2月11日(土曜)に東京競馬場で行われた第58回GⅢクイーンカップ(芝1600m・3歳牝馬・別定・晴れ・稍重馬場)は6番人気のハーパーが優勝。管理する栗東・友道康夫調教師はクイーンカップ3勝目、騎乗した川田将雅騎手は初勝利となりました。ハーパーは北海道安平町ノーザンファームの生産馬。馬主はエムズレーシング。
それでは、レースを振り返っていきましょう。
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【展開・ペース】 大方の予想通りニシノカシミヤが主導権を握りましたが、2ハロン目に10秒9のラップを刻みながらオンザブロッサムなども差がなく続き、半マイル通過は46秒2。後半4ハロンは46秒9で、ラストの1ハロンは12秒2を要しましたから、決め手の鋭さだけでなく、地力も問われる高いレベルの一戦となりました。
【レース分析】 勝ったハーパー(単勝6番人気)は前走から12キロ減の体重で、正直、体つきはギリギリに映りましたが、イレ込むような様子はなく、レースでも中団をスムーズに折り合って追走。ただ、チークピーシズを着用している馬が馬群の中に位置し、直線でも内から寄られるシーンがありながら、最後は3頭の競り合いを制したのですから、実戦での勝負強さは特筆できます。
「前半からあまり形にはならず、馬にとってはストレスの大きいレースだったと思います。まだ心身ともに幼く、最後も何とか動かし切って、動いてもらっている現状で、これからもっと良くなってきそうです。1600mでしっかりと勝つことができたので、無事に桜花賞へ向かえますし、心身の成長が伴えば、もうひとつ上のいい走りができるはずです」とレース後に川田将雅騎手はコメント。アカイトリノムスメが制した一昨年より0秒2速く、レースレコードと0秒6差の走破タイムは上質ですし、しかも初東上で馬体減を考えれば中身の濃い内容。更にデビュー戦は2000mでクビ差の②着、父がハーツクライですから桜花賞だけでなく、その先のオークスに向けても収穫の大きいレースだったと言えます。魅力的な新しい春のヒロイン候補が現れましたね。
②着ドゥアイズ(2番人気)も初めての関東遠征でしたが、重賞に出走経験が多い馬らしく、大きな変化は感じられない気配。序盤から積極的に好位置を取り、直線では狭いところをこじ開けた際に鞍上が制裁の対象になりましたが、最後まで脚いろは鈍らずに連対を確保。阪神JFもスムーズさを欠く場面があって③着でしたし、改めて混戦に強く崩れないタイプと思わせました。③着モリアーナ(3番人気)は折り合いを欠いた前走と違い、中団の後ろでためを利かせ、数字的にはメンバー中最速の上がりを計時しましたが、外を回ったこともあって最後は脚勢が鈍り気味。高速決着のマイル戦だと使う脚が短くなる印象を受けました。次が桜花賞で再び緩みない流れだと仕掛けとごろが難しいですし、スローだと掛かる心配もあるので、依然として課題は残ります。
惜しかったのは④着イングランドアイズ(7番人気)と自分が当日版で◎にしていた⑤着グランベルナデット(5番人気)で、ともにスタートで後手。前者は中団の後ろから勝ち馬の後ろに進路を取り、馬群を捌きながらもラストは目立つ脚勢で鋭く伸びていましたし、後者は外を追い上げる大味なレースになりながら、ジワジワと伸びて掲示板を確保。好タイム決着でロスのあるレースぶりだったことを考えると、2頭とも次走以降も目の離せない存在になりそうです。一方、1番人気で⑥着のウンブライルは返し馬から頭の高い走法が気になり、相変わらず気性が若いなという印象。レースでも勝負どころの反応は今ひとつで、直線を向いたところで③着馬、最後も⑤着馬に競り負けるような感じで掲示板に載れませんでした。外枠のハンデもありましたが、現状だと1400m以下がベターと思われ、とにかく精神面の成長を待ちたいところです。
text by 五十嵐 友二
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