8月1日に函館競馬場で行われた第69回GⅢクイーンS(芝1800m・3歳以上・牝馬限定・雨・良馬場)は単勝3番人気に支持されたテルツェットがゴール寸前で差し切って優勝。当レースはC.ルメール騎手にとっては2018年のディアドラに続く2勝目。管理する美浦・和田正一郎調教師は初勝利。テルツェットは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)シルクレーシング。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 スタート直後は外のシャムロックヒルも行き脚がつきましたが、内のローザノワールが気合をつけてハナを主張してきたので、無理はせずに競り合いを避ける形。向正面に入る時にはドナアトラエンテが2番手をキープ。道中も12秒前後のラップが続き、良馬場発表でも雨中だったこともあり、スピードよりも持久力、そして時計のかかる馬場への適性が求められる展開、レースの質となりました。

 

女王の座を目指し、函館で好発進

【レース分析】 勝ったテルツェット(単勝3番人気)は互角のスタートから後方に待機して、じっくりと構えて末脚を温存。直線では馬群を捌きながら鋭く伸びて、鞍上が初騎乗でも同馬の身上である決め手をフルに発揮して、ゴール前できっちり前を捉えました。

 

▲前走後、立て直されて函館入りしたテルツェット。1800m、1周競馬にも対応して価値ある勝利となった。

 

「スタートしてからはいつも通り、後方からの競馬になりましたが、馬は冷静でしたし、リズム良く走ることができました。道中も彼女の手応えは凄く良かったですし、前の馬が動いてくれて、目標にすることができました。春に4連勝した後のGⅠでは走れませんでしたが、今はパワーアップしているようなので秋が楽しみです」とレース後にC.ルメール騎手はコメント。小柄なディープインパクト産駒でも稍重の中山でデビュー勝ちなら、時計のかかる馬場に対応できたことも納得でしたが、ヴィクトリアマイル後に放牧を挟んで立て直されて、調教VTRで確認した追い切りの動きも、良さが目立っている1頭でした。勿論、高速決着になっても問題のないタイプですから、今後も活躍が期待できるでしょう。

 

テルツェットの4代血統表 今年のクイーンSは雨中の決戦となったが、ディープインパクト産駒がワンツーを決めた。

 

成長を確認できたマジックキャッスル

 ②着マジックキャッスル(1番人気)は好位で流れに乗り、直線でも進路を確保して人気馬らしいレース運び。ゴール寸前で差されましたが、勝ち馬より斤量が1キロ重かったことを考えれば互角に扱える内容。以前は鋭さの生きる馬場がベストのイメージでしたが、万能型に成長していることも確認できました。③着が当日版の紙面で、個人的に◎としていたサトノセシル(8番人気)。道中のポジションは戦前に予想していた位置より後ろでしたが、折り合いを欠くような感じはなく、勝負どころで少し手応えが鈍りながら、最後まで脚を伸ばして馬券圏内を確保しました。やはり時計を要す洋芝、滞在か事前入厩のパターンが合いますし、鞍上も完全にサトノセシルを手の内に入れているようです。

 

▲ゴール前で様相一変!粘るフェアリーポルカを交わし、グイッとひと伸びしたテルツェット

 

 ④着フェアリーポルカ(6番人気)は内枠を生かした立ち回りで、直線を向くと一旦は先頭に立つ場面が。こちらも②着馬と同様、56キロを背負っていましたから、同じ着順でもダートグレード競走を使われた2戦より内容は良く感じられました。⑤着のクラージュゲリエ(7番人気)も内を立ち回って掲示板を確保。そして惜しかったのが⑦着のイカット(5番人気)で、道中は馬群の内で完璧なレース運び。直線を向いた時も手応えは抜群でしたが、そこから前が詰まって鞍上が追えず終い。スムーズならと思わせる内容で、自己条件の3勝クラスなら見直しが必要でしょうが、距離は1800mがベストですから、次の札幌開催に適当な番組がないことが気になります。

 

 

                          

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走着順・・・今年はGⅠ⑭着→GⅠ③着馬でワンツー。どちらも4歳馬だった。今後も前走GⅠ組は3、4歳馬を狙っていきたい。

〇斤量・・・前走から斤量が3キロ以上増えた3頭は⑥⑨⑫着。掲示板にすら載れなかった。

 

 

 

 

《クイーンS 2016-20》

 

 


 
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