9月5日に新潟競馬場で行われたサマー2000シリーズ最終戦 第57回GⅢ新潟記念(芝2000m・3歳以上・ハンデ・晴れ・良馬場)は単勝12番人気のマイネルファンロンが直線で大外から差し切って優勝。騎乗したM.デムーロ騎手は2015年のパッションダンス以来、新潟記念は2勝目。また管理する美浦・手塚貴久調教師は初勝利。マイネルファンロンは北海道新冠町ビッグレッドファームの生産馬。馬主は㈱サラブレッドクラブ・ラフィアン。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 スタート後、ラインベックがハナに立ちかけますが、これを内からショウナンバルディが交わして主導権を握りました。前半1000m通過は60秒0。馬場を考慮しても平均よりスローに近い流れ。しかし、直線で台頭したのは外を回った差し・追い込みタイプ。ペース云々より通ったコースが勝敗に大きく影響した印象は否めません。
妹の背を知る名手に導かれて
【レース分析】 6~8枠に入った7頭中6頭が①~⑥着までを占める結果に。各馬の能力が横一線となるような斤量設定を施されたハンデ戦。道中、そして直線でも状態のいい外を走れたかどうかが明暗を分けました。マイネルファンロン(12番人気)は8枠16番。行きたがったりして乗り難しいイメージを持っていましたが、初騎乗ながらM.デムーロ騎手は見事に折り合わせることに成功。4コーナーを回りこんでから迷わず外へ。確かに外差しの利く馬場の恩恵はありましたが、脚をためにためる戦法で最速上がりをマークして差し切るシーンは想像できませんでした。先入観を持たず、リズム良く運ぶ形で新味を発揮させたM.デムーロ騎手は2015年以降、当レースには6度騎乗してこれで5連対。そしてマイネルファンロンの妹、ユーバーレーベンをオークス勝利に導いていたこと。この2点に気付き、この好走が偶然でなく、必然であったのではという思いを強くしました。
「少し気難しいところがあると聞いていましたが、稽古の感じから馬の状態は良さそうでした。スタートは躓き気味に出ました。道中で他馬と接触して少し掛かりそうでしたが、その後は③着馬の後ろで我慢できました。最後の最後で交わして、よく頑張ってくれました。勝つことができて嬉しいです」とレース後にM.デムーロ騎手はコメント。デビューから30戦目にして掴んだ重賞タイトル。それも今まで戦果を挙げてきた先行策ではなく、追い込んでのもの。収穫の多い一戦だったに違いありません。
シリーズ王者はトーセンスーリヤ
前走の函館記念では前2頭が飛ばすのを深追いすることなく3番手を進み、力強く抜け出したトーセンスーリヤ(3番人気)。今回も積極的に運ぶと考えていましたが、蓋を開けてみれば普段よりじっくり構えて4コーナーを10番手で通過。「差す競馬も試してみたかったですし、できるだろうと思っていました」と横山和生騎手。こういった判断ができるのは、やはり乗り慣れて手の内に入れているからこそ。これが奏功し、結果は②着。トップハンデ57.5キロを背負っての好走は立派。この結果、サマー2000シリーズ王者となったわけですが、函館記念、そして今回とチャンピオンに相応しい走りでした。
3頭出走した牝馬で最も上位に食い込んだのが③着のクラヴェル(2番人気)。2走前が阪神内回り、そして前走が小倉で健闘しましたが、脚質的にもやはり直線の長いコース向き。とはいえ、今は舞台を問わず、脚を使えるようになっています。しっかりと馬体が増えて成長も感じられました。④着ヤシャマル(8番人気)は直線に向いて馬場の中ほどを通ることを選択。すぐにギア全開というわけにはいかないタイプですが、追って味がありジワジワ加速。今回のように序盤に無理をせず、ジックリ構える戦法も合っていますね。最後は馬場のいい外を通った面々に伸び負けしましたが、重賞でも決め手が通用することを証明しました。
⑤着ラインベック(5番人気)は先行して0秒3差に踏ん張った点を評価したいところ。1番人気ザダルはいつもの伸びは見られず⑬着。1枠から道中で終始、馬場の荒れた内めを通らされた影響があったと見るべきでしょうか。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ち馬は前走がGⅢで⑭着(7番人気)。②着馬はGⅢで①着だった。今後、GⅢ組に関しては前走の着順、人気により買いかどうか判断するのは控えた方が良さそうだ。 〇ハンデ・・・52キロのクラヴェルが③着。馬券には絡めても、連対するのはやはり難しい。 〇レース間隔・・・中2週で臨んだ関屋記念、小倉記念組は掲示板にすら載れず。短い間隔での出走は割引。 〇馬齢・・・今年は6歳がワンツー。来年以降、馬齢による取捨はしない方が賢明。
《新潟記念 2016-20》 |