クラス組・・・前走で②着を0秒5引き離していたラヴユーライヴは⑫着。ただ、輸送により大幅に馬体が減っていたのが敗因と思え、今後も条件を満たした馬には注意が必要と思える。

〇オークス上位組・・・前走がGⅠオークスで⑥着以内に入っていた馬は3頭出走して④⑥⑯着。いずれも馬券には絡めておらず、来年は過度の評価は禁物か。

 

 


 
研究ニュースネット新聞の紙面がご覧いただけます!
下記リンクをクリック
 
 
研究ニュースネット新聞ご購入はコチラをクリック!
 
 

 
 
※記事中の写真は競馬ブックネットSHOPで販売中!
詳しくは写真かチラをクリック!
 
記事中の写真・紙面の無断転載、複製禁止