第71回ラジオNIKKEI賞回顧

　7月3日（日曜）に福島競馬場で行われた第71回ＧⅢラジオNIKKEI賞（芝1800ｍ・3歳・ハンデ・晴れ・良馬場）はフェーングロッテン（単勝3番人気）が内から抜け出して優勝。騎乗した松若風馬騎手、管理する栗東・宮本博調教師ともにラジオNIKKEI賞は初勝利となった。フェーングロッテンは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。

それでは、レースを振り返っていきましょう。

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【展開・ペース】　レースを600ｍ毎に3分割すると、前半34.9－中盤35.9－後半35.9となります。スタート後はショウナンマグマが主導権を握り、速いラップを刻んで馬群は縦長に。これを追いかけては脚が保たない。そう後ろを走るジョッキーは感じたはずで、積極果敢にショウナンマグマに競りかける馬はいませんでした。ノープレッシャーの形でしっかり中盤、息を入れることが出来たのがショウナンマグマの好走の要因でしょう。またこれに続いた好位集団の馬たちも中盤で息を整えられましたから最後まで簡単にはバテず、差し・追い込みタイプには厳しい展開だったと言えます。

【レース分析】　勝ったフェーングロッテン（単勝3番人気）は好位集団の真っ只中を追走。前走は逃げ切り勝ちを収めていた分もあって、序盤は行きたがる素振りを見せますが、松若騎手は馬込みに入れて我慢させ、次第にリズムのいい走りに。直線は進路がなく、最内へ。内ラチに接触しそうになりながらも伸びて粘るショウナンマグマを捉えました。

「行ければ行くという選択肢もありましたが、少なくとも中団から好位を考えていたのでイメージ通りでした。道中の折り合いは大丈夫でしたし、終始手応えが良くて脚がたまっている感じでした。直線は内を突いて一か八かでしたが、それに応えてくれた馬に感謝したいです。距離は大丈夫だと思いますし、重賞をひとつ勝てたことで今後の幅が広がったと思います」とレース後に松若風馬騎手はコメント。逃げ切った次走で、控える形から結果を残したあたりはフェーングロッテンのセンスの良さの成せる業。ブリンカー着用後は③①①着と、レースに集中し、ムラがなくなりました。2000ｍまでは守備範囲内ですが、ピクシーナイトの弟という血統背景を考えると、先々は距離を縮め、マイル路線でもその走りを見てみたいと感じます。

▲フェーングロッテンの4代血統表

　②着ショウナンマグマ（8番人気）は展開・ペースの項で記した通り、上手に息を入れつつ、後続のプレッシャーにも晒されずに逃げることができました。今後も自分の形に持ち込めると、渋太さを発揮して激走するシーンがあるでしょう。サトノヘリオス（2番人気）は最内枠から経済コースを進み、直線で馬場の真ん中に持ち出してひと伸び。僅かに②着にクビ差届きませんでしたが、重賞で好走した力は示した格好。今日のような綺麗な芝も合っていますね。

　④着ソネットフレーズ（5番人気）はラスト1ハロン標識を過ぎて甘くなったあたり、1800ｍは少し長かったのかもしれません。それでも、脚部不安から復帰2戦目で復調をアピール。ゴーゴーユタカ（7番人気）は3～4コーナーで少し追い上げに手間取り、また展開も考慮すると追い込んで差を詰めた点は立派ですね。1番人気ボーンディスウェイは内に入れることができず、終始、外を回る形。これは誤算だったはず。距離ロスが積み重なった分だけ最後のひと伸びを欠きました。

　　　　　　text by 藤原有貴