2回函館6日目11Rに行われた第50回GⅢ 函館2歳Sは2番人気のアスターペガサスがハナ差の差し切りVで、今年のJRA2歳世代最初の重賞ウィナーとなり、騎乗した小崎綾也騎手デビュー5年目、11度目の挑戦で嬉しい重賞初制覇となりました。アスターペガサスは米国・ストーンストリートTHの生産馬で、馬主は加藤久枝氏。通算成績は2戦2勝。

それではレースを振り返ってみましょう。

 

 

【展開・ペース】

 前日の土曜から芝コースは同じ良馬場だった1週前よりも速いタイムが出ていましたが、それにしても2ハロン目に10秒6のラップが刻まれて、前半3ハロン33秒9のペースは速め。全体には差し有利の展開、スピードの絶対値よりも、ある程度は持久力も必要な流れになったことが、レース結果にも結びついた印象を受けました。

 

 

【レース分析】

 勝ったアスターペガサスはスタートが今ひとつ。押っつけて馬群に取りつき、徐々に追い上げたところで外から蓋をされる形になり、馬群の中へと進路を取りましたが、そこにできた1頭分の僅かなスペースをつき、最後まで脚勢が衰えることなく、ゴールでは前をハナ差だけ捉えていました。小崎綾也「ゲートが課題だと思っていて、それが実際に出てしまいましたが、追ってからはしっかりと反応してくれましたし、届くかなと思って必死に追いました。いい結果を出せて良かったです」とコメント。スタートでのロスを挽回して、デビュー戦よりも自身の時計を1秒6短縮した内容にはセンスの良さが感じられ、陣営も先々はマイル路線を視野に入れている様子。軽量馬が上位を占めた同日の3歳以上1000万と0秒5差の走破タイムも上々でしょう。勿論、距離が延びてのレースぶりにも注目したいですね。

 

アスターペガサスの4代血統表

 

 惜しかったのが速い流れの中で、正攻法の競馬をしてハナ差②着だったラブミーファイン(7番人気)。一気の距離短縮に対応して先行集団でレースを運び、一旦は抜け出した内容には能力の高さが感じられました。新種牡馬のジャスタウェイ産駒は万能型なのかも知れませんが、こちらもベストの条件、適性については今後を見てということになりますね。③着の3番人気カルリーノは勝ち馬と同様、出遅れましたが、こちらは早目に追い上げて好位の後ろを確保。上手な立ち回りを見せた割には前走ほどスパッと切れませんでしたが、結果的に速い流れを積極的に追走した分があったのかも。道営から参戦してきた④着エムティアン(9番人気)もペースを考慮すれば大健闘といえる内容。芝に適性があることは間違いないので、札幌の最終週、すずらん賞に出走してきた際には有力候補になるでしょう。⑤着の6番人気トーセンオパールは小柄な牝馬ですが、相手なりの走りで大崩れががなさそうなタイプ。軽い芝での走りも見てみたいですね。

 一方、残念なレースになってしまったのが1番人気⑨着のナンヨーイザヨイ。ペース的に待機策を選択した岩田騎手の判断は正解と思われ、勝ち馬の外で脚をタメていましたが、4角、直線で⑩着馬が外に斜行してきた影響を受けて不完全燃焼の競馬に。また、本紙が▲に取り上げていた⑦着ロードワンダー(11番人気)も大きく出遅れて追い上げに脚を使い、直線も⑤着馬の後ろで、少しスムーズさを欠きながら0秒5差。函館4戦目だった点からも評価できるレースぶりでしたから、今後に向けて覚えておいて損はないでしょう。

text by 五十嵐

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

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