6月6日に東京競馬場で行われた第71回GⅠ安田記念(芝1600m・3歳以上・定量・曇り・良馬場)は単勝8番人気だったダノンキングリーが外から差し届いて優勝。騎乗した川田将雅騎手は2015年モーリス、2017年サトノアラジンに続く安田記念3勝目。管理する美浦・萩原清調教師は当レース初勝利。ダノンキングリーは北海道浦河町・三嶋牧場の生産馬。馬主は㈱ダノックス。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 内枠からダイワキャグニーが逃げの手に出て、トーラスジェミニが競り合うことなく2番手を追走。前半半マイル通過は46秒4とスローペース。瞬発力の優劣、そして馬場の悪い内側を避けたコース取りが勝敗を分けたポイントとして挙げられます。

 

雲外蒼天!好素材がマイル王に輝く

【レース分析】 ダノンキングリー(単勝8番人気)は4月に美浦へ帰厩。当時も調整を見守っていたわけですが、あまり好印象を抱くことはありませんでした。重賞を勝つような馬は、トレセンで何百頭もいるサラブレッドの中でも特別なオーラを放つものですが、存在感は希薄。直前の動きも物足りなく映りましたが、追い切ってからグンと上向いた感じ。自分で体を作ったのでしょうか。9分くらいまでは状態が戻っていましたね。

スタートを出たなりにグランアレグリアをマークするようなポジション。どちらかと言うと前向きな気性ですが、テン乗りでも川田騎手はしっかりと我慢させていました。直線の入り口ではスムーズに外へ持ち出すことに成功。あとは父譲りの瞬発力を存分に生かし、鮮やかに差し切って念願のビッグタイトルを獲得しました。

 

▲パドックを歩くダノンキングリー(撮影:yu~kun)毛ヅヤが良く、馬体の張りも上々。追い切り後にグンと調子を上げていた。

 

「初めて乗りましたが、この馬とは何度も一緒にレースをしていますし、見てもいましたから。返し馬は正直いい感じではありませんでしたが、競馬自体はスムーズでした。道中のリズムが良かったことで、トモの動きも問題なく、これなら直線も動いていけると思っていましたし、その通りに伸びてくれました。なかなかGⅠに届かずにいましたが、このメンバーでも勝ち切ることができたように能力は高いですし、これが本来の姿です。期待して手綱を任せてくださったオーナーにGⅠを届けることができて良かったです」とレース後に川田将雅騎手はコメント。本馬場入場後は体をほぐしつつ、しっかりコンタクトを取り、まさに人馬一体でレースを進められたのも勝因のひとつ。また昨秋の天皇賞後は体調が整うまで無理せず、レース間隔を取った陣営の決断も吉と出ました。僅かクビ差に泣いた日本ダービーから約2年。大きく成長し、ついに大輪の花を咲かせました。

 

ダノンキングリーの4代血統表。ディープインパクト産駒は昨年に続いて連勝。通算では安田記念4勝目をマーク

 

グランアレグリア連覇は成らず

 グランアレグリア(単勝1番人気)は前走時(ヴィクトリアマイル)より落ち着きがあり、パドックの気配も良好。ただ、本紙の見解で記したように、中2週では状態が完全には戻り切らなかったのでしょう。いつもは折り合いに苦労するほどなのですが、今回は行きっぷりが今ひとつで後方を追走。終始、ケイデンスコールに外から蓋をされて動きづらく、直線は馬群を捌き、追い上げましたが、②着。地力は示したものの一旦、先頭に立ちながら最後の最後でダノンキングリーに交わされた点からも本来のパフォーマンスを発揮することはできませんでした。

 

▲ゴール前は大接戦。馬群を捌いて先頭に立ったグランアレグリアに外からダノンキングリーが伸び勝った。

 

 シュネルマイスター(単勝4番人気)はボリューム感のある体つき。前回よりも身のこなしに柔軟性を増した印象も。外枠からスムーズに運び、直線ではインディチャンプを捉えて③着。初めての年長馬相手でしたが、能力の高さをアピールしました。斤量差がある分、3歳でも通用することも証明。来年以降、安田記念への参戦がもっと増えてほしいところです。

 本命に推したサリオス(単勝3番人気)は前回より体が締まり、雄大なフットワークで迫力満点。絶好の気配に映りました。不運だったのは最内枠に入った点。前走の大阪杯はスタートを決め、ポジションを取りに行きましたから今回も、と考えたのですが・・・。陣営が右トモをウィークポイントに挙げているように、マイルのペースではスタート直後の加速で見劣り、道中のポジションが悪くなってしまいます。そして直線ではグランアレグリアに進路を取られて万事休す。結果は外を回った3頭がワンツースリー。外枠を引けていればまた違った思いますが・・・。能力を出し切れず、消化不良の一戦となってしまいました。

 

川田騎手とダノンキングリー川田騎手は今年早くもJRAのGⅠは3勝目。昨年の2勝を上回った。

 

                          

text by 京増 真臣 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・連対した2頭の前走を見ると、勝ち馬はGⅠ天皇賞・秋⑫着、②着馬はGⅠヴィクトリアマイル①着。GⅠ組に関しては前走着順で取捨を判断しない方が賢明か。

〇レース間隔・・・勝ったダノンキングリーは7カ月ぶりの実戦。マイルGⅠではないが、日本ダービーで②着があった。休み明けでもGⅠで②着以内の実績があれば連対する資格は十分。

〇実績・・・マイルで勝ち星がなかった馬は3頭出走して⑥⑨⑫着。距離実績は重要だ。

〇ヴィクトリアマイル組・・・今年も牡・牝混合GⅠで勝ち星があったヴィクトリアマイル組・グランアレグリアが②着。これで2018年から4年続けて同条件を満たした馬が②着を確保。来年も該当馬が出走してくるようなら②着固定で勝負してみても面白い。

 

 

《安田記念 2016-20》

 

 


 
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