第38回フェブラリーＳ回顧

　2月21日に東京競馬場で行われた第38回ＧⅠフェブラリーＳ（ダ1600ｍ・4歳以上・定量・晴れ・良馬場）はカフェファラオ（単勝1番人気）が優勝。良馬場ながら同レースがＧⅠに昇格してから2016年（1.34.0・重馬場・勝ち馬モーニン）に次ぐ、2番目に速い勝ちタイムだった。鞍上のＣ.ルメール騎手は昨年のモズアスコットに続き、フェブラリーＳを連覇。管理する美浦・堀宣行調教師は同レースは初勝利となった。カフェファラオは米国Ｐ.ポンパさんの生産馬。馬主は西川光一さん。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

【展開・ペース】　砂を被りたくないエアアルマスが1枠1番。意を決してハナに立ち、そこにワイドファラオが絡んで前半の半マイル通過は46秒5。これは差しタイプが台頭した昨年とほぼ同じ。戦前に予想した通り、差し・追い込み決着のお膳立ては整ったと感じたのですが・・・。

砂上に現れた世代交代の旗手

【レース分析】　カフェファラオ（1番人気）は1月中旬から美浦トレセンで時計を出し始め、厩舎でじっくりと調整されてきました。操縦性の向上を目的にハミ、鼻革と馬具を工夫しての実戦。チークピーシズを着用した効果でしょうか、この馬らしいいい頃の気迫が戻っていましたね。レースでは前で飛ばすエアアルマス、ワイドファラオを深追いせずに3番手を追走。恐らく、このポジションでも決して楽なペースではなかったはずですが、直線に向くと残り1ハロン付近でエアアルマスを交わして先頭。後続の追い上げを封じて押し切りました。良馬場で1分34秒4というタイムは破格。まさに横綱相撲という走り、圧巻のパフォーマンスでしたね。

「今日は本当のカフェファラオでしたね。馬の状態は凄く良くて、パドックから自信を持ちました。今日はチークピーシズを着けていたのでアグレッシブな競馬をしたいと思っていました。いいスタートでいいポジションを取れて流れに乗ることができました。道中は結構忙しかったですが、ずっと反応してくれていました。2歳から能力を見せてくれて、ポテンシャルは高いと思っていたので、ＧⅠを勝つことができて良かったです」とＣ.ルメール騎手。陣営の創意工夫も奏功し、輝きを取り戻したカフェファラオ。今回は出走していなかったチュウワウィザード、オメガパフューム、そしてクリソベリルなどなどこの路線は強豪揃い。ダート王の座を確固たるものにすることができるかどうか。これからの戦いから目が離せません。

▲カフェファラオの4代血統表

ダートで復活！エアスピネル

　エアスピネル（9番人気）はキビキビと活気あふれる周回。8歳を迎えましたが、気力の衰えはなく、前走時より脚捌きの硬さも取れていい仕上がりに映りました。道中は中団のインに潜り込み、ロスを抑えた立ち回り。直線に向くとカフェファラオの直後から馬群を捌いて抜け出し、これに迫りました。コンビを組んだ鮫島克駿Ｊの好騎乗が光りましたね。また非常に時計の速い決着になりましたから芝で培ってきたスピードが生きた面もあったでしょうか。

　ワンダーリーデル（8番人気）も8歳馬ですが、馬体は若々しく、ブリンカーを着用したことで気合乗りは上々。叩いた上積みも感じられました。前走のＧⅢ根岸Ｓとは違い、ポジションを取りに動いて、道中はカフェファラオの直後を追走。時計が出やすく、外を回っては厳しい馬場でしたから横山典弘Ｊのこの選択が好走を呼び込みましたね。うまく立ち回って、力は出し切りましたが、今回に関しては勝ち馬を褒めるべきでしょう。本命に推したソリストサンダーは、馬体が一段と逞しくなり、まさに充実一途。ペース自体は速かったですが、時計が出やすく、上位3頭は道中で内を走っていましたからね。これに対し、ソリストサンダーは外を回りましたし、タイムも速過ぎたのかもしれません。