1月31日に東京競馬場で行われた第35回GⅢ根岸S(ダ1400m・4歳以上・別定・晴れ・稍重馬場)はレッドルゼル(単勝1番人気)がゴール前で抜け出して優勝。騎乗した川田将雅騎手、管理する栗東・安田隆行調教師とも根岸Sは初勝利。レッドルゼルは北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は㈱東京ホースレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

 

【展開・ペース】 2019、20年(良馬場)は前半3ハロン通過が35.0。稍重馬場だった今年は同34.4。例年の水準よりも速めのペース。加えてスマートセラヴィーメイショウテンスイサクセスエナジーの3頭が馬体を併せて先行する形。前で運んだ面々は上手に息を入れられなかった分、直線に向くと失速して後退。中団、後方で脚をタメた馬たちが③着までを占めました。

 

 

残り1ハロンから見せた極上の末脚

【レース分析】 レッドルゼルは中団の内で折り合って追走。人気を背負って馬群の中を進む形。進路が塞がってはたまりません。そのあたりは川田騎手は冷静ですね。リスクが小さいと見て同じく上位人気に支持されたタイムフライヤーの後ろに陣取りました。直線に向いて前を走るタイムフライヤーサブノジュニアの間に進路を見出そうとしますが、なかなか前が開きません。追い出しを待たされましたが、タイムフライヤーの後ろを進んでいたことで、タイムフライヤーが抜け出して出現したスペースにスッと馬体を入れることができました。結果的にポジション取りが奏功しました。残り1ハロン地点から一杯に追われると凄まじい加速力。レースのラスト2ハロンが12.0-11.9ですから決してタイムフライヤーの脚が止まったわけではありませんが、これを差し切ってしまいました。

「これまで1,200~1,400mではずっといいレースをしてきましたが、次にマイルのフェブラリーSを予定しているので、そこにつながるようなレースを意識していました。直線ではしっかりといい脚を使ってくれました。最後は着差は僅かでしたが、負けたという感触はなかったです。いい内容で勝つことができました、次走に向けていい準備をしていきたいですね」とレース後に川田騎手はコメント。まさに言葉通り、東京コースで本番を睨み、使える脚を確認し、しかも結果を出すこともできました。近年を見てもモーニン、ノンコノユメモズアスコットが根岸Sを勝ち、フェブラリーSを制しています。レッドルゼルもこの勝利で主役候補の1頭に躍り出ました。

 

レッドルゼルの4代血統表

 

8歳でも脚力健在ワンダーリーデル

 ②着はワンダーリーデル。昨年のフェブラリーSの➃着馬であり、一昨年の武蔵野Sでは1.34.6という良馬場としては大変、優秀なタイムをマークして勝利。当時の②着がタイムフライヤーですから結果を残しても驚けません。ただ、人気薄だったのは近走成績が冴えなかったのに加え、叩き良化タイプだけに休み明けを割引材料とファンの方々が考えたからでしょう。レースは最後方を追走。内ラチ沿いを進み、距離ロスを抑え、直線に向くと一気に大外へ。テン乗りでしたが、メリハリの利いた田中勝春騎手の好騎乗。僅かにアタマ差だけ届きませんでしたが、8歳を迎えても脚力健在を証明。叩いてグンと上昇するタイプですから次走のフェブラリーSでも軽くは扱えませんね。

 タイムフライヤーは初めての1,400mでも苦労せず、流れに乗れました。誤算だったのは先行勢の脚いろが早々に鈍って残り2ハロンを過ぎたあたりで先頭に立たされたこと。結果的に後続の目標にされてしまいました。それでも、着差はコンマ1秒差。しかも上位2頭よりは今回1キロ重い57キロを背負っていました。斤量差がなくなる本番では立ち回りひとつで逆転が可能だと考えます。

 アルクトスは2週前、1週前の追い切りの動きが冴えず、決して完調とは言えない仕上がり状態。しかも、勝ち馬より3キロも重い59キロの重量。直線ではなかなか進路が開かず、スムーズに立ち回ることはできませんでしたが、コンマ2秒差の➃着。最も変わり身が期待できるのはこの馬なのかも。ワイドファラオと主導権を巡って競り合ったためリズムの悪い走りになった昨年のフェブラリーSの借りを返すシーンがあって不思議ありません。上位4頭をすべて褒める回顧になりましたが、各馬、本番を見据えて上々のレース内容だったのではないでしょうか。

 

                          

text by 藤原 有貴

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走距離・・・連対馬の前走を見ると、勝ち馬は1,200mで②着、そして②着馬は1,600mで➃着だった。来年からは前走が1,200m=②着以内、1,600m=➃着以内と条件を緩和したい。

〇レース間隔・・・①②着馬は前走が前年11、12月だった。やはり前走が年明けだった馬は苦戦を強いられるようだ。

〇馬齢・・・8歳で連対したワンダーリーデルは東京ダ1,600mで重賞勝ちしていた。高齢でも東京コースで実績を残している馬は高い評価が必要だ。

〇C.ルメール騎手・・・今年は③着に終わったが、きっちりと馬券圏内は確保。今後も騎乗馬は馬券に絡めておきたい。

 

 

《根岸S 2016-20》

 

 


 
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