1月10日(月曜)に中山競馬場で行われた第38回GⅢフェアリーS(芝1600m・3歳牝馬・別定・曇り・良馬場)はライラック(単勝5番人気)が早めに外を通って進出すると一気に抜け出して優勝。騎乗したM.デムーロ騎手、管理する美浦・相沢郁調教師ともに当レースは初勝利。ライラックは北海道浦河町杵臼牧場の生産馬。馬主は芹澤精一さん。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 スタートが良かったのは内のスターズオンアースとスクルトゥーラでしたが、これらを制してウラカワノキセキが主導権を握り、更に外からフィールシンパシーが行きたがるようにして2番手確保。前・後半の3ハロンは35秒5→35秒3のイーブンペース。中盤も極端に緩むことはなく、総合力を問われる展開になりました。
着差は僅かでも紛れのない完勝
【レース分析】 ライラック(5番人気)は馬体重こそ前走の京都2歳Sより4キロ減っていましたが、パドックではキビキビとリズミカルに周回。陣営が上手に立て直してきたなと感じました。スタートはゆっくりでしたが、M.デムーロ騎手はまったく慌てることなく、走りのリズムを整えながら後方を進みます。3コーナーに入る手前からジワッと前へ。残り600m地点から11秒8→11秒6とラップが上がる中でも、楽な手応えのまま外を通って進出し、直線入口で先頭集団に追いつきます。ここまでかなり脚を使ったはずですが、坂に差し掛かっても脚は鈍らず、抜け出して勝利。着差はクビ差でしたが、進路取り、レースぶりを考えますと、完勝と言って差し支えないでしょう。
「凄くいい脚を使ってくれました。(暮れにターコイズSを勝った)ミスニューヨークみたいでしたね。気難しい面があって、今日も枠内ではイライラしていましたし、出脚もつきませんでした。ただ、今日は最初から脚をためるつもりでしたし、流れも良かったと思います。3コーナーでの手応えが抜群で、「これなら負けない」と思いました。大分、外を回る形にはなりましたが、直線は凄くいい脚を使ってくれました。これなら牝馬クラシックでもやれるんじゃないかな。小柄ですが芯が強い馬。今後も楽しみです」とレース後にM.デムーロ騎手はコメント。パートナーの力を信じ、メリハリをつけた騎乗で能力を発揮させました。好位から抜け出したデビュー戦とは違った戦法で勝ち切った点も今後に向けて大きな財産となるはず。サークルオブライフに続き、また関東からクラシック候補が誕生しました。
賞金加算に成功スターズオンアース
②着はスターズオンアース(1番人気)。3番ゲートを生かし、道中は好位のインで脚をためます。直線では内を突きますが、内の方へとモタれ、鞍上がコントロールするのに苦労するシーン。初めての右回りだった影響もあったでしょうか。それでも、懸命に脚を伸ばしてきました。勝ち馬は坂を上がって手綱を抑える余裕を見せていましたから、直線でスムーズなら逆転できたかどうかは微妙ですが、本賞金を上積みできたのは今後に向けて大きいですね。多頭数のレースにも対応。デビューから順調に馬体を増えており、着実に成長しています。
③着ビジュノワール(7番人気)はスタート後に外の馬に寄られて頭を上げるシーン。ここでスイッチが入ってしまい、その後は力み加減に。そんな状況でも、外から脚を見せたのは評価すべき点。今回がまだ2戦目ですから伸びしろがあります。残念だったのは4コーナーでの事象。スプリットザシーが外へ逃避。その影響で後ろを走っていたポケットシンデレラがバランスを崩し、エリカヴィータと接触してしまいました。エリカヴィータは2番人気と高い支持を集めていましたが、今日に関してはノーカウントと考えていいでしょう。
text by 藤原 有貴
※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。
【データ泣き笑い】 〇前走クラス・・・勝ち馬は前走がGⅢ(重賞は着順不問)⑧着、②着馬は1勝クラスで勝ち馬から0秒5差。1勝クラス組は着差による取捨は辞め、純粋に③着以内なら連対可能と条件を見直したい。 〇所属・・・今年、栗東所属馬は4頭出走して⑧⑨⑪⑯着。掲示板に載ることすら出来なかった。今後もこのレースに関しては栗東所属馬は一枚割り引いて考えたい。 〇キャリア・・・①着馬はデビューから2戦、②着馬は同3戦を消化。やはりキャリア2、3戦の馬が狙い目になる。ただし、前走で新馬を勝ったキャリア1戦組は17年以降、今年のビジュノワールを含め、③着が最高着順。勝ち負けまでは期待しにくい。
《フェアリーS 2017-21》 |