3月14日に中山競馬場で行われた第38回GⅢ中山牝馬S(芝1800m・4歳以上・牝馬・ハンデ)はフェアリーポルカ(単勝3番人気)が中団から力強く伸びて勝利。鞍上は和田竜二騎手。管理する栗東・西村真幸調教師ともこれが今年のJRA重賞初勝利となったフェアリーポルカは北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は山本剛士さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

【展開・ペース】 この日は朝から雨。途中から雪へと変わり午後になっても降り続いた。そのため芝の馬場状態は悪化し、11Rは不良馬場での争いとなった。ハナ候補と目されたコントラチェックを外からモルフェオルフェが交わして主導権を奪取。2番手にリュヌルージュが続く。前半1000mは60秒8。この馬場で12秒前後のラップが並び、タフな流れとなった。ただ、先行した組は序盤のペースが緩かったこととハンデも軽く、簡単には止まらなかった。

 

 

【レース分析】 フェアリーポルカは動きに柔らかみがあって気配は良好。内目の3番枠を生かし、スムーズに1コーナーへ入ると、中団で折り合って追走。3、4コーナーでも手応えは抜群。重馬場で施行された前走のレース後、「道悪はこなしていました」和田竜二騎手がコメント。今回の走りを見ても、脚取りは非常に力強く、適性はかなり高いのだろう。直線に向いて外へ持ち出すと、粘るリュヌルージュを捉え、きっちり交わしてゴール。前走のGⅢ愛知杯は外枠の分、敗れたが、今回は内枠から存分にこの馬らしい器用さを生かすことができた。

 

フェアリーポルカの4代血統表

 

「内枠が欲しかったのですが、いいところが当たりました。道悪は小倉でも頑張っていたので、あまり気にしないようにしました。前にいい目標がいて、それを見ながら競馬がしやすかったです。1800m(前走は2000m)の方が切れると思っていて、その通り最後はしっかり伸びてくれました。使う度に良くなっていますし、落ち着いた馬なので大舞台でもやれると思います」和田竜二騎手。昨秋のGⅢ紫苑Sでは中山芝2000mを1分58秒3で走破。軽い芝の時計勝負にも対応は可能で、立ち回りのうまさを生かせる条件であれば、更にタイトルを上積みすることもできるだろう。

 

 

 ②着は14番人気の伏兵リュヌルージュ。戦歴を振り返ると、昨年4月以降、⑤着以下に敗れたのは不利があった2走前だけ。相手なりで堅実。また前走の稲荷特別は外から差し馬が台頭しやすい馬場を2番手から押し切っており、中身も濃かった。今回はモルフェオルフェの逃げを2番手でマーク。直線では一旦先頭に立つシーンを作り、50キロという軽ハンデを味方に渋太く粘り込んだ。初騎乗ながら、積極的かつ強気にレースを運んだ団野騎手の好騎乗も称賛に値する。

 エスポワールは稍重、重馬場での勝利実績が買われてか1番人気に支持された。道中は後方で脚をためて追走。3コーナー付近から馬群の外を進出し、直線はデンコウアンジュと併せる形で伸びてきた。もう少し前で流れに乗れていれば際どい勝負に持ち込めたか。➃着はデンコウアンジュ。重馬場だったGⅢ愛知杯ではフェアリーポルカを負かして勝利。ちなみにそのGⅢ愛知杯の①③➃着馬は今回、➃⑤①着。道悪となった点から結果がリンクしたか。それにしてもデンコウアンジュは56キロのトップハンデを背負って③着争いに加わったのは立派の一語。7歳でも衰えはない。

 2番人気に支持されたコントラチェックはハナにはこだわらず、4番手に控える。いい手応えのまま直線に向いたが、そこからの伸びがなく、ズルズルと後退。「この馬場が応えました。4角まではいい感じでしたが、直線に入るとやめてしまって……」C.ルメール騎手。力を出し切っての敗戦ではない。⑮着のカリビアンゴールドも同様。こちらも道悪に行く手を阻まれてしまった格好。次走の巻き返しに注意したい。

 

                                 text by 藤原 有貴

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ったフェアリーポルカは前走がGⅢ愛知杯で0秒2差➃着。重賞組は着順よりも着差を重視したい。ただ、②着リュヌルージュは過去5年で③着が最高着順だった条件戦組。来年以降は、たとえ条件戦組でも軽視はできない。

〇ハンデ・・・①着52キロ、②着50キロと今年は過去、劣勢だった軽ハンデ組が連対を果たした。これは傾向が大きく変わるきっかけとなる可能性も。来年以降はあまりハンデにこだわらずに取捨選択を進める必要がありそうだ。

 


 
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