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中山グランドジャンプ回顧

 2017年4月15日(土)3回中山7日11Rは、第19回 中山グランドジャンプ(J・G1)。当日のダートは稍重スタートでしたが、平地の4R芝は良馬場スタート。天候も良く、2.00.4という速い時計での決着でした。ただ、11Rの勝ち時計4.50.8は過去のレースと比べて、それほど速いわけではありません。

 レースはメイショウヒデタダが1つめの障害で抜け出し、そのまま引っ張る形で始まりました。アップトゥデイトはスタート直後に外のルペールノエルに入られて少し控える形に。対してオジュウチョウサンは外枠からスムーズなスタート。スタンド前に入るころには3つのグループに分かれていました。逃げたメイショウヒデタダ、2番手グループには4、6、7、12番の上位陣が陣取り、その後ろにサンレイデュークを含んだ3番手グループ。

 スタンド前から外を通ってアップトゥデイトが徐々に前へと上がっていきます。軽快に飛ばしていくメイショウヒデタダアップトゥデイトラステラが追走。離れた4番手にオジュウチョウサン。谷を降って駆け登って、いよいよ大竹柵へ。全馬無事に飛越!

 逆回りに入って先頭はメイショウヒデタダ、次にラステラアップトゥデイトオジュウチョウサンがそれぞれ少し間隔を開けて追走し、他馬はその後ろでほぼ一塊。と、3角の谷を降るあたりで、外からウインヤードが上がっていこうとし、それに呼応するかのようにルペールノエルが引っかかる感じで前へ。内からスルスルとオジュウチョウサンも上がっていって、大障害コースを斜めに横切り、いつの間にか2番手あたりの位置。後方でも動きがありました。サンレイデュークルペールノエルタイセイドリームを交わしていって、アップトゥデイトの後ろまで追い上げます。さあ、大生垣。

 高さ1m60㎝、幅2m40㎝というレース最大の山場ですが、ここも全馬がクリア。それにしても、オジュウチョウサンはやっぱり飛越が巧いですね。まったくぶれません。順回りに入っても依然としてメイショウヒデタダが先頭。アップトゥデイト、オジュウチョウサンと続いて、ワンダフルワールドサンレイデュークウインヤードタイセイドリームといった形。2号障害でルペールノエルがずるっと後退。次の3号障害を飛んだ後に左の鐙をいじっていたように何かあったのかもしれませんね。しかし、また外から上がっていきます。

 2角の降りで逃げるメイショウヒデタダ、追走するアップトゥデイト、そこに外からヒタヒタと、しかし一歩一歩確実に王者オジュウチョウサンが迫ります。この時、石神騎手曰く「外から来たタイセイドリームに蓋をされそうだったので、動いた時にハミを噛んでしまいました」とのことですが、ここが大きなポイントに。それにより、向正面に入ってアップトゥデイトは2頭に挟まれて非常に苦しい形。メイショウヒデタダは最後にガス欠になったということでしょう。その後ろに4枠の2頭とルペールノエル。勝負はほぼこの6頭に絞られました。

 アップトゥデイトが必死で食い下がりますが、見た目に外のオジュウチョウサンの手応えが勝ります。3角の9号障害を越えてオジュウチョウサンが先頭へ。後ろでは先頭集団に離されまいとルペールノエルにムチが入ります。サンレイデュークが外から先頭のオジュウチョウサンに迫る。メイショウヒデタダは苦しくなったかズルズルと後退。

 後ろを引き離して、直線はオジュウチョウサンサンレイデュークの一騎打ち。結果はオジュウチョウサンが1着。これで重賞6連勝。中山グランドジャンプを連覇。和田正一郎調教師(美浦)はJRA通算100勝目と節目の勝利。石神騎手も相当なプレッシャーがあったと思われますが、お見事です。結果的に2周目2角の動きで、ロングスパートのような形になったわけですが、そのまま押し切るという離れ業。サンレイデュークは相手が悪かったとしか……。9歳、6回目のG1挑戦で過去最高着順の2着。屈腱炎で1年の休養を余儀なくされましたが、よく戻ってきました。途中でポジションを押し上げていった難波騎手の好判断も光ります。アップトゥデイトは前から8馬身差と離されましたが、早めに勝ち馬に持ったままで交わされるという厳しい展開で3着は立派です。タイセイドリームは障害戦で初めて3着を外しましたが、これがG1初挑戦。ルペールノエルは前述のように道中でアクシデントがあったようですし、全体に粗いレースになりながら、これもよく盛り返しました。3年ぶりに落馬は一頭もなし。そして、レース後はオジュウチョウサンの強さにただただ脱力しておりました。

text by 小林 

 

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