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第38回 ホープフルS 回顧

 12月28日(火曜)に中山競馬場で行われた第38回GⅠホープフルS(芝2000m・2歳・晴れ・良馬場)はキラーアビリティ(単勝2番人気)が3番手から抜け出して優勝。騎乗した横山武史騎手、管理する栗東・斉藤崇史調教師ともに当レースは初勝利。キラーアビリティは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 外のボーンディスウェイを制して内からグランドラインがハナを奪取。主導権を握ってからも12秒台前半のラップを刻み続けて後続を離して逃げる形に。キラーアビリティジャスティンパレスが位置した中団より少し前の3番手グループがペースを考えるとウイニングポジションでした。

 

 

良さを存分に引き出す好騎乗

【レース分析】 前走の萩Sでは、のちの朝日杯FS③着ダノンスコーピオンとクビ差の接戦を演じたキラーアビリティ(2番人気)。前向きな気性で、その前走でも行きたがる仕草を見せていました。それだけに今回、前後半の1000mが60.1-60.5というイーブンペースのタフな流れとなったので折り合いをつけやすかったですね。離して逃げるグランドラインを前に見ながら3番手追走。ポジショニングは完璧。また抜け出して1頭になってからは少し内へフラついた程度で、しっかりと伸び切りました。横山武史騎手は2週続けて調教に騎乗し、コンタクトを重ねた成果が出た形。馬場状態を考慮しますと2.00.6というタイムも優秀です。

 

▲パドックを歩くキラーアビリティ(撮影:yu~kun)

 

「追い切りに2週乗って走る馬だと感じていましたが、口向きなどに難しさがあるとも感じていました。そこが不安でしたが、何とかリラックスして走れていましたし、凄くいいポジションで頑張ってくれました。1~2コーナーで噛みましたが、向正面で思っていた以上に早く抜けてくれたので、これなら大丈夫だと思いました。まだまだ子供ですし、後肢の力もまだ良くなる余地があって、気だけで走っているので、オンとオフの切り替えがはっきりできれば、もっといい走りができると思います」とレース後に横山武史騎手はコメント。まだまだ未完成、伸びしろがある中でGⅠ制覇。ディープインパクト産駒で折り合いさえ無事なら鋭い脚も使えるタイプ。鞍上のコメント通り、気性面が成長し、同居する危うさが解消されるようなら来春のクラシック戦線でも当然、好勝負になり得るでしょう。

 

キラーアビリティの4代血統表

 

成長見込めるジャスティンパレス

 ジャスティンパレス(4番人気)は掛かるのをなだめながら勝ち馬の後ろを追走。行きたがった分もあってキラーアビリティに馬体を並べることはできませんでしたが、急坂に差しかかっても極端に伸びは鈍らず②着確保。450キロの馬体はまだ華奢に映り、実が入ってくればグンと良くなってきそう。ラーグルフ(8番人気)はキラーアビリティの直後を追走。3番枠を生かし、無駄のない立ち回り。勝ち馬とは瞬発力の差が出ましたが、最後は粘るボーンディスウェイを負かして③着に浮上。馬体は14キロ増えていましたが、太め感はなく、これは成長分。急速に力をつけています。

 

 

 1番人気コマンドラインはスタート後にアオって後手。その後は気難しい面を出し、1コーナー手前ではフィデルと接触。その後も力みながらの追走に。上手に脚が溜まらず、力を出し切れませんでした。初めて経験する15頭立てのレースでしたし、発馬のロスも祟り、レースプランが狂った面は否めません。そのコマンドラインと接触しながらも直線で脚を伸ばしたのがフィデル。もう少し進路取りがスムーズであったなら馬券圏内に食い込めたかもしれません。また経験のない差す形で上位争いできたのは収穫。これは今後に向けて大きな糧になることでしょう。

 

 

 

 

             text by 藤原 有貴

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

【データ泣き笑い】

〇前走クラス・・・勝ち馬は前走がリステッド②着、②着馬は1勝クラス(芝2000m)①着、③着馬はOP特別①着。キラーアビリティが②着だった萩Sからは17年①着タイムフライヤー、18年①着サートゥルナーリア、19年②着ヴェルトライゼンデが出ており、当レースと相性のいいステップレース。来年以降、萩Sに限っては②着以内なら狙えると条件を緩和したい。

〇所属・・・今年は①着栗東→②着栗東→③着美浦で決着。③着の関東馬ラーグルフの鞍上は丸田騎手。今後も西高東低の傾向は続くと見るが、日本人騎手が乗る関東馬という理由で評価を下げるのは避けた方がいいだろう。

 

 

 

《ホープフルS 2016-20》

 

 

 

 

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