7月2日(日曜)に福島競馬場で行われた第72回GⅢラジオNIKKEI賞(芝1800m・3歳・ハンデ・晴れ・良馬場)は単勝3番人気に支持されたエルトンバローズが優勝した。管理する栗東・杉山晴紀調教師、騎乗した西村淳也騎手ともに当レースは初勝利となった。エルトンバローズは北海道浦河町桑田牧場の生産馬。馬主は猪熊広次さん。

 

それでは、レースを振り返っていきましょう。

 

 

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【展開・ペース】 スタート自体は4枠両馬、バルサムノートあたりの方が速く見えましたが、内のグラニットが大方の予想通りに先手を主張して2ハロン目は10秒9と速めのラップ。ただ、その後は淡々とした流れで推移し、ペースが上がったのは6ハロンを過ぎてから。小回りの福島コースで開幕週の芝ですから、こうなると馬場の外を回る差しタイプには出番がなく、先行力や内を立ち回れる操縦性を求められる展開となりました。

 

 

【レース分析】 勝ったエルトンバローズ(3番人気)は中京を含めた関西圏以外へは初めての遠征競馬でしたが、体重は2キロ減でモニター越しでも馬体の良さが目につきました。レースでもスタートを決めると軽く促して好位のインをキープ。道中も折り合いを欠くようなシーンはなく、むしろ少し気合をつけながらの追走に。それでも、仕掛けられての反応は近走よりも速くて、先に抜け出しを図った②着馬に直線で外から並びかけると追い比べを制し、後続の追撃も許しませんでした。

 

 

 「この馬に乗せてもらうのは今回で3戦目になりますが、一戦毎に成長していることが嬉しいです。小回りなので、まずはスタートを出すことだけ考えていましたが、いい位置を取れました。向正面でもリラックスして走れていたので、これで負けたら仕方ないと思っていましたが、手応え抜群で回ってくることができました。競馬がとても上手ですし、まだまだ成長してくると思いますから、もっと上を目指していい馬です」とレース後に西村淳也騎手はコメント。戦前は小回りコースへの対応がポイントになると考えていましたが、仕掛けての反応が良くなっていたことが、鞍上の言う成長の現われでしょうし、そうなればマイルに速い持ち時計のある馬ですから、今回の快勝劇も納得の結果。デビュー当初に2200mを使われていたので、少なくとも中距離に関してスタミナなどの不安はありませんから、今後も更なる飛躍が期待できそうです。

 

エルトンバローズの4代血統表

 

 ②着が自身が当日版で◎にしていたシルトホルン(4番人気)で、スッと2番手につける立ち回りも期待通り。勝ち馬と同様にマイルで好タイムのレースを続けていましたから、開幕週の芝コースで能力を発揮してくれましたが、今日のところは本質的な距離適性の差が出た印象。ただ、以前は先行して粘り込んでいたタイプが追っての味も出てきましたし、全体にパワーアップすれば中距離の重賞でも、再び好走が期待できるでしょう。そして③着が1番人気の支持を受けていたレーベンスティール。枠順やキャリアを考慮するとスタートを出たなりで、中団の後ろからの追走は仕方ない面がありますが、馬群の外を回れる馬場コンディションや流れではなかったため、勝負どころからも馬込みの中で動けないポジション取りに。直線では内めを鋭く伸びて、負けて強しのレースぶりだったことは誰の目にも明らかですし、やはり本質的には広いコース向きでしょう。それでも、今回でタイトな競馬を経験したことは、次走以降に必ず生きてくるはずです。余談ですが、18年に②着に敗れたフィエールマンを思い出すような内容でした。

 

 

 ④着のバルサムノート(5番人気)も追われて瞬時に加速するタイプではなく、スタートから内にモタれ加減だったこともあり、エンジンがかかったゴール前で③着馬に寄られる不利は痛かったですね。こちらも元々、広いコースがベストの印象でしたし、トップハンデも背負っていましたから、成績以上に評価できる内容といえます。以下では馬群の外を回らされることになった馬の中で、最も脚を伸ばしていた感のある⑦着アイスグリーン(11番人気)を、次走以降の注目馬として取り上げておきます。

 

   

text by 五十嵐 友二

 

 

 

 

 

※結果・成績・オッズ等のデータは、必ず主催者発行のものと照合し確認してください。

 

 

 

 

 

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